クマさんのバイク専科

余計なことして腕が筋肉痛だ!

スポーツバイクつくばマツナガのフィッティングコーナーに展示してあるサドルのほとんどが、僕が試したサドルの一部です。先日サドルの事が気になって、倉庫のサドルを収めたケースを開けてみると、ブルックスとイデアルの革サドルが6個と、サン・マルコ、フィジーク、セライタリアのプラスチックサドルが20個ぐらい出てきました。5年くらい前までは、サドルオデッセイ状態でした。その原因は健康のためのダイエットでした。境界型の糖尿病で、体重を減らす事と、食事の内容の見直しをお医者さんに言われて、まずバカ食いをやめました。6ヶ月かけて90kgから75kgに落としました。体脂肪率は12、5%まで絞りました。 90kgから85kgの時は、フィジークのクラシックの旧型でしたが、プラスチックベースがカーボンチップ補強されていないしなやかなモデルで、使っていると3ヶ月もしないで真ん中が凹んでくるモデルでした。ヘタリが早いので、2年目くらいから同じクラシックでもプラスチックベースは、カーボンチップ補強がされるようになりました。アテネ五輪を目指す日本代表候補だった、田代選手がフィジークから供給された、オリンピックモデルのカーボンチップ補強入りのフィジーククラシックの1個をプレゼントされて、それがレギュラーモデルとして製品化されて販売されるまで、ボロボロになっても使っていました。 サイドカットされた薄っぺらいサドルは、変形を抑えるために、カーボンチップ補強の入ったプラスチックベースになっています。体重が減るとともに体脂肪も減って行きました。すると、今まで快適に100km走れていたサドルが、だんだんお尻が痛くて耐えられなくなりました。サドルの中央付近の座骨が当たる部分が痛くなって我慢できません。これがサドルオデッセイの始まりでした。これぞと思えるサドルはほとんど買いました。フィジークの旧型トライアスロンなんか、完全にパッドの厚さを期待して、かなりいい感じでした。補強無しのプラスチックベースでした。Kiトライアスロンは補強入りで坐骨がベースに底突きして痛くなりました。そんな中で補強無しのプラスチックベースのサドルを探すようになりました。 昔使っていたパーツを収めたケースから探してきたセライタリアのターボマチック2は、まさにプラスチックベースの補強無しのパッドの厚いサドルでした。中空ワイヤーレールとプラスチックベースとの連結部分にはサスペンションが付いています。最近の軽量サドルより重くても、2日続けてお尻が痛くならず快適に走れるのを指標に、乗り心地だけで選びました。しかし、プラスチックサドルはお尻に合っていると、付けたその日から快適ですから、革サドルのような何ヶ月もかかる慣らしの必要がないのが大きなメリットです。 6個出てきた革サドルの表面にはミンクオイルを塗ってピカピカにしましたが、もう10年以上使っていないので、オイルを塗ってもカチカチの状態です。その中の2個が気になりました。フランスの革サドルの慣らし工房に出して加工したやつです。2個ともブルックスのコンペティションで、1個は1枚革、もう1個は2枚革のモデルです。これは30年以上前に乗っていたもので、かなりいい線までしなやかになっていましたが、プラスチックサドルの快適なモデルが見つかって、外してお蔵入りしました。 当時は6台の自転車をいつでも走れる状態にしていました。快適なサドルを見つけると、一斉に6台ともサドルを交換するのでm費用が大変です。だから、倉庫のケースの中には外したサドルが6個ずつ増えて行きました。ブルックス、セラサンマルコのコンコール、ロールス、セライタリアのターボ、ターボマチック2、ターボマチック3、フィジークのアリオネクラシック、アリオネカーボンCX、アリオネトライアスロン、9回くらいそういうことがありました。 革サドルを磨いているうちに、昔のしなやかさを取り戻してみたくなって、ドライヤー、木刀を切って作った慣らし棒、ミンクオイルを用意して、まずは裏面にたっぷりミンクオイルを塗って、ドライヤーで温めて、ペースト状のオイルを溶かして、革へ染み込ませて、表側をすりこぎで擦って革をしなやかにしました。最近のブルックスのサドルは、オイルドしたり、雨に濡れると裾が開きやすく、縛りに時間をかけていない気がします。40年とか30年前のブルックスのサドルは、ワイヤーレールに沿って裾がきっちり絞られていて、裾が開きにくいですね。 走り終わると革サドルの裾が広がり気味になるので、革のストラップで裾を絞ってケアしていましたね。特に雨の中を走って帰ると真っ先に革サドルをティッシュやウエスで拭いて、革のストラップで締めていました。何年も乗って慣らした革サドルは、時々オイルドしてしなやかさを守って、サイクリストの宝物でした。ブルックス派よイデアル派がいて、サドル1個でも思い入れが違いますね。革サドルはどこを走ったとかの思い出が湧き出してきますが、ユニカやフィジークにはそういうのが不思議とありません。 ドライヤーで温めて、裏側からかなりオイルを吸い込ませて、すりこぎでこするとかなりしなやかになりましたが。現役で使っている頃には、温めていなくてもこのくらいのしなやかさでした。指先で押すと部分が凹みました。やっぱり使っているのと、慣らしただけでは違いますね。そこそこ慣らしが進んだ革サドルは、座ってみると最初は硬いのですが、体温が伝わって温まってきて、汗をかく頃には革がしなやかになってきます。あの、石ころみたいな革サドルが、ハンモックのようにしなやかになります。あと半年か1年飼い慣らすつもりで頑張ればいいんでしょうけど、我慢できませんでした。 仕事部屋でサドルの慣らしを始めてしまうと、ミンクオイルの香りが漂ってしまいました。何よりも驚いたのは革をしなやかにする、すりこぎでこする作業が重労働で、腕が筋肉痛になってしまいました。骨折していた肩や鎖骨のあたりが痛くなりました。使うつもりのない革サドルに余計な努力をしてしまいました。コンペティションの懐かしい革サドルのしなやかな感触は味わえました。プラスチックサドルもこれ使っていたんだと懐かしく、1日目は我慢できたけど、2日目は痛くなったなーとか思い出してきました。ルックス的には白いパンチされた革張のリーガルとかかっこいいんですけど、使えませんでした。仕事部屋の片隅に、しばらく置いて眺めることにしました。ではでは。