クマさんのバイク専科

5kg台のヒルクライムバイクのKさんマジカルに参加

土曜日のマジカルミステリーツアーのヒルクライムトレーニングに、5kg台の超軽量バイクに乗るKさんが参加しました。トレーニングしてヒルクライムイベントなどに参加しているそうです。最近伸び悩んでいるそうで、マジカルのヒルクライムトレーニングで、何か成績浮上のきっかけをつかめないかと思っての参加です。

 

マジカルのヒルクライムトレーニングは、8月末の乗鞍のマウンテンヒルクライムにチャレンジするライダーからの要望で、上り坂を速く走れるようになるトレーニング方法を考えて、約1ヶ月前から始めました。1つは上り坂で効率がいいペダリングを身に付けるメゾッドの体験です。繰り返し体験することで上り坂に対応するペダリングを身に付けます。もう1つは上り坂で爆発的に発生する乳酸に耐えて筋肉を収縮させてペダリングすることで、風土記の丘の上り坂を往復する耐乳酸性と乳酸除去能力を高めるレペティショントレーニングです。

 

走行距離は片道で2km、往復で4kmになるコースで実施しています。気温が30度と暑いので強くなるのが難しい時期ですが、集中力をキープして短時間のトレーニングで数週間で耐乳酸性を高めることができます。トレーニングの目標は10本ですが、暑さで熱中症気味になる前の段階で走行本数を決めます。1本目は、このコースでLSDレベルでのウオーミングアップです。2本目と3本目は毎分50回転できる重いギヤ比で上り坂を走ります。

 

ハンドルやブラケットを引いたり押したりしないでステアリングをコンとロールするだけで走ります。ほぼアウターギヤに11・12・13T などを組み合わせて、ゆっくりゆっくり走ります。このメソッドを体験すると、いくつかの重要なポイントを体験できます。まず、ペダリングで使う筋肉のみを強く刺激できます。このメソッドでは効率良くペダルを押す方向を、1回転1秒以上のゆっくりしたペダリングで、筋肉の動きを意識しながら効率のいい動きを体験できます。

 

さらに、ブラケットやハンドルを引いたり押したりしないので、腕の力で腰の位置をキープできないので、自然に骨盤の傾きを前傾させて、尿道から座骨にかけての圧力を増して、サドルに腰をしっかり固定します。脚の踏み込む力に対して腰を固定して、その反力で支えてペダリング効率を高めます。骨盤を自然に前傾するので、ふとももの後ろ側や腸腰筋などの体幹の筋肉も動員してペダリングするスイッチが入ります。同じギヤ比で走っているとは思えないほど軽く踏み込めるようになります。これが全体踏みペダリングです。

 

2本、腕を引かな、押さないで、重いギヤ比で走る体験をしたら、次の4本目からは踏み込みやすいギヤ比で走ります。腕を引かないで走るメソッドの効果として、即効性があるのが上り坂や平地で、接線方向へペダルを押し出すことを意識をできて、ペダリングがスムーズになります。ゆるい上り坂1kmと、下り坂1kmを繰り返し走ることで、上り坂区間で爆発的に乳酸の発生を体験した直後に、下り坂の区間で血流で乳酸を肝臓へ運び込んで血中の乳酸濃度を下げて回復させて、再び上り坂にチャレンジするのを繰り返すトレーニングです。

 

K さんの上りと平地の走りを見ていて、クリートの位置、サドルの位置、ハンドルやステムやブラケットの位置などを移動して、気になるポジションやペダリングを、ヒルクライムトレーニングしながら修正しました。修正したらすぐに上り下りで試せるわけです。まずタイムのクリートの修正から始めました。上り坂のトルクが必要な区間では、かなりがに股の状態でペダリングしていました。タイムは足をセットしてからも、踏み面を中心に、カカトを内外へ動かせるし、内外にも走りながら移動できてQファクターを調整できます。

 

タイムのクリートの移動範囲は前後位置と取り付け角度です。ペダルシャフトの中心と母指球との位置関係で、足の安定感や脚の筋肉に負担がかかる位置を、クリートの前後位置で調整できます。さらに、足の向きに合わせて取り付け角度を合わせる設定で、脚のひねりの動作で発生するストレスを分散できます。クリートの位置を確認すると、左右で前後の位置が5mm違っていました。左右とも一番後ろへ引いて、ペダル軸の中心を母指球の後ろへ移動して踏み込む脚を安定化させました。足が安定して踏める感じになり、膝から下の筋肉群への負担を減らせます。

 

さらに、足の自然な向きに合わせてクリートの取り付け角度を微調整して、左足のカカトが少し内側へ入るO 脚傾向に設定、右足はそれより強いO 脚傾向に設定して、左右の足の位置は右が2mm外、左が1、5mm外になるようにクリート位置を移動して、股関節幅に合わせました。タイムの踏み面を上に向けて、足を乗せるようにすると軽く押し下げるだけででキャッチされるようになりました。リリースも足を外すことを意識して、カカトを外側にひねるとスムーズに固定が解除できるようになりました。

 

クリートの設定による踏み味に付いての評価は、サドルの調整後に行います。サドルの調整は、踏めて回せる前後位置と、尿道の圧迫が少ない取り付け角度と、下死点で足を真っ直ぐにして、カカトを下げて、足の甲が水平になる高さに修正しました。その場で足踏みしてもらって足の向きを確認して、足の自然な向きにクリートの取り付け角度を合わせましたが、実際に走るペダリングを見ると、右足の膝の開きが大きいので、もっと右足のカカトが中に入る設定へ修正しました。膝の開きが小さくなり、真っ直ぐに近い状態で踏み下ろせるようになりました。

 

ブラケットを握っている走りを横から見て、上半身の曲がりや座骨につながる腰椎の曲がりや、腕の伸び方を確認して、力を発揮できる範囲の肩や肘関節の角度をチェックして、ステムの突き出しの長さやコラムへ固定する高さを決めます。K さんの場合は、アナトミックタイプのドロップバーの上下を握って走りやすいように、取り付け角度を移動しました。ブラケットの位置も大きく動かして、ドロップバーの上とブラケットの上の面で、手の平が痛くならないスロープを作りました。

 

Kさんの体格にステムの突き出し寸法はマッチしていますが、よりハンドリングを安定させるには、寸法が同じで、突き出しがホリゾンタル(水平)になる73度ヘッドアングル対応のステム、リッチー、ディズナ、3Tのいずれかのステムへの交換が望ましいですね。Kさんには8月の黒姫高原るんるん合宿へ参加を表明していただきました。黒姫高原のペンションもぐでお待ちしています。1日目はフィッティング&ライド、2日目はライドになる予定です。標高1000mも走るので、ウインドブレーカーをお忘れなく。ではでは。