クマさんのバイク専科

時速40kmのDHポジション:パート2

時速60kmの実走テストでは0.5%の差でした。
まだDH バーがスコット社によって1本1本、選手の体格やポジションを確認して、オーダーで製造されていたころ、
どうしても体験してみたいと、1本のアルミチューブをグニャグニャと曲げて作ったモデルを1本手に入れて、
ロードレーサーに取り付けて試乗テストしました。
御殿場の富士演習場近くの直線道路のほぼ無風の実走で、ドロップバーの下のポジションで走ったとき、
自然落下での最高到達速度が時速60kmで、DHポジションで走ったとき63kmでした。
空気抵抗の軽減によるスピード差が、10回のチャレンジで平均すると速度差で0、5%ありました。
 
ライダーの体感として最高到達速度の時速3kmの差は、良く空気の中を抜けて行くな〜とか、スピードの伸びが違うことを実感できます。
しかもDHバーのシステムを使って走れる場所はDHバーポジションで走り、100km、200kmと走ってみると、
DHバートドロップバーを使って走る、メリットやデメリット、腰の位置の最適化など、
いろいろ分かってきて、空気抵抗の軽減だけでなく、いろいろな効果を生んでいることを理解できます。
 
肘をパッドに乗せて、DHバーの先端を引き上げる方向に力をわずかに加えることで、上半身の重さとバランスさせて、上半身を支える力をほとんど使わなくてもしっかり固定でき、心拍数がこれだけで1〜3拍低下します。
胴でつながる腰もサドルにしっかり固定できることになります。
腰の位置がパワーを発揮しやすいポイントへしっかり固定されれば、踏み込む脚のパワーをロスなく発揮しやすくなります。
DH ポジションの目標ケイデンスは85回転から120回転です。
 
回すと負荷を感じてしまう、ロングのエイジクラスのトライアスリートは、
180kmの平均が時速33kmから38kmくらいが目標です。
ワット数にすると150ワットから200ワットくらいです。
ランのことを考えて脚を残すイメージで、無理して回すのではなく、85回転から90回転を目標にしましょう。
ホビーレーサーのロードTTの場合は、時速40kmから48kmと、もう少しスピード域を上げる必要がありますから、
100回転から120回転を目標にトレーニングします。
 
ロングディスタンスのトライアスロンのバイクセクションのルールは、アイアンマンも、
ITUのロングもドラフティング走行が禁止のルールで実施されています。
という事は空気抵抗を自分で引き受けることになります。
風向きや風の強さがバイク出の疲労度を大きく左右します。
DHポジションは向かい風に対して有効です。
ロードの個人タイムトライアルでも同じことです。
さらに4人1組で走るチームタイムトライアルは先頭にたった選手が空気抵抗を引き受けます。
 
微妙なのはピークパワーの伝達と、空気抵抗のバランスの切り替えが必要なピスト競技のです。
500mTT、スプリント、オリンピックスプリント、ポイントレースはドロップバーで競技します。
ドロップバーの下の低い安定したグリップ位置で、急加速の時の脚の踏み込みのパワーを支えてバイクを加速します。
筋力にプラスして体重も利用してペダリングする、ダンシングによるトップスピードの65kmくらいに到達すると、
腰をサドルに着けるシッティングへ移行して、さらにケイデンスを上げて加速が始まります。
 
サドルへ腰を着けて固定して、今度は安定した腰を軸に脚の伸展と屈曲の動きを早くして、
加速時の1踏みのトルク重視のペダリングから、トルクと高いケイデンスでよりパワーを発揮するペダリングへ移行して、
2000ワット近いパワーを発揮して、ラストスプリントのトップスピードは80km近くへ到達します。
1000mTT、4000m個人追い抜き、4000m団体追い抜きはブルフォーンバーとDHバーの組み合わせで競技しています。
スタンディングスタートからの急加速の区間は、グリップ位置が広く、
脚の踏み込みのパワーとバランスさせて大きな力を発揮して、トップスピードの60kmオーバーに到達します。
 
時速60kmで走ると空気抵抗はライダーのパワーの半分を消費するので、高速で走り続ける要素として大きいので、
スピードが上がったらブルフォーンバーから、空気抵抗を減らせるDHバーでの走行へ移る分けです。
世界の短距離から中距離のトップライダーは、最初の1000mを59秒から1分1秒で走ります。
単独走で空気抵抗を受けても4000mで4分4秒から6秒台で走ります。
団体追い抜きの4000mでは空気抵抗を各自が分担しますから、当然のように4分を切ります。
パート3へ続く、ではでは。