クマさんのバイク専科

ディスク化で142mmエンド幅のスルーアクスルになる!

ロードバイクのディスクブレーキ化は数年前から現物のロードバイクやシクロクロスやクロスバイクがリリースされていて、ショップスタッフやユーザー段階でも賛否両論でしたが、自転車業界全体の動きとしては、新しいメカニズムを採用して、買い換え需要を刺激することなどを考えると、先行するコンポーネントパーツメーカーも、完成車メーカーやカスタムフレームメーカーも、どうやら2017年こそと、そっちの方向に向かって力が注がれていることが見えてきます。

 

UCIルールにより縛られているロードレースは、ディスクブレーキの採用を2015年に試用期間を設定して、2016年に本格的運用を解禁の予定だったけど、シーズン途中で事故を理由に中断しています。噂では2017年の4月に解禁になるそうです。ディスクブレーキはドライでもウエットでもブレーキの利の変化が少ないのはもちろん、カーボンやアルミリムを消耗させないメリットもあります。ロードでは長いダウンヒルもあるので対フェード性も追求されています。シマノやスラムはブレーキキャリパーやディスクローター付きホイールも準備万端でしょう。今年中には最高峰のデュラエースのディスクブレーキや、ワイドリムのカーボンホイールもラインナップされます。

 

ディスクブレーキの波に乗り遅れ気味だったカンパニョーロも2017年シーズンへ向けて、ディスクブレーキキャリパーやディスクローター付きホイールをリリースするでしょう。カンパはMTB コンポーネントの製造を断念して、油圧もケーブルもディスクブレーキの製造経験がないので自社生産は難しいのでどうなるかな。ノウハウの蓄積がないので、ブレーキキャリパーやディスクローターは、アウトソーシングになる可能性がありますね。発売当初のロード用のディスクブレーキは台座の規格がMTB と同一でしたが、すでに完成車に搭載されていて、すでに発売されているディスクブレーキを採用した車種は、ロードレーサー、シクロクロス、クロスバイクなどです。

 

コルナゴはフラッグシップモデルに、インデックス変速レバーに油圧ディスクを組み合わせてすでに発売して先進性をアピールしました。キャノンデールもジャイアントも完成車のラインナップに、MTBと同じ台座の規格のディスクブレーキを採用したロードバイクをリリースしています。 2017モデルは完成車価格で50万円以上のハイエンドモデルから、15万円台のモデルにまでインストールされるようになっています。105アッセンブルの油圧ディスクブレーキ、それ以下のグレードのコンポーネントの場合はケーブルで操作するメカニカルのディスクブレーキがセットされています。

 

油圧とケーブルの差は、圧倒的なブレーキレバー操作の軽さ、油圧の場合はワンフィンガーでのスピードコントロールや急停止が可能です。ブレーキの利き、ストッピングパワーはとしては、油圧もケーブルも大きな差はありませんが、いずれもよく利くし、ローターやキャリパーが雨に濡れても利き方が変わりにくいですね。ディスクブレーキのロード化を先行したシマノが提唱する、MTBとは違うスマート台座はフロントフォークの末端や、チェンステートしーとチューブの交わるポイントへ埋め込まれます。主な完成車メーカーもフレームメーカーもこの規格を採用して、2017年モデル以降のスタンダードになるはずです。そして、もう一つ重要な規格がスルーアクスルトとリヤエンド幅142mmへの変更です。

 

スルーアクスルは元々はMTB のハブ軸強化のために生まれた規格で、フロントフォークもリヤもサスペンションタイプなので、エンドの肉厚を上げてスロットも幅を広げ、片側にシャフトをねじ込むネジ穴が設定され、フォークやリヤサスがオイル&エアーやエラストマーで伸縮しても、ホイールがよれないでコントロールしやすくする効果があります。もちろん、フロントもリヤも強化できます。 ロードバイクにもディスクブレーキ化と同時に、スルーアクスル化の波が押し寄せるでしょう。ハブシャフトの強化はフレーム剛性アップの要素の1つになります。もちろんクイックレリーズのフレームもしばらくは生き残るでしょうけど。

 

スルーシャフトのホイールの着脱は慣れてもクイックより時間がかかりそうです。ロングライド派なら1秒を争うことではないからいいけど、ロードレースのホイール交換ではどうなのだろう。そこで後輪の交換にチャレンジしてみました。 まずディスク装備の後輪を外すことから始めます。フレームを持って左側エンドに止めてあるレバーを左へ8回転させて緩めて、右側エンドのネジ穴からシャフトを抜き取ります。ホイールを下へ押し出して外します。タイヤやりムとブレーキパッドとのクリアランスを気にしなくていいので、クイックの開閉は無くなります。 ホイールの取り付けは、ローターをキャリパーのブレーキパッドの間へ収め、スプロケットへチェーンをかけてエンドへ納め、シャフトを左側から差し込んで、リヤディレラー側のエンドのネジ穴へねじ込んで固定します。

 

レース中のホイール交換のスピードは慣れても遅くなります。スキュワーみたいにレバーを回して締め込むのではホイールの固定力にばらつきが出たり、ホイールをセットしてからシャフトを差し込むのだから、クイックレリーズより時間がかかるのではというのは予想通りでした。 リヤエンド幅が142mmになることで、ハブのフランジの幅にゆとりができて、ホイールの左右の剛性を均一化して強度アップも可能になります。ディスクローターの取り付け位置にもゆとりができます。そして、チェーンラインの問題もありますが、12段化の可能性も出てきます。スマート台座のディスクブレーキ装備のロードバイクが注目される時代がすぐそこに来ています。ではでは。