クマさんのバイク専科

170mmクランクの長さが気になる!パート2

昔しの話しですが、シマノからデュラエースの180mmから165m2、5mm刻みのチェーンホイールを借りて、何人かのライダーに集ってもらい、マイバイクのクランクを交換しながらテストライドしてもらいました。緩い上り坂を4kmぐらい上ってもらいました。その結果は165mm、167、5mm、170mm、172、5mmに使いたいクランクが集中しました。この長さがベストというのは167、5mmと170mmでした。ボク自身は通常167、5mmと170mmを使っていましたが、クリテリウム的に平坦コースを走るには圧倒的に回しやすい167、5mmのバイクを選んでいました。6%から10%の上り坂がある、長い距離を走ったりする時は170mmの装備のバイクで走っていました。
 
 
 
現在170mmクランクを使っているのは、1つはこの経験から、ロングライドの完走が目標になっているので170mmです。もう一つの理由はカンパニョーロが作ってくれないから170mmという面もありますね。効率良く長く走れるケイデンスは毎分85回転から110回転くらいになっています。呼吸の苦しさを感じない、軽く踏んでいても重すぎないバランスがその辺りにあります。
 
 
 
毎分80回転で回せるギヤ比では踏み味が重過ぎです。筋力頼りのペダリングになります。最初のうちは呼吸数や心拍数が上昇しないので楽に感じますが、じわじわと脚の筋肉に負荷がかかり、無酸素運動の割合が増えて乳酸が発生して、酸素負債が始まり、1時間もペダリングを続けると、じわじわと乳酸が蓄積してきて脚の筋肉を収縮しにくくなって、パワーダウンしてしまいます。
 
 
 
ビギナーライダーが陥りやすいのが、毎分70回転ぐらいのケイデンスで、脚の筋肉の動きも遅いので最初は楽に感じるし、最初は呼吸数も心拍数も上昇しないので楽に感じるので、このペースで走ればどこまでも走れると感じてしまいがちです。ところが、走っている爽快感を感じたいと、スピードは時速25km以上をキープして、ついつい踏み味の重いギヤ比を踏んでペダリングしてしまいがちです。だんだん無酸素運動状態の割合が増えてきて、乳酸値が上昇して筋肉の収縮が鈍くなって力が入りにくくなって、1時間から2時間でパワーダウンしてしまいます。
 
 
 
結局は、体の、筋肉繊維の奥から乳酸をリンパ液にのせて運び出して、さらに血液にのせて肝臓へ運び出して、グリコーゲンへ還元するという、乳酸を筋肉内や血液から除去するシステムが働いて、血中乳酸濃度を下げて筋肉の収縮を回復するまで、20分とか30分間パワーダウンする効率の悪い走りになります。微妙に踏み踏みのペダリングになりがちなのが長いクランクです。クランクの長さの2、5mmの違いは大きいです。直径で5mmの差、円周で約15mmの差になります。同じケイデンスで回すには15mm分、早く脚の筋肉を動かすだけでなく、上死点の位置も高くなり、下死点は低くなり、脚の動きは大きくなって負荷も大きくなります。
 
 
 
クランクを長くして短時間なら発揮できるパワーは増しますが、脚の筋肉を使うことになります。クランクを長くする時は、元気な時でも移行に3ヶ月くらいの慣れる時間を意識します。ヒルクライムで自己記録を更新したり、レースでスピードを維持するには、有酸素運動能力だけでなく、筋力や耐乳酸性を向上させておくことが必要です。
 
 
 
スピードの想定が時速20kmとかに低くなれば、長いクランクでのペダリングも有効かもしれませんが、スポーツサイクリングの時速25kmから時速55kmのスピード域では、ケイデンスを毎分85回転から130回転へ高めることになります。でも、長くなったクランクで同じケイデンスを保つには、ペダル軸の描く周長が長くなり、筋肉の収縮速度が早くなります。運動負荷は大きくなり、出力の小さいライダーは爆発的に乳酸が発生して、筋肉の収縮が鈍くなってペダリングの効率が低下します。
 
 
 
早いペダリングスキルに慣れていたり、高負荷の筋力や耐乳酸性や乳酸除去能力の強化トレーニングで鍛えた、出力の大きいライダーは、筋肉の収縮のスピードや踏力の負荷が増しても出力にゆとりがあって、乳酸が発生しにくいので、長いクランクを使いこなして高出力を発揮できる可能性があります。クランクを短くするのは長くするのと違い、比較的慣れるのが簡単なので、170mmのカンパニョーロのクランクを取り外して、シマノの167、5mmのクランクを手に入れて試してみようと思います。円周がわずかに短くなって、踏み込む位置までのタイミングが早く来るペダリングを体感するのが楽しみです。ではでは。