クマさんのバイク専科

スルーアクスル仕様のリヤエンド幅142mmが意味するものは!

スルーアクスル採用のフレームのリヤエンド幅が142mmになります。油圧ディスクブレーキがUCIルールで採用が再度解禁になって迎えた2017年シーズン。シマノ、スラム、カンパニョーロの油圧ロードディスクブレーキがバイクに投入されて、実際のレースではデュアルピボット、3支点のデュアルピボット、3支点のデュアルピボットブレーキのスタビライザー付き、ダイレクトマウント、油圧のディスクブレーキの前後140mmローター、油圧ディスクブレーキのフロントのみ160mmローターなど、各種のブレーキが昆走している状態で、ディスクブレーキユーザーが勝利を挙げています。

 

アメリカやヨーロッパやオセアニアでのディスクブレーキの普及が目立ってきました。日本の状況は店頭での展示車も油圧とメカニカルのディスクブレーキ装備のロードバイクが増えています。ロードバイクにディスクローターのフォルムに違和感を感じないユーザーもじわじわ増えています。メカニカルでカッコいいというライダーも多いですね。ストッピングパワーやコントロール性能など、油圧ディスクブレーキのフィーリングを体験したら、もっとユーザーは増えるかも。油圧のディスクブレーキだけでなく、ケーブルで引くメカニカルも多いですけど、ひたひたとロードディスクブレーキ時代が来ている感じです。

 

今までのリムサイドを左右のブレーキパッドではさんで、その摩擦で止めるブレーキシステムは、摩擦抵抗の低下するレインコンディションでスピードコントロールに雨の影響を受けやすく、ブレーキキャリパーだけでなく、ブレーキパッドのコンパウンドやリムサイドも改善が続けられていて、ドライコンディションとウエットコンディションでの、ブレーキングの差が小さくなっているとはいえ、まだまだはっきりウエットでのブレーキングの差を感じます。

 

油圧のディスクブレーキはブレーキレバーの引きが軽く、ワンフィンガーでもフルブレーキングが可能です。ドライコンディションとウエットコンディションでの、ブレーキの利きの差は、ブレーキシステムの構造上ほとんど無くなっています。耐フェード性も心配ないし、ディスクローターの加熱も注意すればいいし、カーボンリムの加熱によるトラブルも、リムサイドの消耗も心配なくなります。長いダウンヒルで指が疲れてブレーキレバーを思ったように引けなくなって、スピードコントロールで苦労した経験があるのなら、ぜひ使って欲しいシステムです。

 

そんな、スマート台座対応のフレーム、油圧ロードディスクブレーキとディスクローター付きホイールが、今後普及するのは確かなことです。ロードディスクブレーキの開発に消極的に見えたカンパニョーロですが、ディスクローター仕様のロードホイールのリリースは積極的で、次々に新型が発表されています。ヘイズとの共同開発で各グレードのブレーキキャリパーも発表されました。シマノ、スラム、カンパニョーロもフールドの注入方法の講習が実施されたり、取り説のディーラーズマニュアルが公表されています。

 

カーボンフレームは、ロードディスクブレーキのスタンダードな台座が、シマノが提唱するスマート台座への2本ボルト止めとなります。前輪のハブはオーバーロックナット寸法が100mm。左側に140mm径か160mmのディスクローターが付きます。後輪のハブには左側に140mm径か160mm径のディスクローターが付き、右側には11段スプロケットが付くフリーボディがセットされます。フレームへの固定は前後とも口径が太く剛性アップできるスルーアクスルと前後とも対応エンドが標準化されます。

 

スルーアクスル仕様の、リヤのハブオーバーロックナット寸法は142mmで、今までのリヤのハブオーバーロックナット寸法が135mmでしたから、左右に3、5mmずつ広がっています。わずかに3、5mmと思うでしょうが、これはロードバイクにとって大きな規格変更です。スルーアクスルはシャフトの外径が太くなって、ディスクブレーキによリ発生する力でたわまないように、ハブ軸が強度アップされています。左側に3、5mmのゆとりができて、そのスペースにディスクローターがセットされます。

 

後ろ側のブレーキキャリパーは、シートステーとチェンステーの交差している部分のスマート台座に、2本のボルトでディスクブレーキキャリパーが固定され、ブレーキパッドと、ブレーキパッドの間にディスクローターが挟まります。右側の3、5mmのスペースはどう使われるのか。リヤエンドとトップギヤとのすき間になってしまうのでしょうか。3、5mmもあるんですよ!、そうです、もう1段フリーのスプロケットを増やして、12スピードの可能性を感じませんか。

 

チェーンラインの問題は、チェーンホイールのハンガー規格や、チェーンリングの歯先間隔や取り付け位置の変更、チェーンの幅で対応して。アウターギヤ×トップギヤやセカンドギヤの組み合せのとき、チェーンの斜めがけのドライブ状態で、アウターギヤの内側のスパイクピンと、斜めにドライブするチェーンとの接触の問題などあるけれど、142mmリヤエンド幅がもたらすスペースを生かして、12スピードのスプロケットへのチェンジは、いつ、どのメーカーから発表されるかな。

 

ディスクローターのスペース確保で、100mmのオーバーロックナット寸法の前輪のスポークフォーメーションはおちょこ状態になり、アンシンメトリック構造になります。しかも、ディスクローター側に制動による進行方向とは真逆のネジレ方向のマイナスGが働くので、強度や剛性確保のために、ハブのフランジ径の拡大や、スポークの太さや本数や組み方やりムの形状が工夫されます。後輪も142mm幅と広ても、スプロケットやディスクローターのスペースがあるので、アンシンメトリック構造のホイールの強度や剛性の確保は課題で、ハブの左右のフランジ径の拡大や、スポークの太さや本数や組み方やりムの形状が工夫されます。

 

カスタムフレームを選んで組むバイクなら、スマート大座付きのフレーム、油圧ディスクブレーキ仕様のコンポーネントパーツ、ディスクローター付きのホイールを新規購入するという壁はありますが、油圧ディスクブレーキに電動メカ仕様はあまりに魅力的です。完成車も、ハイエンドからミドルグレードまでの、ロードレーサー、トライアスロンバイク、グラベルロードに、油圧ディスクブレーキ&スルーアクスル仕様車は増えて行き、2018年にはもっと身近なバイクとなります。ではでは。