クマさんのバイク専科

タイムマシンに乗ったようなNHKBSのプレミアムカフェ

 

5月3日の朝9時と4日の0時45分の2度、NHKBSプレミアムで放送された「ツールド奥の細道」、ロックンローラー忌野清志郎さんの東北の自転車旅行のサポートを依頼されて、トヨタのカルディナワゴン4WDのサポートカーに、工具や予備パーツや予備ホイール、整備台などの機材や、補給食や飲み物、バイクウエアなど、10日間走るための用品を積んで後ろに付いて走りました。1日に100km以上、嵐の日を除いて続けて走って、雨の日でも途中でクルマに乗るなんてこともなく、撮影するスタッフもクルマへ乗ることを勧めることもなく、清志郎さんのなすがまま思うまま、東北のアップダウンのある1000kmオーバーの道程を走り切りました。

 

平均走行速度は30km近いと思います。バイクはトレックのプロジェクトワンで、カンパニョーロの10段レコード仕様です。ホイールはカンパニョーロのボーラ50mmを前後輪とも、主に使いましたが、最終日だけ途中のコースで何度も強い横風を受けて、丘を下る直線路で3mほど横へ吹き飛ばされて、ハンドリングが危ない場面があったので、途中で前輪だけハイペロンに変えて走っています。そろそろ950km近くに差しかかったところで、毎日100km以上走って来た疲労がピークに達していて、登山のビバーク用のエアマットを広場に敷いて、腰や股関節のストレッチングをしてフィニッシュへ向かいました。このハードな走りの後、剛性の高いフレームによるストレスを感じて、体力に見合った剛性のフレームをと言うことでプロジェクトMのオレンジ1号をオーダーすることになります。

 

タイヤの空気圧は、60kgを切る体重も配慮して、ヴィットリアのCXコルサのイエローで太さは23mm。後輪7、5気圧、前輪7、25気圧にセットしていました。チェーンリングはアウターギヤが48T、インナーギヤが34Tの、カーボンクランクの長さは170mmでした。フリーは10段の12〜29Tのワイドレシオでした。走行中の補給食はザバスのピットインゼリーなどを1時間の間隔で食べて、ボトルの中身は水と、BCAAウオーターでした。時々、甘いものに飽きてしまうので、トマトジュースをボトルに入れて、ナトリウムの補給も行いました。走り終わると毎日、膝関節の20分間のアイシング、股関節ストレッチング、マッサージはルーティーンになっていました。

 

バイクは走行後には、雨の日がけっこうあったので、まずは、チェーンやケーブルに水置換性のあるラスペネをスプレーしておきます。清志郎さんの体のケアをしてから、バイクのメンテナンスにかかります。ホイールを外し、リヤエンドのチェーンをかけるプーリーをセットして、宿の水道と中性洗剤を溶かしたバケツの水とスポンジとウエスで洗車しました。チェーンはワコーズのブレーキパーツクリーナーを吹き付けながらチェーンをドライブさせて、油汚れを洗い流してから、水置換性のあるラスペネをスプレーして、1分以上チェーンをドライブさせて、奥までオイルを馴染ませてから、余分な油をウエスでよくふき取っておきます。

 

雨のライドが3日か4日あったので、朝から雨模様の場合は、フィニッシュラインの水に触れると粘りが増すポリマー配合のクロスカントリーオイルを注油して、チェーンの潤滑のコンディションを1日キープしました。撮影は同行するロードバイクにCCDカメラ、撮影用ワンボックスのハンディカメラ、トヨタのコースターのロケバスのカメラの複数体制で撮影が進行しました。もの凄いビデオの尺が回されているはずです。ちょくちょく登場していた白いクルマが、ルーフキャリヤを積んだサポートカーのトヨタのカルディナワゴンの4WDです。

 

ボクが着ているグリーンのジャケットは、当時メカニック契約していた、アパルトヘイトが終わったばかりの、南アフリカ共和国のトライアスロンナションルチームのものです。51歳の清志郎さん、マツナガ店長、森ミチコさん、金澤廉太郎先生、そして40台後半の自分、まるでタイムマシンに乗って時間を遡ったようで、全てが懐かしい映像でした。清志郎さんの亡くなった5月の黒姫合宿中のあの日を思い出しました。今だに高尾山のお墓には花とラミーチョコのお供えが絶えないそうです。ボクは一緒に走った黒姫高原へ行く度に、清志郎さんからいただいたCDを聴きながら、黒姫合宿のサポート走りをしています。ではでは。