クマさんのバイク専科

オリンピックのトライアスロンの可能性!

2000年のシドニーオリンピックから正式種目になった51、5kmのトライアスロン。
51、5kmのトライアスロンでプロとして取り組んで食べて行ける人は多くありません。
それでもオリンピック種目になった以上、北米もヨーロッパもアジアも選手強化してきます。
フルタイムで仕事をしながら強化トレーニングにチャレンジできるほど、
世界レベルのトライアスロンは競技レベルも強化トレーニングの面でも甘くありません。


恵まれている日本人選手でもチームと契約したり、個人でプロ契約して食べて行ける選手はそう多くないと思います。
日本の競技団体の強化選手に選ばれると、補助金や世界シリーズへの参加や教科合宿など特別な待遇は得られますが、
トライアスロンウエアには、競技団体が管理するナショナルチームスポンサーロゴをメインに付けての出場となります。
チームスポンサーやパーソナルスポンサーが生活やトレーニングを支えてくれているのに、
ファーストポジションでの露出が難しくなります。
現役選手だけでなく、プロトライアスリートのセカンドキャリヤの問題だって発生しています。


昔はITU(国際トライアスロン連合)のワールドカップシリーズとして世界各地を51、5kmのトライアスロンが開催されていました。
現在は「世界陸上」の名称の流れを受けて、世界シリリーズと改名されて、
世界各地で51、5kmのトライアスロンは開催されています。
世界を転戦するには遠征費や滞在費などのお金もかかります。トレーニングにもお金がかかります。
トライアスロンに価値を感じてくれるスポンサーを競技団体が一元化して扱った方がいいのか、
個人スポンサーがいいのかは分かりませんが、選手が憧れの存在になれなければ、人材も来ないし、競技は衰退してしまいます。


もちろん1年に1度、国内選手権、エリートクラスとエイジクラスの51、5kmの世界選も開催されています。
その他にITU のロングディスタンスの世界選も開催されています。
ドイツではこのロングの方が熱狂的に受け入れられています。
もちろん、アイアンマン(鉄人レース)の世界選手権もハワイで継続されていますし、
アイアンマン・ハワイへ参加する権利を獲得できるロングディスタンスのアイアンマンのシリーズ戦と、
51、5kmの大会でも権利を獲得できる大会が世界各地で開催されています。


さて日本の51、5kmのトライアスロンですが、日本の男子は世界選で30位くらい、
世界ランキングもトップ選手が30位前後で、世界シリーズでの個人獲得ポイントによる、
その国の上位選手のポイントの合計で作る国別ランキングによるオリンピック出場枠を獲得できていません。
オリンピックのトライアスロンは50人のエントリーで、ワイルドカード出場枠がITU にゆだねられています。


日本の女子は伝統的に世界ランキングの上位に入っているので、国別ランキングで1国最大の3人枠を獲得しています。
国別ランキング作りに関係する時期までの国際トライアスロンシリーズへの参加選手は、
世界各国のトライアスロン団体から強化補助費が供給されて、有力選手が出場してきますが、
出場枠の計算に関係が無くなった時期のオリンピックイヤーの国際シリーズには、
リコンディショニングのために有力選手が出場しなくなります。


有力なライバルが少なくなった国際シリーズに出場すれば、当然順位を上げられる可能性が高くなりますが、
トライアスロンは体へのダメージが大きいスポーツなので、レースの感覚を忘れないようにするのと、
体の回復や調整をする必要があります。
リオに出るとして、ピークパフォーマンスを発揮するとしたら、そろそろピーキングとかピリオ大ゼーションという、
コンディションの調整が必要な時期にかかっています。


男子の競技レベルも女子の定規レベルも、じりじりと向上して、スイムの差はバイクで確実に吸収され、
余程バイクのキャパシティを持っていないと、時速43kmくらいの男子、時速40kmの女子、
ドラフティングレースで消耗して、いくらランを磨いていてもそのパフォーマンスを発揮できなくなっています。
バイクがランへのつなぎだなんて勘違いして、ドラフティング走行で温存するパートだと勘違いしては勝てません。
40kmのバイクは、体力をカンナでけずるような状況なのです。


しかし、日本の男子は2000年のころからレベルが上がっていませんね。
むしろ出場枠を国別ランキングで獲得できなくなっているのは、世界レベルに付いて行けていないと言えるでしょう。
女子のレベルはトップ10を争えるレベルですが、やっぱりスイムで上位を確保して、バイクを余裕で走り切って、
ランで爆発できるパターンの選手がメダルへの近道でしょうね。
現在の日本代表では、フルメンバーが調整して参加してくるオリンピックで、上位入賞もきびしいでしょう。
でも頑張ってほしいな。ではでは。