クマさんのバイク専科

ヒルクライムのためのウオーミングアップのメソッド

ヒルクライムの当日は7時に最高峰の男子のエリートクラスがスタートします。そしてすぐに女子のスタートになります。だから朝食はスタートの3時間前の4時ころには済ませておくのがセオリーです。でも、今回の宿が用意してくれた、5時からの朝食は、入賞狙いとか、自己ベストを目指して本気で乗鞍を走るなら、少しタイミングが遅過ぎますから、前日にコンビニなどで食べ慣れているものを朝食に買っておいて、スタート3時間前の自分のタイミングで食べた方がよかったですね。

 

朝食を食べ終わるのは、スタートの時点で胃を通過して腸で消化吸収し始める、3時間前に設定する必要があります。しかも、レースイベントで興奮していたり、緊張していることもあるので、いつもと体調やメンタルも違うので、その影響で食べ物の消化吸収に3時間以上かかることもあります。繊維質のある野菜やお肉ではなく、炭水化物系の消化しやすいものを食べることも重要です。

 

朝食は普段食べ慣れているものを食べて、しかも、量は普通に食べたいと思っても、少なめに抑えて消化吸収しやすい状況を作ります。かといってスタートの時にお腹がすいたと感じていたのでは元気が出ませんから、食事の後も少量の糖質、食べやすいカステラなどを少しずつ食べたり、エネルギー補給系のゼリーを少しずつ飲んだりします。

 

前回の乗鞍では、たまごさんはこういうヒルクライムの競争みたいなイベントへの参加が初めてでしたし、ジャクソンさんもローラー台を用意してのウオーミングアップの経験がなかったみたいです。2人とも、いつもの落ち着きがなく、どうすりゃいいのと言う感じでした。ヒルクライムの本番は、女性ライダーだけの200人くらいの集団スタートで、足に巻いたチップが反応して計測が始まります。最初から全力で行くライダーが多く、いきなりの上り坂で負荷の高い走りになることを、想像したり、知ってはいても、スタートして数キロ走るとどうなるかを理解していなかったみたいです。

 

前回は宿が松本市内でしたから朝が早く、クルマで移動しながらのコンビニ朝食になりました。スタート位置の近くにクルマを止めて、せっかく固定のローラー台を2台持って来たのだから、スタートまで時間があるので、入念にウオーミングアップしなさいと言っても、小雨の降る外でペダリングするのが嫌なのか、わざわざウオーミングアップをするのが照れくさいのか、20分もペダリングするともういいですと止めてしまいました。

 

それでも薄らと汗をかいて、筋肉の温度は上がったと思いますが、深部の毛細血管を広げたり、ミドルハイのレースで使う領域をウオーミングアップで経験して、乳酸を発生させて、乳酸除去や乳酸を発生させて動きにくくなった筋肉を神経回路やオートマチックに動かす回路を刺激して体を起こします。ウオーミングアップには、体の自律神経系の回路を起動することで、負荷の高いヒルクライムにすぐに対応できる、体のシステムの準備をすると言う意味があります。ヒルクライムイベントやTTとかでいきなり最高のパフォーマンスを発揮するイベントに重要な要素です。

 

最初から負荷の大きい走りになって、上位入賞を狙うなら、前方の集団に付いて走るので、スタートからほぼ全力での走りになります。という事は、上位狙いのライダーはスタート直前まで、いきなり全開で走れるように、40分くらいの入念なウオーミングアップが必要なのは言うまでもありません。それをスタート時間の20分から30分前に済ませておき、暖かいウエアを着てスタート地点で脱いでスタートします。

 

まずは暖かいウエアを着てウオーミングアップをスタートします。20分間はLSDレベルで筋肉を温める感じでペダリングします。筋肉もほぐれてパワーを発揮しやすくなります。毛細血管も広がり、薄らと汗をかきます。心拍数は平常心拍数の2倍以上になり、呼吸数も増えますが苦しくはありません。そこで3分間、毎分80回転できるような負荷をかけてペダリングします。30秒もペダリングすると乳酸が発生して、1分もペダリングすると脚の動きが重くなり始めます。2分、3分と経過するとかなり脚の動きが重くなります。3分間続けてペダリングしたら、運動強度を落として乳酸の除去にかかります。

 

負荷を軽くしてLSDレベル以下のペダリングで、軽くゆっくり20分間を目標に、リラックスしたケイデンス70回転から100回転の無理のないペダリングを続けます。10分間クーリングしたところで、負荷を増して重い!と感じるくらいの状態で、ゆっくりゆっくり重くなったクランクを回転させます。2分から3分間、重さを感じながらも、無理して踏み込む必要はありません、クランクを回す重さを体験します。ゆっくり回すだけです。そして10分間LSD 以下でペダリングして乳酸が抜けてすっきりしたらウオーミングアップ終了です。

 

アッパーも脚も、暖かいウエアを用意して着込んで、筋温を下げないようにスタート地点へ向かいます。気温が20度を切っていたら、暖かいウエアは必須

アイテムです。雨のスタートならゴアテックスのレインを上に羽織っておいて脱いでスタートします。寒ければウインドベストを着込んでスタートすると、ちょうどいいと思います。これで元気にスタートできます。ではでは。