クマさんのバイク専科

電動メカの作動の早さではデュラエースだね!

シマノの11段のDi2デュラエースは、圧倒的にインデックス変速のレスポンスが早い、しかもフロントディレラーのチェーンケージのチェーンタッチを防ぐオートトリム操作も素早くて、数段動かすとモーター音がして小さくチェーンケージが動いています。アウターギヤ×ローギヤとか、どんなにチェーンが斜めになってもチェーンケージへのチェーンタッチは全くありません。次いで早いのがDi2アルテグラのリヤ変速と、全くチェーンタッチがないフロントのオートトリム操作となります。

 

シマノの電動メカは、いずれも普通にレースで使えるクオリティです。ロングライドするライダーなら大満足のレベルでしょう。元になっているコンポーネントがリアルレーシングクオリティです。リヤの上り変速とフロントのアウターギヤへの変速はケーブルによる強制、リターンは変速機に組み込まれたリターンスプリングの力に頼るメカニカルの変速システムでも、圧倒的にスムーズな変速をリヤもフロントも実現していたコンポーネントですから、モーターで強制的に変速するDi2と組み合わせればおのずとスムーズさはさらに向上すると言うものです。

 

12月に発売予定のデュラエースは、ロードディスクブレーキ台座のメインストリームになると言われている、新規格の台座が採用された油圧ディスクブレーキがラインナップに加わります。Di2デュラエースの電動メカの変速レバーと油圧ディスクのブレーキレバーが組み合わされたモデルが登場します。リヤディレラーはMTBのメカニカルのリヤディレラーに採用された、ダメージを受けにくいシャドーデザインをメカニカルもDi2も踏襲することになります。パワーを測るストレンゲージ組み込みの中空アルミ合金製のクランクが停滞しているようですが、当然、前後変速ともスムーズさは今まで以上のレベルで確保されているはずです。

 

カンパニョーロのスーパーレコード、レコード、コーラス、アテナのリヤのインデックス変速はDi2アルテグラとほぼ同等、ただしフロントのオートトリム操作は少し遅くて、少し中に入っている小人(プログラム)がどうすればいいかを考えているのか?、チェーンタッチがあってからのフロントインデックス変速になります。なんとものどかなレーシングコンポーネントです。ただし、カーボンのフォーアームクランクになってからは、アームが強化され、止めピンから歯先までの距離も短縮されて剛性アップしたせいか、チェーンの移りそのものはスムーズになっていますが、チェーンケージの動きそのものは遅く、チェーンタッチは改善されていません。カンパニョーロの開発力はエレクトリックの方面が苦手そうだから、4ブランドの電動メカが出そろったとき、次世代のEPS ってワイヤレス化とか、変速スピードアップとか、競争力を高められるのかな。

 

さて、スラムレッドのワイヤレス&電動メカはどの程度のインデックス変速の速度か。ほぼアルテグラと同等のリヤのインデックス変速でした。フロントのインデックス変速もアルテグラと同等です。フロントは構造が単純化され、オートトリム操作は組み込まれていないのですが、チェーンケージの形状と、チェーンゲージの特殊な動き方で、斜めがけのチェーンのドライブでも正しく取り付けられていれば、チェーンタッチしないようになっています。

 

シマノ、カンパニョーロ、スラムの電動メカも、リヤ側の変速レバーまたはスイッチを長押しすると、押している間だけトップギヤ側やローギヤ側へ連続して変速し続けます。今日はシマノのDi 2の色々な変速スイッチを体験してきました。まずフーデッドレバーのブレーキレバーに設定されている上下2つの変速スイッチ、右レバーの上のスイッチがリヤのローギヤ側への変速。右レバーの下のスイッチがリヤのトップギヤ側への変速スイッチです。

 

そしてドロップバーのアールの途中に設定したリヤメカ用のスプリントスイッチ、これはドロップバーの左右に設定できて、右側がトップギヤ側への変速。左側がローギヤ側への変速です。短く押すと1段ずつのインデックス変速、長押しすると連続して変速できます。左右入れ替えて設定すればその逆も可能と言うことです。次のスイッチはドロップバーの上に設定するリヤ変速スイッチです。右のボタンを短く押すとトップギヤ側へインデックス変速、左のボタンを短く押すとローギヤ側へ1段ずつインデックス変速します。長押しすると連続で変速します。

 

この他に、DHバーの左右の先端に取り付けるシフトスイッチもあります。左がフロント用で2ボタンでフロンメカを、インデックス変速または連続変速の操作をします。右がリヤ用で2ボタンでリヤメカをインデックス変速または連続変速の操作をします。シマノのDi2のリヤメカは最大使用可能歯数が28Tとか30Tと表示されているはずです、実際に試してみましたが、リヤエンドの形状にもよりますが、アアルテグラの11〜32Tの超ワイドスプロケットを使えてしまいました。

 

シマノ以外も32Tローギヤの使用を試してみましたが、カンパニョーロのエPSも、スラムレッドのeタップのリヤメカも、インデックス変速してしまいました。ただし、リヤメカには負担がかかるでしょうから、コンポーネントが破損する可能性もあります。保証対象外の使い方になりますので、自己責任での使用判断となりますので注意してください。壊れてもクレーム対象にはなりません。

 

ところで、第4の電動メカのFSAももうすぐリリースされるでしょう。変速レバーからの変速のコマンドはワイヤレスでフロントメカに伝達され、フロントメカとリヤメカは有線でつながれ、充電式の電池はフロントメカ側に接続されているようです。4ブランド電動メカ対決の時代がもうすぐ始まります。電動メカによる変速システムは今後どんどん普及して行くでしょうね。だって、トルク変動に合わせて変速する回数が増えるし、指先で操作するだけだから楽だもん。

 

もちろん、電池の充電量の管理、ケーブルやプラグの管理、転倒時のダメージを受けた場合のレイドバック機構からの解除、インデックス変速のズレの解消方法、オーバーストロークの対処、まあ電動メカならではの、気にしなければいけないこともありますが、電動メカのストレスフリー度は凄いです。最初のシマノのDi2登場以来、自分で組み立てて調整して、使ってみて感じていましたけど、使い始めたらメカニカルへなかなか戻れそうにありません。

 

変速レバーの機能が気にかかりますが、シマノは右側がリヤ、左側がフロントの操作をメカニカルと同じく守っています。カンパニョーロは正しくメカニカルのエルゴパワーシフターの変速レバーと同じ動作を、EPS エルゴパワーシフターで踏襲しています。スラムレッドのワイヤレス&電動メカの変速レバーだけがユニークなというか、メカニカルの1本レバーを深く押したり、浅く押して変速機を内外へ操作するダブルタップレバーとも全然違う操作をeタップレバーに設定しています。

 

右レバーでリヤのトップギヤ側への変速、左レバーでリヤのローギヤ側への変速、フロントは左右のレバーを同時に押す。これに慣れるのに時間がかかりそうです。何か違和感があります。でも、電子制御のシステムは拡張性がありそうで、色々な可能性をまだまだ残していますね。どんな発想の技がメーカーから提案されるのか、そして裏技が登場するのかも楽しみです。4ブランド出そろったころに比較して、2台目以降のバイク、今乗っているバイクへの電動メカコンポへの乗せ換えも検討してみてください。11段のメカニカルのコンポーネントが付いているバイクなら、Di2アルテグラもスラムレッドのeタップも、20万円前後の投資で実現できます。ではでは。