クマさんのバイク専科

新型デュラエースのメカニカルが入荷しています!

シマノの最高峰のロードコンポーネントがフルモデルチェンジされました。シマノはロードバイクの新しい流れを作るディスクブレーキ化を、105やアルテグラに展開して、デュラエースもというわけです。Di2 とハイドロリックディスクブレーキのシステムが注目されていますが、その前に、シフトケーブルで操るメカニカルのモデルの登場です。12月に入荷という事でしたがちょっと早まり、11月の上旬に入荷しました。

 

旧型は樹脂コーティングシフトケーブルの採用や、デュアルコントロールレバーや、前後のディレラーの見直しが行われて、引きがかなり軽くなった変速レバーはストロークも小さくなって、前後ともスムーズさで定評があるインデックス変速を実現しています。ブレーキレバーの引きが軽く、ストッピングパワーも強化された、3支点のデュアルピボットブレーキ、ダイレクトマウントブレーキなど、前のデュラエースの完成度が高いだけに次世代のメカニカルモデルを開発する人達も大変だと思いました。

 

フロントディレラーはパンタアームの1本が長かった旧型と違い、パンタアームが短くなって、シフトケーブルは今までにないルートを通ってパンタアームに固定されています。これはプレス向けの試乗バイクに取り付けられていた、アルミ合金の切削加工まるだしのプロトタイプの時から気になっているのですが、旧型はケーブルのハンガー下からのルートをチェックするケージを使って、長いパンタアームのケーブルの固定までのルートを決めていたけど、新型のフロントメカのシフトケーブルのルートはちょっとユニーク、これでいいのかな?。

 

リヤメカもワイドスプロケット化への対応で大きく変わりました。プロの世界もギヤ比はワイド化しています。ジロの厳しい上り坂の設定や、ツールでもヒルクライム区間が設定される山岳ステージではワイドギヤ採用の選手が多くなっています。心肺機能頼りの走りは有酸素運動重視で、その時はケイデンスが110から130回転と高く、呼吸も心臓も苦しいのですが、運動強度を低くすれば心肺機能の苦しさは無くなり直ぐに心拍数も低下して回復します。パワーを発揮しても筋肉の疲労を低く抑えることができます。

 

ケイデンスを上げて心肺機能を頼りに、筋肉の蓄積疲労を避ける走り方が運動生理学的に効率がいいことが証明されて、実際に選手がそういう走りを採用して成果を上げて、それに影響されて上り坂でも高ケイデンスを実現するために使用ギヤ比が変化しています。これは深読みし過ぎかも知れませんが、ドーピングに対する批判や実際のチェック、そして罰則も罰金だけでなく出場停止期間が長くなったり、永久追放など厳しくなって、筋力頼りの踏み踏みな走りをしてしまうと、翌日のレースに向けて回復できなくなっていることも関係しているかも。嫌な話だけどね。

 

ロード用のスプロケットも30Tローギヤが用意されています。ワイドギヤ対応のミドルのプーリーケージになっていますし、ワイドスプロケットの歯先への、上プーリーの追従に関係するスラントパンタ(斜めにオフセットされたパンタグラフ)が採用されています。エンドブラケットに止めるピボットと、上ブラケットのピボットの2つのピボットが設定され、パンタグラフ部分の動きで上プーリーの歯先と、11段の各スプロケットとの歯先間隔の調整を行っています。

 

さらに、チェーンテンションをとる動きを生み出していた、上のピボットのスプリングが省かれています。ピボットが増えた分スプリングが無くなっても軽量化にはなっていませんね。つまり新型デュラエースからシングルテンションのリヤディレラーになりました。ワイド化しているのにプーリーケージを止めているピボット部分にのみテンションスプリングが入っているだけです。上下のプーリーの間隔を広げ、ケージを長くしたことが効いているんでしょう。横への出っ張りが少ないMTB コンポーネントで採用されていたシャドータイプになりました。

 

デュラエースのビンディングペダルは新型になりました。カーボンチップ補強されたワイド樹脂ボディで、シマノらしく踏み面の面積を稼いで、従来からのプラスチック製のクリートと組み合わせて、踏み込む足との接触面を大きくして、小指から親指までのサポート感を高めて安定感を実現しています。ペダルシャフトはスチールの中空の軽量モデルで、特殊なベアリング形式は従来の構造で、球当たり調整を確実に行えます。

 

しかも、今までもアルテグラ、105、550のペダルより、ペダル軸の中心から足の裏までの距離が1mm近かったのですが、もしかしたらロープロファイル化も施されている可能性もありそうです。今度、手に入れてペダル軸の中心から踏み面までの距離を計測してみます。カーボンチップ入りのペダルボディは、旧デュラエースペダルより後に発売された105や550で採用されたボディデザインのスロープがヒントになって、クリートがスムーズに収まる形状にシェイプが変更されています。

 

実は大きく変わるのがホイールで、28mm幅にワイド化してフィットするタイヤの太さが25mmになっています。やや斜め前からの風に対して空気抵抗が小さくなっているそうですが正面からの空気抵抗はどうなのかな?。28mm仕様のエアロダイナミクスリムで続々発売の予定です。まずは37mmハイトのカーボンディープリムの平地の加速や、上りの軽さがバランスした剛性の確保された軽量モデルから入荷するんじゃないかな。カーボンリムは素材や重ねる積層数が再検討されて強度アップしているそうです。というわけでキャリパーブレーキは3支点の構造で、28mmリムとブレーキパッドとのクリアランス、ブレーキキャリパーとのクリアランスを確保するために、28mmリム対応のブレーキキャリパーの形状になっています。

 

ディスクブレーキ対応のホイールもラインナップされます。前輪はクイックレリーズ仕様も、スルーアクスル仕様も、100mmオーバーロックナット寸法が採用されますが、後輪はクイックレリーズ仕様は135mm、スルーアクスル仕様は142mmになるはずです。もちろんリム幅は28mmという事になります。だけど本当に、みんなが25mmタイヤ仕様のホイールでいいのかな。確かに太いタイヤはグリップ力も高くなって安心して曲がれます。ショック吸収性も大きく快適に走れます。でもね・・・・・・。

 

ライダーのパワーが1時間500ワット巡行できる選手と、250ワットキープできる人が少ない一般ライダーが同じ機材でいいのかな。パワーがそれだけ差があればレーシングギヤクランクとコンパクトドライブクランクがあるように、ホイールも使う機材に違いがあっていいんじゃないかな。スピードにすれば時速40kmから55kmと、時速25kmから40kmの差がありますよ。路面からの振動の伝わり方もスピードが高いと確かにストレスになり、プロの走りでは全く別次元です。23mmタイヤと25mmタイヤで1本30gから40g、リム周辺重量が変わるんですから、一般ライダーは踏み味の重さをはっきり体感できます。本当に同じでいいのかな。

 

4アームクランクはアルミ合金の中空構造でさらに軽量化され、アームとクランクはアンシンメトリックデザイン、アームはもっとも力のかかる部分と太くなったクランクと一体化されています。パワー測定タイプのデュラエースクランクは来春発売予定だそうです。Di2デュラエース&ハイドロフォーミングのディスクブレーキ仕様も来春発売で、フレームやフロントフォークには、シンプルなディスクブレーキ台座の規格が採用されて、2017年モデルにはディスクブレーキも、スルーアクスル採用の142mmエンドモデルも登場しています。本格的な新規格台座のロードディスクブレーキ時代がやってくるというわけです。ではでは。