クマさんのバイク専科

形状、幅、素材、最適なドロップバーを選ぼう

ドロップバーの形状そのものが、どんな形に細分化しても、ドロップ部分の下、ブラケット、バーの上の直線部分などをグリップして、上半身の曲がり、腕の曲がりで、フォームを変化させて空気抵抗を減らしたり、体重のペダリングへの利用度を調整したり、バーを引いたり押したりして腰や上半身を支えて、ペダリングで発生したパワーを支えたり、ハンドリングしてバイクをコントロールするパーツです。

 

ドロップバーは、元々がライダーのパワーを引き出す形状を追求して、アナトミックとかエルゴノミクスデザインです。最初はスチールチューブを職人の手でベンディング加工(曲げ加工)したハンドルバーでした。初期のモデルは、曲げ加工が難しく、アールが大きいセミドロップ形状で、だんだん加工技術が進化してます。

 

今のモデルのようにリーチとドロップがはっきりしたドロップバーになり、ハンドルバーの素材も肉厚のあるアルミ合金チューブが採用されて、ベンディング加工され、軽量化も実現します。ベンディング加工では日本のニットーハンドルがベンディングしても断面形状が変形しにくく、しかも左右のシンメトリック度でも定評があります。

 

80年代にイタリアのモドロブランドが、アナトミックデザインというドロップ部分の下半分のグリップ位置の一部に直線を配して握りやすくしたモデルを発売して、本格的なアナトミックデザインのモデルが各メーカーから登場します。それまではドロップバーのアールが1つか2つのシャローバーで、アールが大きいドロップが深いモデルと、アールが小さい浅いモデル、そして、上の直線部分からドロップ部分にかけての肩の部分のアールが小さいチネリのジロデイタリアやチャンピオンドモンドのような角バーと、アールが大きいチネリのクリテリウムのような丸バーがありました。

 

ドロップバーの前方向への突き出し寸法をリーチといいます。ドロップバーの上の直線部分と、下のグリップする部分までの寸法をドロップといいます。ドロップバーの素材はピストようにスチール、ロード用はアルミ合金とカーボンがあります。アルミ合金製のドロップバーも、肉厚を変化させたバテッド加工とか、熱硬化処理されて、200g前後の超軽量のモデルがあります。アルミチューブをベンディング加工してドロップバーの形が作られます。メーカーの技術力が左右対称の曲げや、曲げた部分のチューブの断面の変形量が少ないところに表れます。230g前後の軽量モデルは転倒などで変形したり、座屈してしまう可能性があります。ドロップバーの折れの原因になることもあるので充分に注意して点検したほうがいいですね。

 

アルミ合金製ドロップバーの中には、ハイドロフォーミング(内側から油圧をかけて成型)加工して、エアロ形状やウイング形状に成型したモデルもあります。ハイドロフォーミングのためにアルミチューブは肉厚が厚くなり、軽量ではなくなります。いずれにしてもアルミ合金製のドロップハンドルは、曲げ加工が行われるので、薄いアルミチューブを曲げるので、ベンディング加工の技術がかなり進化してはいますが、金属には変形できる限界があり、それを越えるとしわがよったり、座屈するので、曲げられるアールの大きさに限界があります。

 

それでもかなり曲げ加工は進化して、直線部分から急激に曲げられて、小さいアールの肩の曲がりと、ドロップ部分の小さいアールの曲げで、ショートリーチを実現、小さい曲げのドロップ部分で、ショートドロップのドロップバーを実現して、発売しています。カーボン素材のハンドルバーは、成型技術が進化して、かなり成型の自由度が高まりました。カーボン素材そのものも弾性率30t,40t,50t,60tが採用されて、数字が多きほど加重に耐えられる素材で、ドロップバーの価格も高価になります。

 

同じメーカーのカーボンハンドルで、形状も成型方法もほぼ同じなのに、価格が4万円から2万円くらいまでのグレードが用意されているモデルは、まさにカーボン素材のグレードの違いが価格に反映されているのでしょう。同じ形状でも重さも違ったり、実際にバイクにセットしてみると、ハンドルの剛性感も違うことがあります。60tの素材は剛性を確保できて、しかも破断特性も高次元でバランスしたカーボン繊維で、高級な、軽量で剛性の高いフレームにも採用されています。

 

カーボンフレームの複雑な形状や肉厚をコントロールできる、精密成型に採用されている技術がカーボンドロップバーにも投入されて、大小のアールや直線の複合したアナトミックデザインや、アールの小さいドロップバー、エアロ断面形状も実現しています。複雑に分離できる外型や内型へ、熱硬化する樹脂を含浸させた一方向に並べられたカーボン繊維の布を張り付けて、設計強度を実現する方向にカーボン繊維の方向を合わせ、必要な枚数だけ積層させます。手間のかかる仕事ですから人件費の安いアジアの協力工場で生産されるようになっています。

 

カーボン繊維に内圧をかけて、型へカーボン繊維を押し付けながら、カーボン繊維と熱硬化樹脂に含まれている、割れや折れなどの強度低下の原因になる空気を抜き取りながら、熱をかけて含浸させた樹脂を硬化させて、精密成型することができるようになっています。成型の自由度は向上して、曲がりのアールはアルミ合金製より小さくできるし、部分的な断面形状も、エアロダイナミクスを意識したティアドロップ形状や、オーバルに成型すること、ケーブルの収まる溝や内蔵穴やトンネルの成型も可能です。チネリのネオモルフェは、まさにカーボン繊維の成型の自由度を駆使したアナトミックデザイン採用のドロップバーです。

 

カーボンドロップバーは剛性と転倒時の破損の可能性を考えて、200g前後のモデルが多くなっています。実用強度的には問題ありませんが、やはり転倒などのアクシデントで大きな力がかかると、カーボンハンドルバーの場合は破損の可能性もあるので点検が必要です。流行のショートドロップ&ショートリーチバーは、リーチが短くなった分だけステムの突き出し寸法を長くして、ハンドリングを安定させることができます。さらにドロップバーの上の直線部分を遠くして、呼吸は楽な状態で、パワーを引き出しやすくできます。ブラケットの距離は変わりません。

 

ショートドロップは、ブラケットの位置とドロップバーの下のグリップ位置との落差を小さくできます。下のグリップ位置との落差が大きい方がいいライダーは、ショートリーチだけのモデルを選びます。スポーツバイクつくばmツナがにはシャローデザイン、アナトミックデザイン、ショートリーチ&ショートドロップのモデルが用意されていますし、ハンドル幅も380mm、400mm、420mm、組み合わせるステムの長さも5mmから10mm単位などで用意されているのでスタッフに相談して選んでください。ではでは。