クマさんのバイク専科

土曜日も日曜日も、ライドを走って珈琲中山へ!

土曜日もマジカルミステリーツアーの走り終わりに、珈琲中山へ立ち寄りました。このお店、今は、花室の交差点にあるスポーツバイクつくばマツナガに面した道路の、土浦へ向かって1kmくらいの右側にあります。ここのオーナーは、つくばにあったカロッツェリア・オミノで手に入れた、イタリアのレパルトコルセで作られた、チェレステのビアンキに乗っていた自転車乗りです。

 

もうこのお店とのお付き合いは20年以上かな、イタリアのバルやレストランで飲むエスプレッソやカプチーノのイタリアンテイストの珈琲の美味さ、当時、それを東京で求めても、ここだと言うところを見つけられませんでした。シアトルカフェのスターバックスカフェも、繊細な日本人がイタリアンテイスト珈琲を追求したタリーズカフェもありませんでしたから。

 

デローザで修業していた長澤義明さんに次いで、イタリアで、ロッシンやジャン二モッタの工房でフレーム作りの修業をして、日本へ帰って工房を開いたばかりのキヨ・宮沢さんに、ロードのフレームをオーダーに行って、日本で美味しいイタリアン珈琲を飲ませる店を見つけたら教え合おうと話していました。そんなとき、撮影用のバイクを借りにつくばへ行ったとき、オミノさんに珈琲を飲もうと連れて行かれたのが、店の向かいにあった珈琲中山(今は移動しました)でした。

 

中に入るとゆったりできそうな、見るからに上質なソファーとテーブルが置かれていました。アールデコ調の調度品がしっとりと似合う室内の作りで、間接照明がほのかに明るくて、長居してしまいそうです。モデルのような長身でダンディな店長(実はオーナーでした)さんが仕切っていて、女性の店員さんがきびきびと動いて、熱々のお手拭きを広げて手渡してくれます。薄いクリスタルのグラスに満たされた水は、浄水器で磨かれた水と氷で満たされています。この水なら美味しい珈琲が入れられると思いました。

 

最初に頼んだのはキリマンジェロだったと思います。なんと湿度をシャッタアウトするガラスの容器に入っている、焙煎したばかりの豆をグラスに移して計って、素早くコーヒーミルにかけ、珈琲を一杯分ずつサイフォンで入れてくれるのです。広いお店が珈琲の香りで満たされます。確かに美味しいです。もしかしてと思い、イタリアンローストの珈琲はありますかと店員さんに聞きました。エスプレッソ(イタリアンという名前でした)と、カフェカプチーノがあるそうです。もちろんイタリアンを頼みました。マシンの高圧で抽出したのではなく、アルミ製の小型のパーコレターにイタリアンローストした珈琲を詰め込んで、アルコールランプで水を熱して蒸気を作って抽出して、熱々の状態で持って来てくれました。

 

小さなカップもオシャレなもので、何かこのお店カップも調度品も女性店員さんのサービスも、全てが本物志向で上質です。その深煎りの色の濃い豆のとおり、イタリアンローストの豆のエキスを100%引き出した、褐色の飲み物は久し振りの美味しいイタリアン珈琲でした。キヨさんへすぐに「つくば学園都市で美味しいとこ見つけたよー」と電話しました。「ちょっと遠いけど行きて〜な〜」と返事が返ってきました。ボクはこのお店でイタリアンを飲むために、八丁堀から高速道路に飛び乗って谷田部インターで下りて通うようになりました。

 

筑波大学のトライアスロン部のスーパーバイザーをやっている時も、必ず立寄ってイタリアンを飲み続けました。ランチメニューのバーガーもパティが美味しくて、付いている野菜も契約農家が作っているものでこれも美味しくて、超お気に入りになって、今でも一緒に行った人に薦めしています。日曜日もベジタリアンSさんと、大王Kさんを誘って珈琲を飲みに行きました。マスターとは昨日、夕方まで2時間以上お話ししたばかりでした。カウンターに座り、オーナーの珈琲を入れる熟練の技を見ながら注文しました。するとトマトジュースが美味しいから飲んでみたらというので、珈琲とは別に頼みました。

 

北海道の富良野産のトマトを搾ったものだそうです。どろっとしている分けではなく、さらっとしてトマトの色をしているのに、酸味、甘さ、かおり、「ザ・トマト」って感じの存在感があるピュアなジュースで、「美味しい!」としか言いようがありません。注文しなかったKさんにもマスターがトマトジュースのグラスを出してくれました。ベジタリアンSさんは、目がキラキラして、その味に感動してしまったようです。すると、今ではダンディなオジサンになったオーナーが、何かシンプルなラベルの付いた2万本限定というトマトジュースの中瓶を持って来て、Sさんにプレゼントしてくれました。

 

Kさんは自走でつくば駅に行ってTXで帰りました。サイクルショップが閉店するのを待っていたので、珈琲話しがまだまだ続きます。オーナーはSさんに美味しいハーブティーのポットをサービスしてくれました。オリーブさんがお気に入りの紅茶も色々用意しているんですよね。でも、ここに来たらイタリアンでしょ。もちろん1杯目はもう飲みましたよ。Sさんにも飲んでもらおうと、オーナーにお代わりを注文して、カップを2つお願いしました。すると、棚の上の方にあるクリスタルのエスプレッソ用の小さいのを出してくれました。カップ本体は北欧風のデザインでしたが、イタリア製でした。

 

持ち手が半円の透明で、縦に細かくストライプが入っていて指を入れる穴がありません。オーナーは「持ちにくいだろ〜、でもカッコ良くてさ、イタリアらしいよね」。ソーサーもクリスタルのオーバル形状で、カップの半円の持ち手の下が収まる溝があって、置くとぴったりとカップが動かなくなります。オシャレ〜!。2人とも、そんなオーナーの心使いにやられてしまいました。Sさんにはいつの間にかどら焼きまで出してくれていました。またつくばへ来たら寄らせてもらいます。

 

女性店員さんがこのお店に長く定着していることを知っています。珈琲を入れる手さばき、デリケートなクリスタルのコップを二つずつ素早く綺麗に洗うテクニック、全てが流れるような熟練の技です。いつものカウンターの席から、動きを見ていて気持ちがいい。お水の交換の目配り気配りが素晴らしい。このお店の珈琲や紅茶の質の良さ、ランチセットのバーガーやクロックムッシュの美味しさ、各種のケーキ、そして器、店員さんのサーブぶり、本物志向の調度品など、このお店のクオリティの高さを、この席にいるだけで窺い知れます。

 

お店の一角に大がかりな焙煎の設備があります。各店舗の珈琲の焙煎をオーナー自身がやっているそうです。「まだ焙煎のテクニックに満足できなくて」と、驚きの発言です。「できている感なんかこれっぽっちもない」そうで、「下手になってもいいから、まずくなったと言われても仕方がないと思っているんだけど」、と、生産地の違う珈琲豆の個性や魅力をもっと引き出す焙煎の見直しに、60歳を越えて1からチャレンジしているそうです。頑張ってください、凄いオヤジだな〜只者ではないな〜。つくばに住んでいたら、毎日通いたくなるお店です。ではでは。