クマさんのバイク専科

リッチーロジックのステム、頼むよ〜!

MTB のブランドとして有名になったトム・リッチー、元々はロードレーサーでした。彼はMTB 発祥の地とも言えるカリフォルニアのオレンジカウンティのフィールドをバックグラウンドに、フレームビルダーとして、MTBの草創期にゲーリー・フィッシャーなどとジョイントして活動していました。リッチーブランドの軽量なMTBのクロスカントリーバイクや、ロードの上級グレードのスチールフレームは、日本のフレーム工房で作られるようになっています。

 

彼はフレーム作りから手を引いて、リッチーブランドのバイクやパーツのプロデュースに注力しています。MTBやロードバイク用のパーツや、MTB やロードやシクロクロスバイクのアイデアを出して、日本や台湾やタイランドのメーカーが製品を製作して、完成車メーカーやアフターマーケットへ供給されるようになっています。リッチーロジックの製品は、ステム、ハンドル、シートポスト、サドル、タイヤなど、広い範囲に及んでいます。

 

リッチーのアイデアのポリシーは軽さ、走りの良さ、シンプルでスマートなデザイン、MTB パーツでもロードパーツでも、ロードの世界で養われた贅肉を削り落とすという感性が生きています。だから、あまりにもMTB の世界で有名になったブランドの製品にも関わらず、ロード乗りの感性にぴったりはまる、外観的にも、その構造などにもシンパシーを感じる製品群が存在して、ロードバイクにも受け入れられているのでしょう。

 

だからこそ、あまりにも、今回気が付いたことはショッキングでした。リッチーロジックの軽量なアルミ合金製のメルトフォージングのロードステム、WSC というモデルの話しです。ハンドルのクランプ部分には、ステムの突き出し寸法が110mmと白い文字で表示されていました。2本のWSC の73度ヘッドアングル対応のステムには、確かに110mmの文字がプリントされています。タイムのXXSサイズのトップチューブの長さ515mmに取り付けるために用意したステムです。

 

ドロップバーはイーストンのEC90のSLX 3のシャロータイプです。2本のWSC の110mm表示のステムを並べて見ていると妙な感じが・・・・・・?、長さが違う感じがするのです。並べ方が悪いのかな、目の錯覚かとも思いました。やっぱり2本のステムの突き出しの長さが違うみたいです。工具箱からノギスを取り出してクランプ部分の中心から、コラム部分の中心までの、ステムの突き出し寸法を計ってみました。その前にもう一度クランプ部分の突き出し寸法の表示を確認しました。110mmと書いてあります。

 

心を落ち着けてノギスをステムのハンドルのクランプの中心から、コラムのクランプの中心までにあてて計ってみました。1本は112mm、もう1本は107mmでした。信じられなくてもう一度計りました。2本のステムのハンドルをクランプする部分の淵に、アーレンキーを当ててステムの突き出しの長さを比較しましたが、確かに1本は短かいのです。

 

同じ73度ヘッドアングル対応モデルの、同じ突き出し寸法の110mmの表示のモノでしたが、5mm長さが違っていました。何かの間違いなのか、入荷時期が違っている製品だったので、製造段階で何かが起こっている感じです。1万円を越える製品なので、しっかりクオリティ管理いてほしいですね。ステムの長さを信じて使っていたのですが、どうも長い方のステムをセットしていたタイムのグリップ位置が遠いと感じていたのは現実だったんですね。

 

最新の220度オープンのクランプタイプのリッチーロジックのステムの長さは表示寸法通りなのか、どの部分で寸法を計っているんでしょ。入荷時期によって表示寸法と現実の長さが違わないか。ステムの突き出し寸法だけでなく、クランプ部分の垂直、クランプ径、コラムのクランプ部分の上下の切り口の平行度、コラムクランプの径、コラムと突き出しの角度のライズなど、ステムの精度全体も心配になりました。

 

アヘッド小物の圧縮に関係するコラムの上下の平行度は、精度があまりよくないので、プレッシャープラグで押すと、ベアリングにかかる圧力が均一になっていないことがあるのは知っていました。ステムの突き出しの長さについてメカニックに聞いてみると、時々同じモデルの同じ寸法表示で長さが違うものがあったそうです。メーカーによってはステムの突き出し寸法を計る場所が違うので、メーカーやモデルによって、同じ基準で計って比較する必要があるようです。ではでは。