クマさんのバイク専科

オーバルのインナーギヤの効果は!

オーバルギヤはシマノのバイオペースとか、ローターとか色々使ってきましたが、アウターチェーンリングもインナーチェーンリングも、歯先とフロント変速機の羽の下端との間隔が開いたり狭くなったりで、安定したインデックス変速ではなくなります。変速のたびにチェーンが落下するほどではないけど、シマノの真円ギヤのような安定した素早い変速と比較すると、クランクの踏み込みを緩めて変速のきっかけを作るペダリングを自然にしていました。そこで、アウターチェーンリングは真円に戻して、インナーチェーンリングだけをオーバルにして使っていた時期もありました。

 

久々にオーバルギヤを使ってみようという気になり、アブソリュートブラックの4アームのデュラエースに対応するPCD 110mmのチェーンリング34Tを手に入れて、交換したばかりの167、5mmの9000系デュラエースクランクに取り付けました。デュラエースのアウターチェーンリングはかなりの厚みのある中空構造で、インナーチェーンリング側からT30トルクスレンチで締めるアルミ合金製のボルトで固定されています。この4本のボルトはかなり強く締められています。

 

ベータのT30トルクスレンチの長い方の柄を持って緩めると、金属か樹脂が焦げるような臭いがしました。4本のボルトを外して、アウターチェーンリングを外し、インナーチェーンリングを外し、アブソリュートブラックの34Tをセットしました。ギヤに三角の出っ張りがあり、クランクの位置が決められています。シマノのアウターチェーンリングも位置が決まっていて、チェーンリングとくランクアームの穴の位置を合わせて、ロックタイトの青の固定力の弱いものをネジ穴やボルトのネジに塗ってから、ボルトをねじ込みます。空気に触れない状態でネジロック剤が固まり、繰り返し力がかかり緩みやすいネジの緩みを防止します。

 

楕円のチェーンリングの具合は、デュラエースの真円ギヤと比較すると、確かに楕円ギヤになっているけど、歯先の高さの差はそれほど大きくなくて、これで実際にペダリングして踏み味に差があるのか短時間では分かりませんでした。基本コンセプトとしては、クランクが上死点を過ぎると、歯先は高くなり始めてクランクの踏み味は重くなり、パワーを伝える効率が良くなる3時の位置まで踏み込んだら、歯先の山は低くなり始めてクランクの踏み味は軽くなる設計です。踏めるとこは踏んで、脚の力の入りにくいところは踏み込みを軽くして、クランクの回転スピードを落とさないで、ケイデンスを高く保つというコンセプトです。

 

上死点を越えた足が2時ぐらいの位置からクランクを踏み込み始め、パワーを発揮できるフェーズでは踏み味は重くなり、パワーのピークになる3時の位置を過ぎると踏み込みが軽くなる設計で、アブソリュートブラックのチェーンリングを止める穴の位置は1カ所で、複数の穴が設定されているローターのように、チェーンリングのピークの位置とクランクの位置を自分好みに調整することはできません。上死点を過ぎた2時の位置からのクランクの踏み始めの重さは感じませんでした。踏み味は重くもないし、クランクの動きも遅くなりません、踏み込むフェーズのペダリングは真円ギヤと差が無く普通でした。

 

クランクの位置が3時を過ぎたあたりから踏み味は軽くなるのですが、ここからがこのチェーンリングの楕円の効果を感じました。踏み味がスッと軽くなって下死点をクランクが通過して、上死点へ到達します。上死点へ戻る時にスッと軽くなるので、器用な右足は引き上げる脚から踏み込む脚への切り替えの瞬間をスムーズに切り替えできました。しかし、不器用な左足は、踏み込みへの切り替えの動作にカクッという感じの空踏みみたいな瞬間が発生しました。

 

軽く脚を踏めて、上死点をクランクが通過して、次に踏み込める瞬間が早くやって来る感じです。そんなに楕円ギヤへの違和感を感じること無く、踏み込める区間が真円ギヤより早くやってくる感じは悪くありません。平地での走行では左足の空踏み感が気になりましたが、しばらく走ると踏み込むフェーズへの素早い移行へ対応できるようになりました。上り坂のペダリングで目標にしている、90回転から110回転のケイデンスもキープしやすいです。このまましばらく使ってみることにします。ではでは。