クマさんのバイク専科

土曜日は百哩大王主催のフィッティングセミナー

土曜日は朝から雨模様でした。東京で百哩大王主催のフィッティングセミナーでした。朝10時から夕方の5時までの予定で、10人のライダーとバイクを見て、体格や柔軟性や体力、走り方に合わせてクリートの位置、サドルの位置、ハンドルやステムやブラケットに位置を調整して、ライディングポジションを最適化するクマフィット・セミナーです。1人のフィッティングにかかる時間はウオーミングアップの20分を除いて、作業にかかるのは30分程度です。

 

基本的なクマフィットのフォーマットは、固定式のローラー台で軽い負荷をかけてケイデンス90回転から110回転で、20分間ウオーミングアップしてもらい、そのウオーミングアップの間のペダリングやフォームも見て、薄らと汗をかいたり、脚に乳酸が発生してきたら、一旦バイクを降りて、バイクシューズを脱いでもらい、その場で足踏みして自然な足の向きをチェックします、クリートの前後位置で脚の筋肉への負荷を調整したり、足の向きにクリートの位置を合わせる参考にして、クリート位置の3要素を配慮して決めます。

 

クリートの位置の調整が終わってから、本格的なフィッティングに取りかかります。クマフィットはバイクとライダーのインターフェースであるクリートの取り付けを重視しています。ライダーの体格を骨格的に測定することはしません。ライダーの体や上半身のフォームやペダリングする脚の動き、骨格だけでなく、筋肉の量や質、心肺機能、耐乳酸性、乳酸除去能力、体の柔軟性や動き、目の前にいるライダーそのものが、バイクのポジションを最適化するためのゲージであるという考え方です。

 

ウオーミングアップの20分間は、それまでの設定のバイクの上で、ライダーがどんなフォームで走っているかをまず見極めます。毎週や月間や年間の走行距離や、ライドの目的を聞いて参考にするのは当然ですが、ライダーの身長、股下寸法、肩幅、腕の長さ、柔軟性などの体格を測定して、データベースの係数から算出された、骨格の寸法が同じなら、筋肉の量や質、関節の柔軟性、経験などに関係なく、レース、コンフォートなどのおおざっぱなカテゴリーの中で、骨格の数値を参考に同じポジションの設定になるのはおかしいと思いませんか?。

 

それに、ライダーのペダリングで生まれたパワーを、バイクに伝える重要なインターフェースの足、バイクシューズ、クリート、ビンディングペダルの設定要素を重視しないのもどうかと思います。ビンディングペダルは足をペダルにセットしてからも、足の向きを動かせるから、クリートの取り付け角度の設定はあまり気にしなくていいなんて、とんでもありません。スピードプレイはほとんど関係ありませんが、シマノ、ルック、タイムはクリートの取り付け角度の調整は慎重にやる必要が有ります。

 

クリートはバイクシューズのソールに固定する時に、脚の筋肉に負荷がかかる場所に関係する前後位置。脚の左右の開き(Q ファクター)と、クランクの回しやすさに関係する内外の位置。自然な足の踏み込みに合わせないと膝関節や筋肉や靱帯の痛みなどの発生に関係する、取り付け角度の3つの要素を細かく調整します。最終的には前後位置も内外も、取り付け角度も1mm以下の調整となります、これは本当です。

 

クリートの前後位置は母指球の位置とペダル軸の中心の位置を、真横から見て一致させるというのが一般的に言われていますが、一般ライダーにはその設定では膝から下の筋肉群をすぐに使い切ってしまいます。足を安定させて、効率良く踏み込めるようにするには、母指球の位置を参考にして、実際にクランクを踏み込む2時から4時くらいのクランクの位置で足の角度を見て、ペダル軸の中心の位置を踏み込む足の角度の状態で、2mmから3mm後ろになるように設定します。

 

O脚、X脚、片側O脚、片側X脚というライダーもいます。もちろん真っ直ぐに踏み込めているライダーもいます。ライダーのペダリングする脚に合わせて、きっちりクリートの3つの要素の位置を設定しないと、パワーは効率良くバイクへ伝わらないし、毎分100回転するとして、1時間で6000回ペダリングしますから、4時間走れば2万4000回のペダリングになりますから、小さなストレスも積みかさなければ大きな負担になります。

 

2万4000回ペダリングしますから、3つのクリート設定の要素が最適化されていなかったら、脚のわずかなひねりとか、ズレがじわじわと負担になってきて、脚の一部の筋肉にストレスが集中したり、長く走れば膝関節や靱帯や筋肉へのダメージが蓄積して、痛みや違和感の発生の原因になります。

 

その他にも、サドルの前後位置や水平、高さなどをライダーの回せて踏み込める腰の位置を探して、まず、ペダリングしやすい腰の位置を設定して、次にハンドル周りのステムの長さやハンドルの取り付け角度、ブラケットの位置の設定をしてフィッティングは終了です。フィッティングは、関節の可動域をみたリ、腰椎や背骨の曲がりを見たり、筋肉の量や耐乳酸性や乳酸除去能力などの筋肉の質を見たり、主にどこをグリップして、腕を伸ばすのか軽く曲げるのか、背骨や腰椎の曲がりはどうかなど、どう走るライダーなのかを見極めて、設定の参考にします。

 

今回はカーボンバイクやチタンバイク、クロモリバイクの10人が参加して、リピーターの方もいましたが、1年ぶりとか、昨年の黒姫高原るんるん合宿以来という方もいました。初めての方は、大きく動かした方も何人かいましたが、微調整で十分というライダーもいました。だいたい20分から30分かけてフィッティングできました。ほとんどのライダーがスピードプレイ、タイム、シマノのSPDとSPD—SLのクリートの位置を最適化できていませんでした。

 

サドルの位置も、腰の位置に合わせて後ろへ引けていても、まだ股関節周りの動きに詰まり感が発生して、腰の位置に合わせたサドルの引きが足りないライダーが数人いました。100kmを走るのは普通、160km、200km、300kmなど長距離ライドがあたリ前のグループのライダー達ですから、小さな負荷の差が、長く走れば大きな差になることを知っている人達です。

 

元気に踏める時はいいけど、中盤や後半になって疲れてきた時にカカトが下がり気味になって、脚への負荷が大きくなる、膝関節痛や靱帯や筋肉へのストレスになりがちな、サドルが高過ぎる設定のライダーがほとんどでした。クランクを踏めて回しやすい腰の位置を基準にして、ハンドル周りを設定し直して、フィッティングは終わりました。実際にフィールドを走ってもらうとポジション変更の効果を味わえると思います。

 

ただし、前もも踏み中心だったライダーは、太ももの後ろ側、臀筋、腸腰筋などもペダリングに動員できるポジションになっているので、使う筋肉が広い範囲になって、疲労を分散できるようになりますが、使う筋肉の範囲が変わりますから、新しいポジションでの動きに慣れるのには、3ヶ月くらいかかると考えてください。ではでは。