クマさんのバイク専科

セミナー参加の女性ライダーのフィッティング

4月8日に東京で開催した、百哩大王主催のフィッティングセミナーに、ゲストとして大王メンバーと一緒にライドしているという女性ライダーが参加しました。1台目をアクシデントで潰してしまい、2台目のロードバイクだそうです。アンカーのカーボンレディースモデルで、フレームやバーテープにピンクの刺し色だったり、ピンクのアルマイトパーツがアクセントに採用されている、可愛い仕上がりのバイクです。

 

アクシデントで1年半くらい乗っていなかったバイクライドを再開したばかりで、普段は100kmくらいを目標に走っているそうです。でも、走ってしばらくすると、肩や腕が凝って痛くなることがあるそうで、走りを再開したばかりだし、スポーツバイクのライドはある程度疲れるのは我慢しなければとか、そのうち慣れて痛くなくなるだろうと思っていたようです。それでも、毎年百哩大王が開催しているフィッティングに誘われて、もしかしたら状況が改善されるかもと参加したようです。

 

スピードプレイのペダルのクリートを新品に交換しました。スピードプレイのペダルはクリートのC リングが、円いペダル本体をキャッチして、足の角度に制約がなく、ほとんど自由に足の向きを動かせるので、踏み込む足の向きにクリートの取り付け角度を合わせる必要がない構造です。クリートの設定は、母指球のとペダルシャフトの中心の位置関係を調整して、踏み込んだ時に負荷がかかる筋肉を調整する前後位置を調整できます。

 

クランクの回しやすさ、踏み込む時に膝関節の接触面などの負担に関係する足の左右の開き、Qファクターに関係する内外も調整できる構造です。古くなったクリートを見ると、スペシャライズドのバイクシューズのソールの3穴に、3本のボルトで固定されている右側の樹脂製アダプターが緩んでガタガタになっていました。原因はソールに埋め込まれた雌ねじのナットが、3本の固定ボルトをアーレンキーで締めても空転するようになっていました。

 

スピードプレイのクリートを新品に交換して、足が安定して、踏み込んだ時の膝から下のふくらはぎやすねの筋肉への負担を小さくするように、母指球と小指球を結びラインに対して、ペダルシャフトの中心の位置が、踏み込んだ時の足の角度の状態で、2mmから3mm後ろになるように前後位置の調整をしました。重めのギヤ比で踏み込んでみると、足が安定して踏み込みやすく、膝から下の筋肉への負担も減る効果をはっきり感じます。3本のボルトも、クリートをアダプターへ固定する4本のボルトも、しっかり締め込んで固定して、歩いた時のクリートの消耗防止の付属の樹脂製カバーを取り付けました。

 

サドルの設定を始めます。上の面を水平に設定して、足が一番遠くなるクランクの位置で、踏み込んだ足の甲が水平以下になるサドルの高さ、低目に調整して腰がサドルの上で自由に前後へ動ける状態にします。毎分80回転できる少し重めの負荷で、ドロップバーの上の直線部分をグリップしてペダリングしてもらい。腰が踏みやすく回しやすい位置へ自然に移動するのを確認します。サドルの前後位置を、踏み込みやすく回しやすい腰の位置をサポートするようにmm単位で移動して調整します。お尻や性器が圧迫されて痛くならないように、サドルの取り付け角度を、先端部分が17mm低くなる前下がりに調整しました。

 

見た目はかなり前下がりで、ペダリングしていると腰が前へずれてしまうのではと思いますが、前下がりになって、サドルの中央から先端にかけての圧迫が減少して、ギヤ板側から見て、骨盤の傾斜が時計方向へ傾いて、深く曲がっていた腰椎や背骨が真っ直ぐになり、腰のサドルへの固定力を増しても前下がりの設定で性器への圧迫が減って、上半身の重さをかけて脚を踏み込めるようになり、腰の前後位置や固定力が出て安定します。

 

サドルの高さは、クランクを足がもっとも遠くなる位置に止めて、足の甲の面の角度を確認して、踏み込む足が下死点で、膝関節が真っ直ぐになった時にカカトが下がって足の甲が水平になる、疲れてきても脚に無理がかかることなく、クランクを回しやすい高さに調整しました。このサドルの前後位置や高さや、取り付け角度の調整で、股関節周りの詰まり感から開放されて、クランクを回しやすくなってケイデンスも自然に上がり、踏み込んでもお尻や性器が痛くなりにくいので、パワフルに踏み込めるようになって、スピードをキープできるようになります。しかも、クリートの位置はもっとも外側に移動して、クランクとバイクシューズの内側が接触しないぎりぎりに、左右の足がもっとも狭くなるように、Qファクターを狭く設定して、クランクを回しやすい設定にしていることも、ケイデンスの上昇に貢献しています。

 

アンカーオリジナルのショートリーチバーの上と下を両立させて握りやすくするために、ハンドルの取り付け角度を設定し直し、ブラケットを移動するためにバーテープをほどいて、ブラケットのを握りやすい角度と位置に大きく動かしました。ステムの長さを10mm短く、しかも、73度ヘッドアングル対応モデルへの交換なので、突き出し部分が水平になってバイクの直進安定性も増します。上半身の重さも利用して脚を踏み込めるようにステムの高さもコラムスペーサーを交換して、5mm低く設定しました。

 

ステム交換とハンドルの取り付け角度の調整で、ブラケットを常に握れてブレーキレバーをすぐに握れて安全性が増しました。ブラケットの位置は近くなり、腕も軽く曲がって余裕ができて、肩や首周りの凝りも発生しにくくして、直進安定性も増して、ハンドリングも最適化しました。ステムのライズ(角度)のヘッドアングル73度対応モデルの採用で、突き出し部分は水平になり、ブラケットに手を沿えるだけで真っ直ぐ走れるほど、ハンドリングが安定化することは、乗ればすぐに分かります。長く走る時にバイク任せで安定して走れるので大きなメリットが有ります。

 

ドロップバーのブラケットの位置と、バーとブラケットの上の面とのフラット化を配慮しましたし、下のドロップ部分を握りやすくブレーキレバーを引きやすい、ドロップハンドルの取り付け角度に調整しました。さらに、ブレーキレバーの開きを狭くして引きやすいように調整しました。実際にフィールドを100kmくらい走ってみて、スピード、ケイデンス、体への負担などを確認して見てください。クリートの位置の調整、回しやすく踏み込みやすい腰の位置をサポートするサドルの位置の調整、ハンドルやステムやブラケットの調整を行った、フィッティングの効果を1つ1つ感じてみて欲しいですね。ではでは。