クマさんのバイク専科

ハイドロリックのロードディスクブレーキ!

シマノは新型のスマート台座規格のハイドロリックディスクブレーキで、UCIの機材審査をすでにクリアしています。完成車メーカーはもちろん、カスタムフレームメーカーも、これまで以上にデュラエース、アルテグラ、105クラスの油圧のディスクブレーキの、ロードバイクへのインストールを押し進めるはずです。フレームやフロントフォークの規格も、リヤエンド幅やエンドの形状の規格が変わり、ホイールの固定もスルーアクスル化などが採用され、ホイールもディスクローター付きに変わります。ハイドロリックのブレーキレバーの引きの軽さは圧倒的でワンフィンガーでフルブレーキングできるほどです。

 

20万円以下のロードバイクでも、メカニカルのディスクブレーキ装備のバイクが増えます。シマノはすでに油圧もメカニカルもディスクブレーキのラインナップされたコンポーネントパーツを市販しています。シマノが作ったこの流れに対し、当然イタリアのコンポーネントパーツメーカーのカンパニョーロも指をくわえて見ているだけではなく、シマノと同じ台座の規格のダイレクトマウントのブレーキキャリパーの販売開始に続いて、スマート台座の油圧のディスクブレーキの試作品の開発、試乗テスト開始を公表しています。

 

ディスクブレーキの台座は、すでにフレームメーカーはシマノが提唱しているスマート台座を採用して市販されているので、カンパニョーロもUCI の承認したスマート台座の規格で追従することになります。今年度中のレースバイクへのインストールを企画しているはずです。さらに、日本でのアフターマーケットへの投入時期は不明ですが、2017モデルか2018モデルの完成車への搭載も考えられます。上位グレードの油圧のディスクブレーキとえるゴパワーシフターは、高級なロードバイク向けとなるんでしょうね。

 

スーパーレコードやレコードのコンポーネントで、メカニカル変速や電動変速のEPSの油圧システムブレーキレバー仕様のエルゴパワーシフターを組み合わせると、かなり高額なコンポーネントパーツになるはずです。ディスクブレーキを採用するには、スマート台座の付いているフレームの購入と、ディスクローター付きのホイールの購入という高いハードルとなりますが、ディスクブレーキのスピードコントロール性能とストッピングパワーの大きさ、そしてレインコンディションでのブレーキ性能の低下が少ないことが魅力です。

 

カンパニョーロのディスクブレーキ&エルゴパワーシフターは、最上級グレードとセカンドモデルの2ラインナップ、電動のEPS エルゴパワーシフターと、メカニカルのエルゴパワーシフターというラインナップが予想されます。カンパニョーロはMTB のディスクブレーキのノウハウの蓄積がないので、ある意味MTB のディスクブレーキより、耐フェード性などでメカニズム的にハードルが高いロード用の油圧のディスクブレーキの開発は、アウトソーシングの導入、経験のある他メーカーとのコラボレーションも十分に考えられます。

 

ディスクブレーキの取り付けやフールドの注入方法や、ブレーキレバーの利き始める位置の調整やブレーキレバーの開きの調整など、カンパニョーロらしくユーザーフレンドリーであって欲しいですね。メカニックが泣くような取り扱いの難しさは絶対に避けて欲しいな。と、ここまで考えてくると、シマノが先行して、ロードディスクブレーキの開発という発想、スマート台座の規格、耐フェード性の追求などで、やはりシマノはアドバンテージがあり。インデックス変速との組み合せでも、MTB の経験を生かし、電動もメカニカルもすでに実用化されていて、レースの現場でも実績を重ねています。

 

そして、ディスクブレーキ化で気になるのが、ホイールのスポークフォーメーションの変更です。ディスクローター側のスポークに大きなマイナスGが働きます。フロントの100mmハブオーバーロックナット寸法がキープされ、ディスクローターの入るスペース分だけ片側スポークがおちょこになり、リムやスポークやハブのアンシンメトリック構造で、ホイールの剛性がカバーされるようになるでしょう。

 

問題はリヤエンド幅とスルーアクスルでしょう。個人で走っているならフレームの剛性アップなどに貢献して問題はなくても、チームでレースを走るとなると、当然フレームとホイールの規格の統一となるわけで、リヤエンドは142mmの11段フリー、ディスクローターのサイズもチーム内で統一されることになります。スルーアクスルのネジ規格やレバー部分も同じ規格となり、シャフトを回して締め込んだり外したりします。車輪交換はスルーアクスルを回すこと、ディスクローターをキャリパーのブレーキパッドに収める作業で手間取るので、パンク時にはバイク交換が多くなることが予想されます。

 

ここをフレームメーカーの独自の規格にされたらメカニックがたまりません。でも、ワンアクションでスルーアクスルのエンドへホイールを固定できるスルーアクスルのアイデア品も登場していますから、将来はどうなるか?はまだ分かりません。カーボンリムにしてもアルミリムにしてもサイドの消耗が無くなり、ディスクローター交換やブレーキパッドの交換でコンディションの維持に対応できます。

 

ロードバイクへの油圧とメカニカルのディスクブレーキの採用はどのくらい進むのか、完成車メーカーは搭載モデルを増やす傾向になっています。まだまだ見えてこない部分はありますが、増えることで、ブランドもモデルも選べるようになることは確実で、販売するスタッフもメカニックもディスクブレーキに関する取り扱いの知識、オイルラインの処理やルーティーンなど、メンテナンスの腕を磨かなきゃいけませんね。ではでは。