クマさんのバイク専科

タイムのクイックセットのヘッド小物の続きです!

タイムのカーボンフレームのクイックセットのヘッド小物は、フレームの強度や剛性アップ、フロントフォークの回転のスムーズさの向上のために、他社のフレームがやっているように、シールドベアリングの直径は下側がサイズアップされました。ZXRSやNXRインスティンクトとNXインスティンクト以降のモデルは、下側のシールドベアリング径はオーバーサイズ化されています。それ以前のモデルは上下同じ径でした。オーバサイズ化されているモデルも、旧モデルのシールドベアリングの上側の径と、上側は同じサイズで、下側のみオーバーサイズ化しています。

 

タイムのシールドベアリングは、ケーシングがスチール製で、中には半透明の樹脂製リテーナーに小さなボールベアリングとグリスが封入されています。寿命は走りによって差がありますが2年から3年くらいです。交換の際の発注はタイムの年代やモデルによって違うので、シールドベアリングの径に注意してください。ヘッドチューブの下側のカップにセットされる、樹脂製のシールドの径も当然違います。このシールドのセットする向きには十分注意してください。上下の方向の設定が間違っているとガタが発生したり、回転がスムーズになりません。

 

メカニックも、タイムのヘッド小物を分解する機会は少ないし、シールドやシールドベアリングの上下方向も分かりにくいので、ミスしやすいポイントです。オーバーホールしてもらったら、フロントブレーキをかけて回転部のガタをチェック、ハンドルを動かしてヘッドチューブとフォークが接触していないか、慎重にチェックしてから走りましょう。タイムのクイックセットの構造はユニークで、上カップを締め込むだけで球当たり調整できます。ステムの位置はフォークコラムのどの位置にでもクランプして固定できます。純正のカーボンコラムスペーサーは構造上、カーボンコラムが見えないようにする飾りに過ぎません。

 

タイムの旧モデルの上カップは、トールキャップになっていますが、最新モデルは7mm低いフラットな上カップになっています。ライダーによってはもっと低いステムの位置、低いハンドルやブラケットのグリップポジションに設定したいひともいます。榛名山ヒルクライムに参戦して2位になったたまごさんがそうでした。5月の連休中につくばへ来て、フィッティングの際に上カップを交換しました。NXRインスティンクトのトールタイプの上カップを取り外し、アイゾンに付いている7mm低い上カップと交換しました。上カップとフォークコラムのネジは互換性がありました。2本のピンを上カップに差し込んで回してセットしました。タイムのこの2本の工具はドラッグストアで売っているピルケースなどに入れて工具箱に入れておくと無くしにくいです。

 

ヘッド小物は汗やボトルの飲料でサビやすい場所です。アルミ合金製のパーツとカーボンパーツは、電食というイオン交換によるサビが発生して固着しやすいのです。カーボンコラムの内外に、樹脂を攻撃しないグリスを塗って、カーボンコラムスペーサー、ステム、インサーターを組み付けてベストな位置を実現しました。フォークコラムの外側のグリスをそのままにしておくと、ステムのクランプが滑って動く可能性があるので、ブレーキパーツクリーナーを染み込ませたウエスでふき取ってからステムを固定します。

 

クイックセットのヘッド小物は、グリスアップやシールドベアリング交換の作業後に、ピンを2本上カップに差し込んで締め込んで、ガタが無くスムーズにフロントフォークが回転している状態に設定しても、しばらく走ると馴染みが出てガタが発生することがあります。時々フロントブレーキだけをかけて前後へゆすってガタの発生を確認します。緩んでいたら、再び2本のピンを上カップの穴へ差し込んで時計方向へ締め込みます。これで緩みが発生しなくなります。

 

他社のフレームのアヘッド小物も、専用設計のシールドベアリングやヘッド小物を採用している場合があります。買ったショップで専用モデルか、すぐに手に入るか確認しておきましょう。年代によってもベアリング形式が違うことがあるので、オーバーホールでベアリング交換する場合や、ステムの位置を低くしたいと、フラットモデルの専用の上カップへの交換の場合には、フレームメーカーや輸入代理店からのヘッドパーツの取り寄せになり、時間がかかる場合があります。事前に取り寄せて用意しておくと、すぐに整備してもらえます。ではでは。