クマさんのバイク専科

女子プロゴルフをブラッシュアップした選手の引退!

小柄な沖縄出身の女子プロゴルファー宮里選手、彼女の登場が日本の女子プロゴルフシーンの価値を高めるきっかけになりました。それに反して男子のプロゴルフの大会が減ったり、メディアへの露出が極端に減り、危機感が高まりました。そこに救世主としてメジャー制覇を期待されて石川選手と松山選手が登場しますが、日本の女子プロゴルフ人気は男子プロを上廻る盛り上がりを見せます。日本の女子プロゴルフのサーキットの近年の賞金女王のリストを見てください。韓国選手のかっこうの活躍のターゲットにもなっています。

 

何ゆえ女子プロゴルフが人気になったのか。もちろんきれいで可愛い女子選手が素晴らしいパフォーマンスを発揮するのもあります。プロゴルフのファンは男性が90%以上でしょう。自分でゴルフコースで楽しんでいるひと、練習場へ通うひと、つまり、同じゴルフと言うプレーを楽しんでいるのです。当然、プロのプレーの凄さは分かります。自分が使う機材のもこだわりがあります。女子プロの体力と一般男性ゴルファーの体力は同じようなものです。男子のプロゴルファーとは違います。

 

女子プロゴルファーのスイング、ゴルフクラブの剛性などが参考になるのです。しかも、プロが使う機材の開発思想も大きく変化しています。ゴルフクラブの設計は遠くへ飛ばすタイプは、大容量のスイートスポットの大きいヘッド、ボールとの接触部分はこう反発素材の採用、低重心、最適なシャフト剛性や振動減衰性など、優しく打てることがテーマになっています。女子プロの体力に合わせて開発された機材が、男性アマチュアゴルファーにぴったりフィットすると言うので、ビジネス的にも流れができました。

 

宮里選手はゴルフの英才教育を小さいときから父親から受けて、兄弟ともプロゴルファーとして活躍しています。アメリカツアーから1勝もできずに撤退した上田選手もそうだが、日本の女子プロプレーヤーで欧米選手と比較して「飛ばし屋」と言われる大型選手は少ない。引退を決めた宮里選手も決して飛ばしやではない。刻んでアプローチの精度の高さでバーディを重ねて勝負するタイプでした。アメリカツアー参戦の4年目に勝利して、通算で9勝して、年間ランキング世界ナンバーワンを獲得しているにもかかわらず、残念な事にメジャー大会を制していません。

 

1勝目までの4年間は、アメリカのゴルフとの違いに慣れるために費やされた部分が大きかったのだろうと思います。特にアメリカのゴルフ場の広大さ、精度の高いチャレンジには優しく、ミスると深いラフがアプローチショットの精度をさらに低下させる設定の難しさ。芝も刈り込まれて、しかもサフェースが平ではなくボギーやダブルボギーのワナがあるグリーン。コースの飛距離の設定には、相当苦労も苦戦もしたし、クラブの見直しも行われていました。対応するために筋力の強化も行ったし、ティーショットのパワーアップだけでなく、宮里選手のスコアメイクの生命線と言える、アプローチショットの精度を高めるハードなトレーニングを人一倍しています。

 

その成果があってのアメリカツアーへのアジャストです。でも、小さな体はパワーアップと、精度を上げるトレーニングの量が重なって、アメリカツアーへの順応という成果は出たとしても、肉体的な進化と同時に、小さな体からパワーを絞り出すことで、金属疲労的な悲鳴を上げたはずです。その結果として発生した腰痛やハードショットによるダメージの痛みが、その後の彼女のパフォーマンスの低下を招くことになります。戦いを重ねるごとに勝つためにどうすればいいか分かってくること、それと反するように思ったように動かせなくなる体の状況がありました。

 

メンタルがいくら強くても、どんどんそのギャップが大きくなるのをアメリカツアーに参戦しながらランニングチェンジすることも、プロ選手がツアーを休んで再チャレンジすることも難しいのです。一流のプロ選手でも思いと現実のギヤップを埋めることができなくなります。14年間のプロゴルファー生活でした、後半の5年間は腰痛との戦いになっていたようです。日本のプロツアーで戦っていた初期のころの、伸び伸びとしたゆったりとしたティーショットのスイングが、アメリカツアーの2年目3年目でスイングスピードが増して飛距離も20ヤード30ヤードと伸びていましたが、6年目あたりのピーク後は、スイングが何ゆえか萎縮していました。

 

アメリカツアーで成功した樋口選手、岡本選手、小林選手もアメリカを主戦場にした日本の女子プレーヤーは、コースにアジャストするために、宮里選手と同じく飛距離を求めてパワーを追求して、ピークを迎えてから、腰痛やけん盤の炎症の発生で苦しみました。アジアでは韓国選手の日本ツアーでの活躍や、アメリカツアーのメジャー制覇など、世界進出が注目されています。アメリカのスポーツアカデミーを持つIMGのような、才能のある選手を世界から探して育成する、スカウティング能力がある総合スポーツマネージメント企業が、韓国のプロゴルファーの育成にも関わっているそうです。

 

日本のプロゴルファーは身内がコーチとして育成して、プロとして可能性があるとマネージメントチームを作り、広告代理店と結びついてスポンサーマネーを獲得して、まずは日本のツアーで活躍すると、アメリカや有名イベントへの参戦へプロジェクトを進めることになります。アメリカツアーの飛距離の問題、日本のツアーとの芝の違いなどのギャップも百も承知でのチャレンジですから、強化も対策も考えているはずです。

 

でも日本のプロゴルファーの歴史を見ると、男子も女子も同じように日本と世界との違いという課題の壁に阻まれてブレークスルーできていません。宮里選手はアメリカツアーでブレークスルーしたのか?、やはりメジャー未勝利が気になります。その後に続く若手選手がツアー勝利していますから、メジャー勝利も夢ではなくなっています。男子ももしかしたらという松山選手が登場していますが、石川選手は腰痛で苦しんでいますね。

 

宮里選手が将来プロゴルフ選手の育成をするとしたら、肉体的なハンディキャップを感じさせない素質にもこだわるでしょうし、アメリカツアー、メジャーでも勝てて、日本のツアーでも勝てる、世界レベルで活躍できる選手の育成に力を注ぐことになると思います、オリンピックのゴルフの監督やコーチとしての活動も期待できますが、宮里選手の経験を生かした活動を見るのが楽しみです。いつもわくわくしてアメリカツアーを見ていました、お疲れさまでした。今週は日本ツアー参加、予選通過で週末まで日本でのプレーを見れそうです。ではでは。