クマさんのバイク専科

レディースバイクの気になるポイント:パート1

黒姫高原るんるん合宿は、ライダーの体格や体力や、走るフィールドに合わせてポジションを調整するフィッティングを行い、その後ポジションの確認のために、斑尾高原や妙高高原、40kmのダウンヒルや上りを走って、微調整するイベントです。6月の黒姫合宿に参加した、ドクターIさんの奥様は、スポーツバイクでのライドは2回くらいというビギナーでした。そのmm単位でクリートやサドルやハンドルが移動する、フィッティングに対する奥様の体の動きの変化に関する感想は、改めて究極のレディスバイクを考えるきっかけになり、とても勉強になりました。

 

究極の快適レディースバイクを考えると、細かい部分で男女差はあるけど、なんだ男性ライダーのバイクと根本的な課題は同じじゃないかと思えてきました。フレーム、サドル、シートポスト、ハンドル、ステム、ビンディングペダル、バイクシューズ、チェーンホイール、リヤスプロケット、変速システム、タイヤ、ホイール。いずれのパーツも女性ライダーの走りを快適にするためには、体格や体力に合ったもの、軽さも大事ですが、クセのない、取り扱いのしやすさも基準に選ぶべきです。

 

レディースバイクですというセールストークのバイクは、各メーカーで色々用意されています。身長150cm台のスモールライダーが最適なサドルの位置や、ハンドルやブラケットのグリップポジションを実現できる、シートチューブやトップチューブの長さなど、女性ライダーの体格を配慮したフレームの寸法や剛性バランスの設計を採用しています。パーツアッセンブルも、お尻が痛くなリにくいパッドの厚い骨盤の広さを意識した幅広いサドル選びや、最適なグリップ位置を実現して握りやすいショートリーチ&ショートドロップのハンドル、165mmクランクの採用など、考えられたパーツセレクトになっています。

 

でも、ラインナップは、男性ライダー用のバイクほどの細分化はされていません。女性ライダーのバイクも、ヒルクライム、ロングライド、ロードレース、トライアスロンなど、走り方によってもパーツのセレクションが違ってくるので、快適な走りを実現するには、まだまだ考える余地はあります。ロードバイクのフレームの設計は、スローピングフレームの設計がスタンダード化して、シートチューブの長さを身長に合わせて短く設計できます。トップチューブもシートチューブアングルを74度以上に立てて、ヘッドアングルを72度以下に寝かせて、トップチューブを短くします。この2つのアングルの1度の違いは約10mmに相当します。すると、ヘッドアングルやフォークオフセット量による直進安定性に関わるトレイルが不足気味になります。

 

ハンドルを切り始めた時の乗り越し感も強くなります。時速20kmから30kmの低速域では安定したハンドリングでも、ダウンヒルなどでスピードが上がると、ヘッドアングルが寝ているとハンドルが切れ込んで行く特性になります。フロントセンターは570mm台に短くなり、ホイールベースの短さも加わってハンドリングのクイックになります。最適なポジションとのバランスを見極めて選ぶことが重要です。

 

ドロップバーもリーチが短く、ドロップが小さい、グリップ位置を近くできる、ショートドロップ&ショートリーチ設計のモデルが採用されていたり、ハンドルの幅も400mmや380mmや360mmなども選べます。ステムは70mm以下のクラスがセットされています。でも、ステムは突き出し寸法が60mm、50mm、30mmなどもありますから、もっと近いグリップ位置の設定も可能です。グリップ位置が遠いと首や肩や腕や手が痛くなったり、こったり、ストレスを受けますから。

 

上り坂を、スピードはともかく、体力に合わせて、バイクに乗って上るには、最適なギヤ比を取り付けているかという問題があります。運動経験の少ない体力のない女性ライダーのバイクに、市販のロードバイクにセットされている、コンパクトドライブクランクの50×34Tの165mmクランクに、フリーが12〜25Tや、12〜28Tのギヤでは、峠道をクルクル回して上りきれません。フリーのスプロケットは11〜30T、11〜32T、11〜34Tなどが採用できるようになっています。パワーのないライダーでもクルクル回して峠道を上って達成感を味わえます。完走できたからこそ、また走ろうとか、もっと速く上ってみたいと思うはずです。

 

それが、重過ぎるローギヤで上れば、当然、踏み踏みのペダリングになって、途中で乳酸が爆発的に発生して、脚を動かせなくなって止まります。ガンバリズム的なモチベーションの低いライダーは、無理と感じて、あっさりとリタイヤになったり、歩いたりします。バイクライドを止めてしまうきっかけになることもあります。パート2に続く。ではでは。