クマさんのバイク専科

デュラエースのパワー測定クランクの組み立て!

ライダーのパワーはワット数で表されて、人によって発揮できるピークパワーは300ワットから2200ワットや、継続できるパワーは150ワットから700ワットと大きく違います。1時間維持できるスピードでいえば時速30kmから55kmくらいの差があります。どんなライダーでも継続できる時間や発揮できるパワーが限られています。トップライダーと一般ライダーとのパワーの比較など、ワット数で語られることが多くなっています。トレーニングやレースでもワット数を参考に、レースパフォーマンスの評価やトレーニングプログラムが組まれるようになっています。

 

数百メートルの瞬間的なパワーでしたら、競輪選手など、筋肉量が大きいピスト競技のスプリンターが1800ワットとか2000ワット越えなどの選手もいますが、ロード選手の場合は150kmから250kmなどの長い距離を、平均時速40kmから50kmの高速で走るので、出力特性が違いますから、ロードタイムトライアルやロードレースを想定した、1時間継続して発揮できるパワーがどのくらいかという表現が使われます。

 

運動強度を心拍数やケイデンスやスピードでチェックする方法もありますが、直接ライダーがフィールドでマイバイクで発揮しているパワーを、リアルタイムで測定して表示するのが、ワット数を測定できるクランクとサイクルコンピュータです。取り付けて走ると、ライダーが発揮できるパワーが見えて来ます。短時間にワット数の大きい数値が出やすいのは、体重を乗せてクランクを強く踏み込めるのは、体重の重いライダーです。軽量なライダーは発揮できるパワーは小さい傾向がありますが、ロードバイクで走るのに重要なのは、上り坂も平地も下り坂もありますから、パワーの大きさだけでなく、パワーウエイトレシオです。

 

どういう場面でどう頑張ると効率良く走れるのか、つまり、どんな場面でどのくらいのパワーを発揮すると効率がいいのかを理解できるようになります。ところでライダーの発揮するパワーを測定するとはどういうことなのか?。ペダリングで1踏み1踏みで発生するパワーを、ワット数で表示してくれるのがパワーメーター付きのクランクセットです。古くはドイツのSRM システムが、チェーンホイールにストレンゲージというひずみ計を取り付けて、ライダーが発揮するパワーを、実車で走りながらリアルタイムでワット数を測定できて、そのデータをワイヤレスでサイクルコンピュータの液晶画面に表示したり、データを蓄積できる記憶装置も含んだシステムです。

 

発揮しているワット数のデータを解析することで走りの評価や、トレーニングの効果の確認、コンディションの把握、改善点をはっきりさせることができます。ワット数を測定してライダーの、ロードレースばかりでなく、ピスト競技、トライアスロン、ロングライド、ヒルクライムなど、フィールドでのパフォーマンスを見える化できるアイテムです。現在はローター、パイオニアなどが人気のモデルです。10万円から20万円が一般的で,かなり高価な測定システムです。サイクルコンピュータとの組み合せで、ワイヤレスでリアルタイムでパワーを測定できますし、ワット数、ケイデンス、GPSなどのデータを記憶しているので、パソコンンドでパフォーマンスの解析もできます。

 

そして、ついに登場したのがシマノのデュラエースのパワーメーター付きのクランクです。左右の中空アルミクランクにストレンゲージが埋め込まれ、クランクの裏側にデータ発信機が付き、そしてハンガー内に充電式の電池が埋め込まれています。センサーマグネットは薄いケースに入れて、ギヤ板側のチェーンステーなどに両面テープで張り付けます。ハンガーシャフトが通る穴にセットアップ用の樹脂製ゲージをセットして、センサーマグネットを張る位置を決定して張り付けます。

 

フレームにセットされたハンガー小物に、ホローテック2の右クランクに勘合されたハンガーシャフトを、左ハンガーの先端に樹脂製の保護キャップを付けたまま通します。通したらキャップを取り外し、プラグの付いている左クランクを左ハンガーシャフトへ取り付けます。ハンガーシャフトにはグリスを塗ってから左クランクを通します。花形状の樹脂製の締め付けナットの溝に、プラグのケーブルをセットして断線しないようにします。樹脂製の締め付けナットをパワークランク専用工具で締め込み、左クランクを内側へ押し込みます。

 

左クランクのクランプ部分に付いている、4針のプラグをハンガーシャフト内の4針の受けに合わせて、カチッという音がするまで押し込みます。左クランクのハンガーシャフト部分の樹脂製カバーを押し込んでパワー測定クランクの組み立てを終わります。パワー測定クランクの電源はハンガー内のリチウム充電池です。電源のスイッチは右クランクのアームに沿うように三日月型のケースが取り付けられています。そのケースに付いているスイッチを押すと、赤いLED が点灯して電源が入ります。

 

キャリブレーションはとても簡単です。0設定は三日月型のケースのスイッチを押し続けて、青いLED が点灯して、点滅して消えると終了です。リチウム電池の充電はギヤ板側の三日月型のケースのフタを指で開けて、専用のUSB コードの4針のプラグを差し込んで充電します。組み合わせるサイクルコンピュータはアントプラス対応のガーミン820のパワーモードが最適なようです。ケイデンスやワット数の表示、左右のペダリングを表す2つのサークルが表示されるモードなどが対応しています。

 

プロチームにはすでに供給されて、レース現場で試されてきていますが、製品を手にして組み立ててみると、0設定も含めて組み付けは簡単でしたが、中空アルミ合金製クランクに取り付けられたパワーセンサーや発信機、ハンガーシャフト内の電池や左クランクとの4針のコネクター接続部、右クランクに取り付けられているケースと充電コネクターなどの防水性は大丈夫なのか、防水や防滴構造を見ると少し心配です。洗車や雨の日の走行などを繰り返すと、水が毛細管現象で浸入しないのかな。ではでは。