クマさんのバイク専科

体力差が反映されるステムやハンドル周り、パート4

百哩大王のフィッティングセミナーで、もっとも個人差が出たのがステムの高さの設定と、ハンドルの取り付け角度と、ブラケットの位置の設定でした。ステムの固定位置の調整や、ステムの長さは上半身の角度に関係します。上半身の傾きはどれくらいハンドルやブラケットの握った位置へ体重をかけるかを左右します。走行中に上半身を深く折り曲げると、前影投影面積が小さくなって、空気抵抗は減って踏み味は軽くなりますが、折り曲げが深いほど腹部を圧迫することになって、横隔膜や肺が圧迫を受けて、ストレスなく呼吸することが難しくなります。ロードバイクで長く走る運動は有酸素運動がベースです。

 

呼吸を楽に深くできないと、体内に酸素を取り入れる量が減ってしまい、グリコーゲンを分解して筋肉を収縮させる運動エネルギーを取り出したり、体脂肪を燃やして運動エネルギーを作り出すシステムを効率良く働かせることができなくなって、結局は有酸素運動能力を低下させることになりがちです。空気抵抗が少ないことにこしたことはないけど、走行距離や時間が長いと、上半身を深く折り曲げた姿勢は、顔を上げて前を見て走っているだけでも、首や肩周りの筋肉を硬直させて、しびれたり痛くなったりします。呼吸を楽にできて酸素を体へ取り込む効率と、首や肩へのストレスの大きさを考えて、ステムの高さを調整する必要があります。

 

ライダーによっては首の骨や腰椎に柔軟性があって、ステムを低く設定して、上半身の重さを踏み込む脚にかけて、クランクを踏み込める方がスピードを出せていいと、上半身を深く折り曲げた低い姿勢を好むライダーもいます。腹部への圧迫感が発生しても、心肺機能が高いとカバーできてしまうのです。では100kmを越えてロングライドするライダーの場合、ステムをどのくらいの高さに設定するといいのかの目安としては、サドルの上の面の高さが無理がなくていいと思います。この高さからスタートして、走り込みながら、もっと上半身の重さを脚にかけて踏み込みたい、呼吸にもゆとりがあると感じたら。現在より10mmほどステムを低く設定します。

 

5mm低くするのもいいのですが、自分に高い方、低い方、どの傾向がマッチしているのか、効果を分かりやすく、早く結論を出したいので、少し大きい変化の幅の10mmの移動でチェックします。ステムを低くくし過ぎて腹部の圧迫が苦しいと感じたら5mm上げる設定にして試します。こうすれば、踏めて呼吸を楽にできる、ベストなバランスのステムの位置を早く発見できます。百哩大王のメンバーは、長い距離を走ることになれているライダーなので、無理な姿勢は疲れるし、有酸素運動的にも、あるセクションではパワーを発揮できても、長丁場のトータルで損をすることを知っているので、速く100kmまでを走るライダーと比較すると自然にステムは呼吸重視で高めに設定されています。

 

低い姿勢で、体重をかけてクランクを踏み込みやすくなっても、首や肩の疲れは走りにも注意力にも影響が出ます。だから、あえてステムの高さを大幅に変える設定変更はしませんでした。ドロップバーの取り付け角度を変更して、握りやすさや、ブラケットの取り付け位置の変更で、握りやすさや圧力の分散を配慮した変更にしました。ふと、ドロップバーやブラケットを握ってみても、手の平が落ち着くはずだし、長く握っていてもスポット的な圧迫感の発生が解消されているはずです。ダウンヒルなどで安定するドロップバーに下を握った状態で、ブレーキレバーを引きやすい設定にもしました。

 

ステムを下げて、ブラケットのグリップの位置を下げて、さあこれで上りも平地も体重をかけてクランクを踏み込めるでしょう、ポジションの変更でパワーアップしましたよという、その場で効果を感じるポジションの変更はすべきではないと思っています。その方がフィッティングの効果があったと思えるに決まっていますけどね。そのライダーの走る距離、筋肉の発達、体力を向上させたり、維持するトレーニングやライドに費やせる時間などを配慮して、ポジションの設定をしないと、ステムを低く設定して、短時間はパワフルに走れても、ロングライドの後半で疲れが集中して元気に走れなくなってしまうなどの、攻撃的なポジションへの変更の副作用が出てしまうことがあります。

 

あなたの受けたフィッティングで、主にライダーのパワーをバイクへ伝える、足とビンディングペダルを連結する、クリートの位置の設定に満足していますか。足をビンディングペダルへセットするのにクリートが収まらずに手間取ったり、足を外そうとひねっても思ったように外れないライダーはいませんか?、足をセットして踏み面の上で足が滑ると感じませんか、ふくらはぎやすねの筋肉がケイレンしやすかったり走った後、疲レガ集中していたら、クリートの位置の設定の見直しが必要です。

 

足をビンディングペダルにセットしてからも、カカトを振るように動かせるからクリートの設定は、だいたいでいいんだと言うのはまったくの間違いですmm単位の設定が必要です。クリートの前後位置。踏み込んで、上に戻す足の向きに対応した取り付け角度。左右の足の開き、Qファクターに関係する内外の調整、O 脚やX脚んど、踏み込む足の裏の横方向の傾斜を見極めてシムなど設定してもらっていますか?。

 

サドルの位置は踏めて回せる前後位置になっていますか。股関節周りに太ももの動きを妨げるような、もやもやした詰まり感がありませんか。サドルの高さは疲れてきた時に高く感じたり、走り終わって膝関節周りが痛くなったりしませんか。上半身も肩や首や腰がストレスや痛みやこりを感じませんか。ポジションを変更しただけで、その場から楽に走れることもありますが、より大きく広い範囲の筋肉群を使う設定に変更することで、長く走った時に疲労を分散できたり、故障を防いだりする、長いスパンで見なければ効果を感じにくいフィッティングもあります。

 

サドルの前後位置や高さの変更などは、筋肉の使い方に慣れるのに2ヶ月3ヶ月必要なこともあります。百哩大王のフィッティングセミナーへ参加の皆さんお疲れさまでした。また、6・7・8・10月開催の長野県・黒姫高原るんるん合宿(詳しくは黒姫合宿のホームページに)や、つくばの土曜日に桜運動公園に10時集合して走るマジカルミステリーツアーや、日曜日のスポーツバイクつくばマツナガ主催のライドにも、走りに来てください。スポーツバイクつくばマツナガは、百哩大王メンバーも信頼しているフレーム工房を備えたショップです。つくばは東京から1時間です。無料駐車場は桜運動公園にあります。スケジュールや保険への加入やヘルメットの着用や緊急連絡先の登録などの参加条件の確認はsbtm,jpにアクセスください。ではでは。