クマさんのバイク専科

バイクいじりがとっても面白い!、でもね?

バイクコンポーネントメーカーはプロメカニックによる組み立てや調整を強く推奨しています。確かに公道を走るロードバイクですから、ある意味で命を託す乗りものだし、安全に関わる乗り物なので、メーカーの言っている意味はよく分かります。何らかの機械いじりの経験があって、自己責任でやっているからいいんだと、ロードバイクの組み立てとか分解を自己流でやって、組み立て工賃を節約したつもりのひともいます。今年開催の黒姫合宿にメーカーが正に危惧しているようなひとが参加しました。もうすでに整備不良で連続して参加していて、ホームページに参加条件として整備したバイクでの参加と言う項目を増やした原因になったひとです。

 

2回連続出の整備不良車での参加の実績があるだけに、今回はさすがに警戒もしていましたが、きっと整備されて持ってくるだろうと言う期待もありました。参加直前にリヤ変速機をビッグプーリーに交換してきたそうです。ところが、ブレーキケーブルが数年とか数ヶ月間放ったらかしで注油も交換もされず、白サビで抵抗が発生して、なんとかブレーキレバーを引けても、元の位置へ戻りません、ブレーキレバーが動かないなんて、どこかバイク整備の重要度の順番がおかしいでしょ。でも、自分で整備できると思い込んでいるらしく、そういうひとがいるんです。

 

バイクのメンテナンスの基本的な知識や、パーツの交換時期の見極めを身に付けたり、取り扱いマニュアルを見て作業手順を確認して作業する気のいないひとは、自分のバイクといえど、危険な事態を招くので作業しない方がいいです。コンポーネントメーカーも、アフターマーケット用のパッケージに、作業手順の書かれた取り扱いマニュアルが同梱されなくなり、ホームページ参照の紙が入っているだけになり、メーカーとしてはユーザーに作業して欲しくない姿勢がはっきり表れています。ボクもユーザーが不確かな知識と技術で作業してほしくないと思っています。

 

プロに任せることの重要性は分かります。で、サイクルショップの工具のコーナーをみると、ユーザー向き価格帯のシマノ純正チェーン工具とか接続ピンも売られています。ボクはシマノもカンパニョーロもつなぎ方やチェーン工具が違いますが、いずれにしても知識と経験と技術が必要な接続作業です。数回しか経験が無いとか、初めてと言うユーザーによる不確かな接続で、大きな危険を招く可能性があったり、走行不能や変速の不具合を起こす、チェーン切れやリンクピンの抜けを起こすこともあります。

 

佐渡ロングライドから帰ってバイクいじりモードが何故か刺激されて、2台のカンパニョーロのコンポーネントで組んであるタイムを、カンパニョーロの保証範囲を越えるミックスコンポを採用して組み直しています。1つのコンポーネントで組んだバイクでは面白みがないですからね。組み合わせて不具合が発生しないのなら、好きなパーツで組み上げて乗りたいですから。電動メカでは前後変速機と変速レバーとの組み合せは崩せないけど、メカニカルのコンポーネントなら色々な組み合せが可能です。故障や破損が起きる可能性があるとしても、1つ1つ確認しながら自己責任で改造中です。もちろんパーツが壊れないように独自のノウハウで限界を見極めて工夫しています。

 

メーカー推奨の組み合せ外のミキシングコンポで起きる現象や故障や事故に対して、全てを自己責任で対処できないひと、コンポーネントの組み立ての技術のないひとは真似しちゃダメです。カンパニョーロでは取り扱いのセミナーを受けたプロメカニックが、ディーラーズマニュアルに厳密に従って組み立て、調整した製品で、通常の使い方に付いて保証範囲としています。シマノもスラムもほぼ同様の保証範囲になっているはずです。

 

タイムのVXRSの何を変更しているかと言うと、11段のスーパーレコードのコンポーネントのギヤトレインに組み込んでいた、シマノの11段対応の旧型デュラエースの167、5mmの4アームクランク、50×34Tを取り外して、4アームのカンパニョーロのスーパーレコードカーボンクランク50×34Tの170mmへ戻す作業です。リヤのスプロケットはシマノのアルテグラの11〜32Tの組み合せです。ストレートドロップアウトエンドのブラケット穴の位置がハブ軸から遠い設計なので、リヤ変速機の上プーリーの歯先から、フリーのローギヤの歯先までの間隔が広いので、レーシングケージのリヤ変速機でも、チェーンの長さや、リヤ変速機の取り付け角度などの設定しだいで作動させることができます。

 

ノウハウが無いひとは、リやブラケット折れや、リヤ変速機の巻き込み事故を起こしますのでやらないでください。カンパニョーロのダブルテンションのスラントパンタメカニズムのリヤ変速機の場合、アウターギヤ×ローギヤの状態でプーリーケージに無理がなく変速できて、インナーギヤ×トップギヤの状態でチェーンがたるまないチェーンの長さの調整。リヤ変速機の取り付け角度の調整。下ブラケットにあるスプリングの強さを調整するボルトの締め具合の調整でリヤ変速機の取り付け角度を調整して、シマノのアルテグラの11〜32Tの11段ワイドフリーで作動させています。

 

もう一台のタイムには、ついさっきまでレコードのコンパクトドライブクランクの48×34Tの170mmクランクに、10段フリーの12〜29Tのスプロケット仕様で、ダウンチューブの変速レバー装備のマニュアルの20スピードで走っていました。一旦11スピード対応の50×34Tのコンパクトドライブクランクに交換したのですが、インナーギヤ34T×トップギヤ11Tでチェーンがたるまないぎりぎりの長さに設定すると、アウターギヤ50T×ローギヤ32Tでは、チェーンが張リ過ぎて変速できないことが分かりました。10段仕様ですが48×34Tに戻しました。2歯小さくなってぎりぎりチェーンを張れますし、11段チェーンでも変速してくれます。

 

変速レバーはカンパニョーロのコルサレコードのインデックス機構無しのフリクションタイプです。そのバイクを11段スプロケットに交換して、リヤ変速機は10段仕様のままで、ダウンチューブのインデックス機構無しのコルサレコードの変速レバーで、22スピードのマニュル変速をできるバイクに仕立てました。驚くほどスムーズに11段変速してくれます。クランクの交換でBSC&JIS規格のハンガーの寸法について調べてみると、ウルトラトルククランクの左右のアルミ合金製のカップは、グレードや製造時期を越えて互換性がありました。ただしスーパーレコードのハースジョイントのハンガーシャフトを接続するチタン合金製ボルトは、逆ネジのモデルでした。

 

調整していると色々面倒なことが発生しました。カンパニョーロのカップは工具をスリップさせやすし、クランク脱落防止の半月型のスナップリングは着脱が面倒だし、波を描くスプリングワッシャーは左カップ側にセットしないといけないし。やっぱりカンパニョーロは構造がユニークだな。ハンガーシャフトに圧入されているシールドベアリングと、アルミ合金製のカップとのはめ合いも、これでいいのと思うほどルーズでガタが発生しないのか気になるし。セラミックボールベアリングのカルトも、スチールボールベアリングも、シールドベアリングの交換時期はギヤ板側が2万kmから3万km、反対側は3万kmくらい。左右のハンガーシャフトを接続するネジ部分には、グリスを塗らないで10mmアーレンキーで、指定トルクで強く締めるなど、いろいろ作業手順や重要なポイントがあることを思い出しました。洗車や注油はできても、確実な整備をできないと感じているユーザーも、ボクは組めると思っているユーザーも、経験豊富なプロメカニックのオーバーホールや整備や組み立てを、ぜひ受けてみてください。ではでは。