クマさんのバイク専科

シールドベアリングのボール1個の大切さ!

ロードバイクの回転部はハンガー、ハブ、ヘッド小物があり、汗や雨や泥やホコリの浸入でダメージを受ける可能性が高く、オーバーホールは1年に1度はやって、汚れたり経年劣化したグリスを交換してもらいます。もし点検してもらってボールベアリングやシールドや、リテーナーが消耗していたら部品交換する必要があります。ボールベアリングやグリスを、金属製のケーシングに封入した、シールドベアリングの場合は、カップの規格に合ったテーパーや直径などの規格に注意してアッセンブル交換となります。

 

ヘッド小物の球当たり調整は、フロントフォークをくるくる動かせるように、しかもガタが無く調整されていないと、ハンドリングがスムーズでなくなり、思った走行ラインを走れなくなって、安定した走行ができません。久し振りに乗ったタイムのエッジは、まさにハンドリングがおかしくなっていました。ハンドルを切れ込むとその角度のままで走ってしまい、いつものようにハンドルが素直に戻ってきません。妙なクセが発生していて、思ったラインをキープして走ることができなくなっていました、このままでは走るのが恐いです。50kmほど、その状態でハンドリングの不具合をカバーしながら走ったので、緊張して体幹の筋肉や、肩や首周りの筋肉がバリバリに張ってしまいました。

 

ロードバイクは軽くハンドルを左右に切れることで真っ直ぐ走れる乗り物です。試しにヘッド小物を回りにくい状態にして走ってみてください。真っ直ぐ走れなくなります。ヘッド小物がスムーズに動く状態で、見た目は真っ直ぐ走っているように見えても、細かく左右にハンドルを動かして前輪を動かして、バランスをとりながら、走行ラインをキープして真っ直ぐ走っています。ハンドルが戻らないなんて、ふらふらして思ったラインを走れず、修正のために緊張して疲れるし、走るのが危険な状態です。

 

タイム独自の3mm径のピンのような工具2本を上カップの穴へ差し込んで、時計方向に締め込んだり、反時計方向へ緩めて、上カップの締め付けを調整してハンドルを軽く動かせるようになりましたが、実際に走ってみると、ヘッド小物の回転の引っ掛かりは改善されませんでした。タイムはクイックセットというオリジナル構造のヘッド小物を採用しています。上カップをカーボン製のフォークコラムの途中に接着したネジへ、上カップに2本のピンを差し込んで締め込むだけで球当たり調整できる、特殊な構造のヘッド小物です。上下のワンにはオリジナルの高価なシールドベアリングがセットされています。

 

通常のAヘッド小物の構造とはまるで違い、プレッシャーププラグで、ステムやコラムスペーサーを押して、回転ブの球当たりを調整する構造とはまったく違い、上カップを締めたり緩めたりだけで球当たり調整できるので、構造的にはコラムスペーサーが本当は必要ないのです。シールドベアリングのケーシング兼ボールレースは熱処理されたスチール製で、その中には透明な樹脂製のベルト状のリテーナーの中に、1mm半前後の径のスチール製の小さいボールベアリングが並べられています。ヘッド小物を開けてみると、上のシールドベアリングのケーシングが外れていました。

 

樹脂製のリテーナーは切れていて、小さなベアリングが1つ外れていました。これがエッジのハンドリングがおかしくなっていた原因でした。こうなると、シールドベアリングの交換で対応するしかありません。本来ヘッド小物のベリングは下ワンの方が負荷が大きくかかっています。上下のシールドベアリングは同じ時間使っているので、同じことが起こる可能性があるので、上下同時に交換した方がいいでしょう。クイックセットは、フロントブレーキだけかけてバイクを前後にゆすって、回転部にガタの無いところまで、上カップを時計方向へ締め込んで、しかもフロントフォークがスムーズに動く状態へ調整する必要があります。ヘッド小物が快適に走るのに、こんなに重要な要素だったことをタイムが教えてくれました。

 

クイックセットのヘッド小物は、しばらく使って再調整が必要です。フレーム側のヘッドチューブのカップにグリスを塗って、シールドベアリングを収める方向に注意して、下側にセットする樹脂製のシールドの向きにも注意して組み立てて、専用カーボンフォークのコラムを通して、上カップを時計方向へ締め込むだけで組み上がり、球当たり調整してガタがなかったら使用をスタートして、数週間で1回目の回転部のガタが発生したら、時計方向へ上カップをわずかに締め込んでガタを無くすと、1年間は無調整でコンディションを保てます。

 

タイムのヘッド小物に限らず、ロードバイクのヘッド小物は、汗や雨やホコリの浸入を受けたりするので、いわゆるヘッド小物のガタと呼ばれる、回転部の緩みや、ハンドリングが重くなるのを感じた時、そうでなくても、年に1回か2回の点検とメンテナンスをして、回転部のスムーズな動きを確保したり、ハンドリングのコンディションを保つべきです。グリスアップ、消耗したシールドベアリングの交換時期の見極めなど、プロメカニックにメンテナンスしてもらいましょう。ではでは。

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