クマさんのバイク専科

ブレーキレバーの引きの調整の目安は!

 

ブレーキレバーの初期の開きの位置を調整する機構が、シマノはブラケットの先端に設定されたネジで、スラムにはブラケットの先端に、3段階のロータリー式の小物が付いているものもあります。カンパニョーロも12段メカになって調整ネジが付き、手の大きさなどに合わせて開きを調整できるようになりました。旧型の10段や11段のカンパニョーロのエルゴパワーシフターは、クイックレリーズの開閉ボタンがブレーキレバーの根元に付いていて、そのボタンをグロータック製のチューンナップパーツへのクイック用のピンを差し込んで交換することで、ブレーキレバーの初期位置を5mm前後開きを狭く、近くすることができました。

 

ところが、このグロータックのピンに交換してブレーキレバーを近づけると、その後ろにある大きな変速レバーを押してしまい、個体差があって、全く影響がないこともあるけど、内側へ押して変速した時に変速レバーの動きが引っかかったり、戻りの動作に抵抗が発生してインデックス変速性能への影響が出ることがあり、取り付けてみてチェックして大丈夫か確認する必要があります。12段モデルからはそういうことを気にしないで、ネジでブレーキレバーの開きを調整できるわけです。もともと、エルゴパワーシフターのブレーキレバーは、アルミ製もカーボン製も、ブレーキレバーの形状が2コブラクダのような形状で、ブラケットを握った状態でも、ドロップバーの下を握った状態からでも指先がレバーへかかりやすいものでした。

 

手の小さいライダー、ブレーキレバーの開きが狭い方が好みのライダーには歓迎すべきマイナーチェンジです。エルゴパワーシフターはマイナーチェンジを受けて、シマノのブレーキレバー兼大変速レバーと同じく、先端が外側へオフセットされて、ブレーキレバーの先に指をかけやすくなりました。さらに、ブレーキレバーの後ろにある大変速レバーの内側へプッシュする部分も外側へオフセットされて、しかも、1クリックのストロークも小さくなって、フロントもリヤも大きいギヤ側へチェーンを移動する、上り変速のレバーの動きが軽快で操作しやすくなっています。

 

ドロップバーの曲がりによってもブレーキレバーとバーのクリアランスは違うけど、ブレーキレバーを引いて、どの辺りからブレーキパッドがリムに触れ始めて、ブレーキが利き始めるかを調整するのと、ドロップバーとブレーキレバーの先端近くが、どのくらいの間隔になった時にフルブレーキングになるかも、ブレーキケーブルの固定位置や、マイクロアジャスターを回す張りの微調整で、好みに合わせる必要があります。基本的には左右のブレーキレバーを同じだけ引いた時に、前後のブレーキのブレーキパッドがリムサイドへ当たるように調整します。その位置からフルブレーキングになるまでがスピードコントロールできる範囲です。バイクライドを安全に走るためにはこの領域がとても重要です。

 

さらにブレーキのストッピングパワーもライダーの体重や、走り方に合わせて好みの分かれるところですが、基本的には大きなストッピングパワーを持ちつつ、スピードコントロールの領域があるものが、走行中の急停止やスピードを安全に保つことでも操作しやすいと思います。少なくとも、スピードに見合った、思った位置でバイクとライダーを停止することができるブレーキを採用すると安心して走れます。止まれるかどうかわからないアンダーパワーのブレーキだけは避けたいですね。シマノでいうなら105以上のグレード、できれば剛性の高いアルテグラ以上をつけておきたいです。

 

ブレーキパッドも制動性能に関係します。シマノの純正のアルミリム用とカーボンリム用、カンパニョーロのあるミリム用とカーボンリム用は、思ったようなストッピングパワーとスピードコントロール性能を発揮してくれます。スイスストップのブレーキパッドの中にも2社と同等のブレーキング性能を発揮する一般的なモデルがあります。ただし、止まればいいというものではありません。シマノの強力なブレーキにカーボンリム用のイエローのモデルは、ストッピングパワーは大きいのですが、パワーの立ち上がりが急で、路面にタイヤを押し付けてグリップ力が増すフロントには使えても、後輪の場合はフルロックさせてしまいがちで、タイヤをスリップさせやすく、コーナー手前のスピードコントロール中に後輪を滑らせて転倒のきっかけになることがあるので、前後の採用は要注意です。マヴィックのイエローモデルも同様にストッピングパワーの大きいブレーキパッドです。

 

ブレーキレバーは300gから350gくらいの力で引くとブレーキキャリパーが動き始めて、ブレーキパッドがリムに触れると、当て利き状態になって、スピードコントロールを始められます。フロントブレーキは400gを超えてブレーキレバーを引くと、ブレーキのストッピングパワーを使ってフルブレーキングできます。リヤブレーキの場合は、ブレーキングを開始すると前輪荷重気味になって、後輪は慣性の力で路面から浮き上がる方向へ力が働くので、350gくらいの引きでフルブレーキングとなります。引きすぎるとタイヤのグリップ力をストッピングパワーが上回って後輪タイヤスリップしてしまい、バイクのコントロールを失うのでブレーキレバーを引く力に注意します。

 

左右のブレーキレバーで引く力を変えられない場合は、左右とも同じ力で350gくらいの力で引けば安全にスピードコントロールできます。ストッピングパワーの大きいブレーキシステムを採用しているバイクは、強く引くというより、じんわり慎重に引くイメージで操作するといいでしょう。マイクロアジャスターやブレーキケーブルの固定する位置の調整で、ブレーキレバーを少し引くとブレーキが利き始める方がいいのか、深く引いたところで利き始めた方がいいのか、好みの分かれるところです。ブレーキの利き始めと、力一杯ブレーキレバーを引いた時、ドロップバーとブレーキレバーの先の間隔がどのくらい開いているかも、気にする必要があります。

 

ブレーキレバーを強く引いて、先端がドロップバーに接触してしまうようでは安心できません。一般的には10mm開いている状態がすすめられていますが、ライダーによってはもっと間隔が5mmとか狭く、ギリギリで利くように設定したいライダーもいます。ブレーキレバーの初期の位置、ブレーキが利き始めるブレーキレバーの位置、引き切った位置でドロップバーとの間隔がどのくらいにするかを気にして、ブレーキケーブルの張り、またはマイクロアジャスターで調整してみてください。

 

ブレーキパッドがリムサイドへ押し付けられたからのブレーキキャリパーの剛性、ブレーキパッドのリムに当たってからの変形量、鋼線を螺旋に巻いたブレーキアウターの圧縮による縦方向の変形量、アウターケーブルの先端とストッパー部分との馴染みなどで、ブレーキケーブルを引いた時のスポンジ感が違います。そしてブレーキケーブルの抵抗も重要で、内臓式のハンドルはルックス的にはスマートに仕上げられますが、アウターケーブルの曲がり、特にブラケット部分近くのカーブがきつくなりがちで、ブレーキインナーケーブルとの摩擦を起こしやすく、樹脂コーティングの剥がれの原因にもなっています。ブレーキレバーの引きは気にならなくても、手を離した時の戻りがもたもたするケースもあります。ではでは。