クマさんのバイク専科

コリマのカーボンリムの精度と剛性に感激!

 

バイクを持っていて、どこをチューニングすれば最も走りが変わるのかといえば、それはホイールの交換です。リム周辺重量が軽いもの、エアロホイール、ロープロファイルリムなどのほか、タイヤの形式もチューブレス、チューブラスレディ、クリンチャー、チューブラーがあります。メーカーがリム、ハブ、スポーク、タイヤまでオリジナル企画で製造して組み上げる、完組ホイールが人気ですが、リム、ハブ、スポーク、タイヤを目的に合わせて選んで組み上げる、オーダーメイドの手組みホイールがあります。

 

スポーツバイクつくばマツナガの工房にはマイクロゲージ付きの高精度の振れ取り台があります。その精度は100分の1mmなので、ホイールの素材にもよりますが、事実上ホイールの縦振れも横振れも10分の2mmくらいまで追い込むことができます。この振れ取り台でセンターを出してしまうこともできます。そして、松永店長独自の慎重にストレスをかける方法でなじみを出して出荷するので、初期の振れも出にくいと評判です。ただ、こうした手組みのホイールの素材が少なくなっていることも事実です。今のところマヴィックやアンブロシオのアルミリム、ジップやコリマのカーボンリム、ジョバンニの木リムなどが手に入ります。

 

今回自分で手組みするのは、フランスのカーボン成形品ブランドのコリマです。バイクのフレームやパーツ、カーボンバトンホイール、ディスクホイール、カーボンリムの完組みホイールやカーボンリムの単体も販売しています。カーボン製品の成形テクノロジーの優れたメーカーで、回転体としての重量バランスもいいと言われています。コリマのカーボンリムは、ウイニウムチューブラー、ウイニウムカーボンクリンチャー、40mmハイトのエアロなど、24本スポークから36本スポークまで組んできましたが、確かに精度がいいので、ニップルの締め具合の抵抗に従って締め込んで行くだけで、縦も横もフレの少ない状態に仮組みできます。

 

成形されたカーボンリムの状態は、縦ブレは0、2mm以内、横振れも0、2mm以内で、5本とか10本横に重ねても、全くカタカタという歪みがなく、高精度なカーボンリムであることがわかります。今回組み上げたのはコリマの32mmハイト、リム幅20mmで340gのロープロファイルリムです。リム幅は20mmのほかワイドモデルも選べます。カーボンリムはエアロダイナミクスタイプの40mmハイト以上のモデルも用意されています。スポークホール数も16穴、18穴、24穴、32穴、36穴が用意されているものがあります。体重や走るフィールド、求めるホイールの剛性や強度に合わせて選べます。

 

今回はオールラウンドに使えることを目指した、横風の影響をハンドリングに受けないように前ロープロファイルの32mm、空気抵抗の軽減とパワーロスのないことを目指して、後エアロの40mmの前後異形ホイールの組み合わせの予定です。32mmのリムは前輪用に組みます。逆方向にした二ップルをリム内に内蔵してスポークを止める構造で、32mmハイトのリムで剛性と伝達効率重視の32穴のラジアル組みです。ハブはシマノのデュラエースでフランジ幅や、スポーク穴と180度反対側のスポーク穴の直径を測って、リムの内径を測って、ニップルが収まる深さを測って、ニップルのネジ山の位置を確認して、三角関数で出したスポークの長さにプラスします。

 

スポークを放射状に張るラジアル組のスポークはこれで計算できますが、スポークが交差するタンジェント組みの場合は、交差穴数でも違いますが、さらに三角関数でスポークの長さを計算して出します。リヤハブのフランジの幅、フランジの径、さらにおちょこ量によるスポーク長さの違いが、フリー側が2mm短くなります。デュラエースのハブの32穴フランジの外側から内側へサピムのCXレイエアロスポークのブラックを通します。フランジの外側にスポークの頭が並びます。コリマのカーボンリムのスポーク穴の傾斜を確認して、右のフランジからのスポークを差し込む穴に修正ペンで小さな印をつけておきます。

 

スポークをセットする作業はバルブ穴の隣から始めます。ハブのボディの位置はデュラエースのロゴが、バルブ穴から見えるようにして、最初のスポークを穴に差し込んで、コリマのカーボンリムに付属しているニップル工具の先端にサピムのある身ニップルを差し込んで、スポーク穴に入れて、スポークの先端のネジに3山引っ掛けて回しました。ニップルは通常とは反対向きにセットします。最初に止めた側のスポーク側の16本のスポークをリムへ仮に固定しました。ホイールをひっくり返して、残りの16本を張って仮組が終わります。全てのスポークのニップルは3山だけねじ込んでスポークはゆるゆるの状態です。

 

ホイールを振れ取り台へセットして、ここからは3山ずつ、すべてのスポークのニップルを回し、同じだけ何度も均一に締め込んで行くと、スポークのテンションが上がってきて、ニップルを締め込むのが重くなってきて、仮組の段階が終わります。コリマのリムは精度がいいので、ただ均一にニップルを締め込んだだけで、縦ブレも横振れも少ない状態で仮組みができます。もう1つ、ニップルを回す抵抗を感じて締め込む方法でも仮り組みが可能です。カーボンリムの精度が高く、剛性があるコリマのカーボンリムではそれが可能です。一定の締め込み回数でスポークテンションを上げる仮り組みを進めてきて、そこからは、ニップルを締め込む重さを指先で感じて、締め込み過ぎないように注意して、少しずつスポークのテンションを上げていくと、仕上げの段階の寸前までスポークのテンションを上げることができます。

 

ニップルの回転が2分の一回転(180度)以下の調整段階に入って、縦ブレと横振れをチェックしながら左右のスポークのテンションを調整して、縦ブレと横振れを10分の2mmにまで収めることができました。さらにホイールセンターゲージをオーバロックナットとリムに当てて、左右のセンターのチェックをして修正を行います。ホイールのセンターは10分の2mm以下に設定できました。リムのフレも10分の2mm以内です。特別神経を使うことなくここまで仕上がりました。コリマのカーボンリムの精度と剛性は抜群でした。エアロスポークのよじれもチェックして戻し、なじみを出して振れが出にくいホイールに仕上げます。

 

カーボンリムは型から外しやすいようにする離型剤が表面に残っていることがあるので、カーボンリム用のブレーキパッドの当たる面や、タイヤを接着する面をブレーキパーツクリーナーなどの溶剤で拭いて入念にクリーニングして、タイヤを接着します。ミヤタのリムテープを使ってヴェロフレックスのクリテリウムのチューブラータイヤを張って、5気圧に設定して圧着させました。これで今週末のライドに使えます。やっぱりコリマのリムはいいですね。カンパニョーロのロープロファイルホイールのハイペロンがないので、前後輪32mmリムで、伝達効率がよく、スポークテンションの調整幅がある、32本スポークでテンションを上げ気味のカーボンリムの前後ホイールが欲しくなりました。

 

ラジアル組みのニップルは振動で緩みやすい傾向があります。それでも、振れ取り作業を考えると、緩めることができるネジロック剤や、スポークプレップ剤を塗らないで組みます。スポークのテンションはいつも通りに上げています。走り出して乗り味を確認して、ホイールとしての剛性不足を感じたら、タイヤを取り外してニップルを締め込んでスポークのテンションを上げて剛性を上げたいと思っています。手組みのオーダーホイールは先端が曲がった引っ掛け式のスポークを使うので、ストレート引きのスポークよりテンションを上げられないので、28本スポーク以上で組んだ方がいいと思います。ではでは。