クマさんのバイク専科

最近のコリマのカーボンリム事情

手組みのホイールを今時使っていると、そんなの意味があるのと聞かれることがあります。
うーん!、確かにメーカーが工場で組んで売っている完組みホイールが全盛ですからね。
シマノやカンパニョーロなどのコンポメーカーはもちろん、マヴィックなども凄い種類をリリースしていますし、
中小のブランドなら数知れずという乱立状態と言ってもいいくらいです。
安いのは2万円台からあって、上はライトウエイトホイールの80万円くらいかな。
なのに「手組みですか?」と言われるわけです。

でもクマジジイはノスタルジックという意味合いではまったくなく、
乗り味の問題で相談を受けたライダーの要望を聞いて、「手組み」のホイールをお薦めしていることがありますね。
まずリムを、ライダーの目的に合わせて素材や形状や重さで選べること。
伝達効率や空気抵抗やショック吸収性に関係するスポークの本数を選べること。
そしてスポークを選べること。ニップルを選べること。
ハブを選べることで、まずホイールの材料を選ぶことで、フィールドに合わせたり、
ライダーの体重やパワーや好みに合わせて、乗り味を調整することができるわけです。

ホイールの素材を選ぶだけではなく、スポークの組み方、スポークを張るテンションでも、
ホイールとして組み上げる段階で乗り味を微調整することができます。
それに、後輪でもっとも重要なのは、ライダーのパワーを伝達する効率と、
クランクを踏み込む脚への、路面をトレッドゴムが蹴って前へ進む時の反力によるダメージの軽減です。
ホイールの硬さとか剛性と言われる部分です。
さらに、路面からのショックを吸収して軽減するリムの縦方向の剛性や、
スポークの張りによるショック吸収性も快適走りには重要な要素です。

リムの形状は25mmくらいまでのハイトのロープロファイル、35mmハイトくらいまでのミドルセクションエアロリム、
40mmから120mmくらいのハイトのディープリムにカテゴライズされます。
リムのハイトが高くなればスポークの長さは短縮されて、リムの剛性が確保されていれば、
ライダーがペダリングで発生したパワーをロスすることなく伝達する効率が高い、
エアロダイナミクスホイールというのが一般的な見方でしょう。
リム単体が軽くてもスポークのテンションを上げにくく、ホイールとしての剛性を確保するのが難しいので、
ホイールのリム周辺重量は軽くても、力が逃げて走りが軽くはなりません。

カーボンリム単体で買えるのはフランスのコリマが有名です。
いままでの購入経験からすると、かなりの我がままを聞いてくれる感じでした。
日本の輸入代理店も頑張って色々探してくれて、単品でも取り寄せてくれました。
コリマはやっぱりロープロファイルのカーボンリムのウイニウムから始まって、
ウイニウムのクリンチャータイプ、40mmのエアロタイプとか、32mmのミドルとかとにかく色々用意されています。
今時、手組みできるリムを、それもカーボンリムを手に入れられる貴重な存在です。

さらに凄いのが、というより感激しちゃうのがリム穴数の豊富なラインナップです。
16穴・18穴・24穴・28穴・32穴は何となく想像の範囲でイメージできたけど、
まさかの36穴、こんなのありなの〜という42穴までオーダーできる体制になっていました。
今時、42穴のリムを望むライダーはさすがにいないでしょ、
と思ったらシクロクロス用の後輪に使う選手がいるんだそうです。
そういうことにも対応しようというコリマの姿勢が凄い。
リムはあったとしても、組み合わせるハブってどうするんだろうと思うと、
42穴フランジの後輪ハブを用意しているメーカーがあったり、
穴無しフランジのハブを用意していて、注文でお好みの穴数を製作してくれるメーカーもあるそうです。

しかもです。大きな駆動トルクがかかり続けて、フランジもフリー側だけ亀裂が入ったりすることがあるそうで、
力がかかるフリー側だけ穴無しとかでフランジ割れを防ぐモデルも用意されているそうです。
やっぱりヨーロッパの自転車は文化なんだなと思わせる話しですね。
今時、木のリムを作っているメーカーもあるんだから、やっぱりひと味違う奥行きの深さを感じますね。
その割にはカンパニョーロは167、5mmや165mmのカーボン4アームクラックを作ってくれませんけどね。

フランスのコリマはヘリコプターのローターを製造するメーカーとしてしられていますが、
そのカーボン繊維の成型技術を生かして、カーボンリムやカーボンホイールの製造をしているわけです。
世界シェアでどのくらい確保しているのか、何処へOEM供給しているのか分かりません。
でも、想像するにフランスでカーボンリムやホイールを製造して、組み上げているのでは、
製造コスト的に相当厳しいことになるような気がします。
どういうマジックを展開して生き残っているのでしょう。これじゃ採算とれていないだろうなと思います。

だけど合理主義のフランスで、まっ赤な赤字を続けているはずもないし。
この、用途に合わせて選べる、親切とも言える製品ラインアップをカタログで確認して見ると、ここの製品を使いたくなります。
そんなコリマの製品で頼りにしていたウイニウムが廃盤です。
25mmくらいのハイトで幅は21mmだったかな。前輪用のリムとして剛性も高く、
強度もあってお薦めしていたモデルです。
輸入元にある在庫で供給は終了です。それに代わるモデルとしては32mmのモデルで前輪を組めそうです。
しかもリムの穴数も豊富だし。
やっぱフランスのコリマは熱い心を持っているよね。ではでは。