クマさんのバイク専科

手やお尻がぴたっとはまる感じを味わってほしいな

サドルにしてもハンドルにしても、これ以上のフィット感はないという、いわゆる「はまる感覚」を感じる、快適性を追求したセッティングが存在します。それを味わってほしいですね。サドルやハンドルのポジションを、体格や体力、走る距離など、走るフィールドに合わせて調整するのがフィッティングです。ライダーがクランクを回しやすく、踏み込んでパワーを発揮できる腰の位置をサポートするサドルの位置は効率のいいペダリングをするには重要です。

 

入力ポイントのペダルと足の関係を作るクリートの位置。上半身の重さを使って踏み込んだり、腕で支えたりするブラケットの位置や、ハンドルバーの取り付け角度。ステムの固定位置などを目の前のライダーをゲージとして、バイクのポジションを、ライダーの体格や心肺機能や柔軟性を参考に、ポジションを決定するゲージと考える方法で、動きの中でポジションを見て、独自のメソッドで快適ポジションを設定しています。

 

ロングライド系なら長く走っても疲れにくい快適に走れるポジションに設定します。シリアスロード系なら、力を発揮できて空気抵抗も配慮したポジションに設定します。フィッティングの要素は、クリート、サドル、ステムやハンドルバーやブラケットの位置です。ライダーのパワーを伝えるビンディングペダルシステムは、ペダル軸の中心の位置を、クリートを前後へ動かして、脚の筋肉への負担を軽減できるクリートの前後位置に決めます。左右の足の開き、Qファクターを狭くして回しやすい設定したり、広くして踏める設定にして、ケイデンスに関係するクリートの内外の位置を設定します。

 

そして、ビンディングペダルは足を固定してからも動かせる構造になっていますが、クリートの取り付け角度は、キャッチはもちろんの事、リリースのスムーズさにも関係する要素で、足を動かせるから適当に固定すればいいというのは間違いです。足をペダルにセットしてからも、足を動かせるのをフローティング状態といいます。クリートの取り付け角度と、踏み込む足の向きとの小さなズレで、ペダリング中にキャッチメカニズムの小さなバネの力が常に働きます。

 

クリートのセンターをペダルのセンターへ向けようと、ペダリング中の脚にわずかに力が働きます。それが1日6時間も走っていればペダリングは2万回近になります。その、わずかなクリートのズレで、小さな力ですが、膝関節などに違和感や痛みが発生する原因になる可能性があります。クリートの取り付け角度のズレは本当に重要で、足踏みや実際のペダリングを観察して、足が動いて踏みやすい位置を探していないか、細かくクリートの取り付け角度を修正する必要があります。

 

自然な足の向きでクランクを踏み下ろせるクリートの取り付け角度の設定をして、ペダリングをみると脚のひねりが発生していることがあります。フローティング構造でストレスを分散してくれますが、根本的には膝関節周りへの負担を軽減できるクリートの通り付け角度の微調整を行います。この微妙なズレを見抜くのはかなり難しいので、これくらいかなで妥協している例が多いですね。脚の伸び具合でペダリングに関わるサドルの高さ。踏めて回せる腰の位置をサポートするサドルの前後位置。尿道や座骨の圧迫に関係するサドルの取り付け角度がサドルの調整を1つ1つ解決して積み上げないと、快適なポジションに煮詰める事はできません。

 

ステムはコラムに固定する高さと、突き出し部の長さと角度が選べます。ドロップバーは取り付け角度が調整できます。さらにブラケットの位置の調整があります。腰の柔軟性、空気抵抗の軽減重視の低い設定、心肺機能や筋力、サドルの上の面との落差は決まります。ブラケットを握ったとき、上半身と真っ直ぐに伸ばした腕が作る角度が90度前後になるのがコンフォート、ややレーシングなのが90度から110度、レーシングは100度から120度に腕を伸ばすと、トップコンディションでは、かなりのブラケットの遠さになります。ステムの突き出し寸法で調整できます。

 

サドルとステムの突き出し部分との落差は、コンフォートなら0mmから30mmくらい、体格の小さいライダーならややレーシングで30mmから60mmです。より体重をかけてクランクを踏み込みたいレーシングの場合は50mmから100mmの落差になります。身長が175cm以上の体格の大きいライダーの場合は、150mmから180mmの落差のライダーもいます。上半身の重さを利用してクランクを踏み込んでペダリングしやすいし、時速40kmから60kmで走ると905のパワーを空気抵抗に消費するので、空気抵抗の軽減を実現するためにも、落差が大きい方が上半身を水平に保って走れます。

 

クリート、サドル、ステム、ハンドル、ブラケットのポジションの中で、ライダーにぴったりの位置が出ているとはまるという現象を体験できます。ここしかないというピンポイントのポジションです。例えばサドルの位置、ダンシングしてすっと腰を下ろしたとき、ぴたっと腰の位置がはまって、そのまま腰の位置を移動することなく、力強く踏み込む事ができます。

 

そして、ブラケットの位置も、握った手に負担なく、引けて押せる位置が出ていて、まさにここという設定にはまる事があります。きっとそういう位置がフィッティングで見つかります。走るのが楽しくなります、もっと走りたくなります。黒姫高原るんるんが宿の7月のフィッティングとフィールドの走りでは、まさにはまる、コレッという絶妙のポジションが見つかったライダーが数人、これですと、最高に喜んでいました。ではでは。