クマさんのバイク専科

小さいバイクシューズのソールの反りの問題

ボクらは長年のお付き合いで、メーカー内のパーツの互換性を信じている部分があって、シマノにはシマノという組み合わせを信じて、この組み合わせならと安心している部分があります。しかも、メーカーからの特別な互換性に関するインフォメーションもないとなると、使えるのではと思ってしまうんですね。コンポーネントパーツに関しては、互換性に基本ルールがあって、シマノのコンポーネント内で組み合わせる事が可能という、チャートに沿って組み合わせれば、変速にしてもキャパシティにしても、ハンガー規格にしても、100%の基本設計どおりのパフォーマンスを発揮してくれます。

 

ところが、マニュアル通りに行かないパーツがありました。シマノのSPD –SLペダルに足をセットして、クランクを踏み込んだ時の足の安定感。キャッチ&リリースの確実さ。脚のひねりによるストレスを解消する6度のフローティング構造など。自転車看護女子は105を選んでいました。さてバイクシューズです。これもシマノのロードバイクシューズのワイドモデル、プラスチック製のソールでした。足のサイズは23、5cm。女性ライダーとしては普通のサイズです。ソールにシマノのSPD—SLのイエローの樹脂製クリートを3本のボルトで取り付けます。

 

シマノのペダルは、足が安定するペダル軸から踏み面までの距離が近いロープロファイル設計、親指から小指までをしっかり支えるワイドボディ設計をいち早く採用しています。だから、シマノのSPD—SLロード用のビンディングペダルの踏み面は、ビンディングペダルの中でも、もっとも縦方向も横方向にも面積が大きいペダルです。だからクリートさえ正しく設定されていれば、クランクを踏み込む足が安定して、パワーが伝わるんですね。ところが、その安定を生むクリートの面積の大きさが、小さいサイズのバイクシューズのソールの急な反りにフィットしない場合があります。

 

ちょうど23cm前後のバイクシューズは、プラスチックやカーボンソールなど材質に関係なく、ソールの反りが急になっている可能性があります。それはシマノに限らずどのメーカーブランドにも可能性があります。もしかしたらですが、反りの影響を受けにくい、クリートの小さいルックのケオクリートを基準に設計しているのかなと思わせます。当然、シマノは広いペダルの踏み面に対応する、樹脂製クリートの面積も大きくなり、ソールの反りの影響を受けやすいのです。

 

なんと、シマノのペダルにシマノのバイクシューズなのにです。シマノのお客様相談室に問い合わせてみると、把握している部分とまったく気が突いていない部分がありました。ソールとクリートのギャップの解消方法は、シムを入れるしかないという結論になりました。3本のボルトを締めてしまうと、ソールの反りに合わせてクリートが変形してしまうことがあります。変形するとペダルのキャッチメカニズムに素直におさまらなくなり、キャッチがしにくいし、まるでキャッチできない場合もあります。

 

クリートの変形を解消する実際の対応方法は、ソールの反りをクリートの先端のボルトだけ1本締めて、クリート後半がソーリから浮き上がっていないか確認しましょう。今回の自転車看護女子のバイクシューズもシマノでしたが、先端のネジを締めると、クリート後半が1mmから1、5mmソールから浮き上がっていました。

 

そこで、シマノの純正の硬質プラスチック製の1mm肉厚のシムを、後半だけに切ってしまい。切り口をテーパー状に削りました。このシムをクリートの後半とソールの間に入れて、2本のボルトで固定してクリートの変形を解消しました。やっと基本性能が整いました。クリートの変形がなくなり、スムーズに足はキャッチできるようになって、リリースも足を外すと意識して、カカトを外へ振り出すように脚をひねると、確実の足の固定が解除されるようになりました。

 

ソールのアールが急で、まさか樹脂製のシマノのクリートを3本のボルトを締めて固定すると、クリートが変形しているなんて思いませんし、気がつきにくいポイントです。キャッチしにくくなるし、いつ固定が解除されるか分からない危険な状態です。小さいサイズのバイクシューズのソールで起こりがちなトラブルです。あまりに着脱しにくい場合はソールの反りを思い出して、シムをセットしてクリートの変形を解消してください。ではでは。