クマさんのバイク専科

シマノのデュアルコントロールレバーのシフトケーブル

シマノのブレーキレバーと変速レバーが一体になったデュアルコントロールレバーは、人間工学的なブラケット形状やブレーキレバーの形状や、変速レバーのデザインが追求されて、変速やブレーキングの操作や、メカニカルそのものの構造が進化しています。変速操作したり、ブレーキレバーとして引きやすい、はっきり外側にオフセットされたブレーキレバー兼大変速レバーが印象的です。ストロークが短く、しかも操作が軽くなった、ブレーキレバーの後ろにあるリターンの変速レバーもストロークは小さくなり動きも軽いなど、大幅に改善されています。

 

ブレーキレバーの開きは、ブラケットの先端上側に埋め込まれたストローク調整ボルトで、初期の位置をかなり狭くできます。これでブレーキレバーの開きを調整できますから、かなり手が小さく指の短いライダーでも、ドロップバーの下を握っても指先がかかる設定にできます。シフトケーブルの設定も現行モデルは上位のデュラエース、アルテグラ、105は、シフトインナーケーブルのニップルを、インナーケーブルの巻き取り部分のホルダーへセットするのに簡単な同じやり方で行います。

 

それまでのデュアルコントロールレバーは、小さなネジで固定されたカバーを取り外してケーブルの交換を行いました。作業現場では無くしてしまいそうな小ねじで、変速レバー兼ブレーキレバーの先端の金属製カバーを取り外してからインナーケーブルをホルダーに通して交換しました。何だかなーな構造でした。ここの作業頻度は低いにしても、整備の面倒な構造、なくしやすいネジを平気で採用していました。

 

あの小ねじやカバーは、レースの現場でもショップでも超不評だったと思います。だって、固定する小ねじは、小さなプラスドライバーに持ち替えて回すことになるし、小さいネジだからちょっと落としてもなくしやすいのです。ころころと、芝生の上にでも落ちたら捜索隊を出しても見つかりそうにありません。

 

だから、この小ねじとプレートのセットをいくつかスモールパーツケースに入れているメカニックもいたほどです。しかも、レースの現場ではシマノのスタッフがどうせこの小ねじを作業中に無くすだろうと読んだのでしょう。小袋にたっぷり詰まった、この小ねじを配っていた記憶があります。

 

現行モデルは変速レバーのリターン側をから打ちして、ニップルホルダーの位置を初期の位置へ戻し、ブラケットを真横からシフトインナーケーブルを貫通させて、ブラケットのプラスチックのカバーを浮かせて外します。ブラケットのガイドの溝にそってシフトインナーケーブルを引いて、ふたを戻すだけでセットできます。ただし、インナーケーブルを軽く引きながら、巻き取り部分のホルダーにニップルがおさまるように注意します。

 

変速レバーを操作して、ホルダーにニップルが奥まで収まり、シフトインナーケーブルが巻き取り部分に組み込まれたラチェット機構で、段階的に巻き取られる事を確認します。初期のデュアルコントロールレバーより、ケーブルの巻き取り部分の流れがスムーズになるように改善されて、レバーの操作の軽さを実現しています。しかも、インナーケーブルの曲がりも急ではなくなっているので、フリクションだけでなく、インナーケーブルの曲がりによる金属疲労的なダメージも発生しにくくなっています。

 

ブラケットの形状も改善されています。メカニカルでブラケットにおさまるメカニズムがあるのに、かなり細めに絞り込まれて、手の小さいライダーでも握りやすく、変速レバーもブレーキレバーも、ブラケットを握ったまま操作しやすくなっています。とにかく変速レバーのストロークも小さくなったし、さらにインデックス変速の操作が軽くなっています。もっとも改善されたのは左レバーのフロントの変速のストロークと軽さです。旧モデルとはまったく別物で、これなら女性ライダーでも納得です。

 

年末にリリースされるデュラエースは、フロント変速機のアームは短くなり、シフトケーブルのルートは1つになり、メカニックは新しいルートのインナーケーブルの通し方を覚えなければいけなくなりましたが、とても組みやすくなりましたし、レバーのストロークが小さくなり、引きも軽いですよ。とにかくシフトケーブルで操作するメカニカルのレバーは、カンパニョーロも、スラムもシフトケーブルの巻き取り部分でダメージを受けやすいので、早めの交換がメカトラブルを防ぐことになります。リターンの変速のもどりが悪くなったら要注意です。ではでは。