クマさんのバイク専科

デュラエースSPD-SLペダルを復活させました!

スポーツバイクつくばマツナガに頼んでおいたスモールパーツが週末にとどいていました。回転部から異音が発生したデュラエースペダルの小さなボールベアリングです。つくばのライド中にバキバキと大きな異音が発生したので、つくばまであと10kmのところで止まってバイクを点検すると、疑っていたハンガー小物のガタをチェックしたり、左クランクの2本の固定ボルトを5mmアーレンキーで増し締めしましたが、走り出してみると、異音を解消できていませんでした。左右のペダルを確認すると左側の回転部がガタガタになっていました。

 

ルックもタイムもスピードプレイも、回転部にはシールドベアリングが圧入されていて、しばらく使っていると小さなガタが発生します。それでも問題なく使える設計なんですね。もちろんガタが気になるライダーもいて、解消して欲しいと言う依頼を受けてスペーサーを入れたり、輸入元に送り返してシールドベアリングを打ち換えたりして対応しますが、圧入した高精度のシールドベアリングにペダルシャフトを圧入している構造なので、この3ブランドのペダルは、しばらく走ってシールドベアリングのボールベアリングやボールレース(球当たり)が消耗すると、またガタが発生します。

 

シールドベアリングはもともと高精度の回転パーツです。ペダル本体のシールドベアリングの圧入部分の穴の精度を高くすれば、圧入するだけで高精度の回転部に仕上げることができます。消耗して大きなガタが出て気になったら消耗したシールドベアリングを専用工具で抜き取って、専用工具で圧入して交換して対応すると言う設計思想の製品です。シールドベアリングはヘッド小物、ハンガー小物、ハブ、ペダルなどのスポーツバイクのパーツの回転部に採用されています。中には横方向へ圧力をかけて調整して、球当たり調整できるモノもあります。

 

シマノのSPD-SLのロードペダルは、550、105、アルテグラ、デュラエース全グレードともに共通しているのが、構造は違っていてもカップ&コーン式ベアリング採用で、転倒などで大きな力がペダルにかかるアクシデントに強く、球当たり調整ができて、ボールベアリングやボールレースが消耗してガタが出ても、確実に球当たり調整できる構造が採用されています。日本のメーカーらしいところですよね。ボールベアリングや球当たりの交換も、グリスアップも比較的簡単にメンテナンスの作業をできます。

 

バキバキ異音が出たまま走ってショップに帰りついて、シマノのSPD-SLの左ペダルを分解してみると、なんとペダルの根元のほうのボールベアリングが15個しか入っていませんでした。普通は17個入っているはずなので、2個はどこへ行ってしまったのか、分解修理した記憶がないから、最初から入っていなかったのかも?。スナップリングでカップにホールドされた13個のボールベアリングは、カップのボールレースに収まっていましたが、2個はスナップリングを飛び越えて、樹脂製のペダルボディの中に飛び出していました。これがペダリングするたびにペダルボディの中で暴れ回って、バキバキと異音が発生していたようです。

 

古いボールベアリングを外し、ペダルボディの中の古いグリスを洗浄して、新しいボールベアリングを17個数えてステンレス製のトレーに入れて、グリスを塗って、細いマイナスドライバーの先端に付けて、グリスを詰めたカップの中のボールレースへ組み込んで並べました。17個のボールベアリングがボールレースに並んだ状態で、スナップリングをペダルシャフトに通して、専用工具の先端をスナップリングの左右の穴に差し込んで少し広げて、ペダルシャフトの溝にスナップリングをセットします。これでボールベアリングはボールレースのカップから外れなくなります。

 

ペダルボディとボールレースのカップとの間にスペースワッシャーを通して、ペダルボディにペダルシャフトを差し込んで、左ペダルの場合はカップを時計方向へ手でねじ込みます。18mmの板スパナでカップをさらにねじ込みます。ペダルシャフトを持ってガタがないか、回転が重くないか確認したら、カップの外側にあるロックナットを21mmの板スパナで締めて、回転部を調整します。シマノのクランクのペダルシャフトをセットするネジ穴へグリスを塗って、8mmアーレンキーで締め込みました。これで週末のライドは問題なく走れるでしょう。もちろん右ペダルも分解して見ましたが、先端側に9個、根元に17個のボールベアリングが、そして中間にニードルベアリングがセットされていました。

 

先々週あたりから、ペダリングするたびに、かすかに感じていたカリッという違和感の原因が、デュラエースのペダルのボールベアリング不足だったとは驚きましたし、岩瀬往復ライドの終盤にきてのバキバキには、やる気を削がれ最後の10kmはトボトボの走りになりました。てっきりハンガー小物のベアリングの消耗が異音発生の原因と思っていたのですが、1年使ってきたデュラエースのハンガー小物のベアリングの寿命は、まだ大丈夫そうです。ではでは。