クマさんのバイク専科

シマノのSPD–SLのグリスアップ

 

シマノのビンディングペダルはルックパテントモデルとか、色々進化の過程を経て、その進化型の旧型アルミボディのSPD-SLになって本当に完成度が高まりました。そして前段階のアルミ合金製ボディがあって、現行モデルは最高峰のデュラエースから550までの4ラインアップが樹脂ボディとなり軽量化されました。それまでのアルミボディのモデルよりわずかに軽くなりました。踏む足が安定する踏み面の広さ、ロープロファイルを実現するペダルシャフトやベアリング形式、玉当たり調整を確実にできるなど、基本構造はそのままに現行モデルへ引き継がれています。

 

樹脂ボディ化されて、もっとも大きく変わったのはアルテグラかな、カーボンチップ補強の樹脂製ボディ、テーパー状のスチール製ペダルシャフトは中空肉抜き加工されて軽量化されています。ボールベリング形式はシールドベアリングでなく、球当たり調整がしっかりできる構造で、シマノのポリシーとして貫かれています。これが変わらないとシールドベアリング化はありませんんね。アルテグラはデュラエースと遜色がない仕上がりです。デュラエースは、まだ、トウクリップ&ストラップを採用していた時代のペダルのカップ&コーン方式のベアリングと、テーパー状のペダルシャフトというロープロファイルを実現できるという基本構造を継承しています。内側にあるロックナットと外側のカップは、板スパナで球当たり調整を確実に行えます。

 

ランス・アームストロングとジョイントして開発したというルックパテントモデルをベースにしたアルミボディのSPDーSLは、現在のモデルの原型になっています。現行モデルでイージーにキャッチ&リリースできるモデルとして製造されているペダルのデザインが、初期モデルのSPD-SLと同じデザインです。シマノはアルミボディの新型のSPD-SLを発売しました。現行モデルの樹脂製ペダルの原型になったモデルです。バイクシューズやクリートと接する面が横方向へワイド化され、プラスチック製のクリートは旧モデルと同じでも、足をセットすると親指から小指までをしっかりサポートされている感がある設計になりました。

 

この横方向への踏み面のワイド化のペダルボディのデザインは、老舗のルックも、タイムも追従します。シマノは2社が先行した樹脂ボディへの移行が遅くなりましたが、3年前にSPD-SLの4モデルのボディを樹脂化しました。それでも、他社が手がけているチタン合金製シャフトには手を出していません。デュラエースでもスチールシャフトの中空化に留まっています。そこで、サードパーティのチタン合金製シャフトを採用して軽量化したのですが、ボールベアリングやニードルベアリングがチタン合金製のペダルシャフトに触れる場所が消耗してしまい、3ヶ月ぐらいで回転がガタガタになってしまいます。このベアリング形式の構造ではチタンシャフト化は無理です。

 

今回のバイクの整備でさすがにこれが気になってしまい、スチール製の中空シャフトへ戻す事にしました。ついでにグリスアップとなりました。カップを板スパナで緩めてペダルシャフトと外側のベアリングを抜き取り、ペダルボディの中にブレーキパーツクリナーをスプレーして洗い流しました。デュラエースは先端に少数のボールベアリング、中間にニードルベアリング、根元側に多数のボールベアリングが入っています。先端のボールベアリングとニードルベアリングにグリスを供給して、潤滑効果のあるテフロン樹脂を追加しました。

 

ペダルシャフトはスナップリングを取り外して、カップを動かして細いアーレンキーで油汚れしている小さなボールベアリングを一旦取り外し、カップのボールレースにグリスを塗って、ペダルシャフトのシールドの汚れも拭ってから、カップへ通し、グリスを塗ったベアリングをボールレースへ戻し、スナップリングを専用工具で広げて、ペダルシャフトの溝へもどして組み上げます。回転を確かめてから、ペダルボディへシャフトを差し込み、べアリングの収まっているカップをペダルボディへねじ込みます。左ペダルが時計方向、右ペダルが反時計方向です。球当たりの調整はカップとその内側にあるロックナットの締め合わせで微妙です。

 

内側のロックナットを少し回して、カップをボディへ締め込んで球当たりがガタ無くスムーズに回るように調整します。2枚の板スパナで締め合わせて調整する事になります。ビンディングペダルの球当たりやガタが気になったり、シールドベアリングにチタンシャフトの高級ペダルのガタに悩んでいるのなら、構造上ガタが発生しやすいので、シマノの確実に調整できるペダルがお薦めです。かなり微妙な調整が可能です。すり減ったサードパーティのチタン合金製ペダルシャフトから、スチール製の中空ペダルシャフトへ交換すると、ガタがまったく無くなり、球当たり調整も楽に行えて、スムーズに回転しました。やっとこれで安心して走れます。これでキャッチ&リリースの具合を確かめて、さらに着脱が楽なアルミボディのデュラエースに戻すかはじっくり考えます。ではでは