クマさんのバイク専科

WBSのトヨタ特集を見てこれで大丈夫!?

御曹司がドライバーのひとりとして関わるガズーレーシング、経験値の低い社員メカニックがピックアップされて、低予算で参戦するクルマを作って、従業員の教育的な指導を兼ねた、海外の耐久レースへのチャレンジが、ドキュメンタリー的な映像としてテレ東のWSCの特別編成番組で流れ、腕はプロドライバー並という御曹司の口から、スピードを追い求めてチャレンジはしないという。乱暴にいってしまえばトヨタユーザーも一般視聴者も、そんなの見たくない感じです。

 

テレ東の看板経済ニュース番組のWBS で紹介されていた、画一的な従業員を作り出しそうな、給与をもらいながら学べるトヨタの学校も、まるで自己啓発セミナーチックで、人間的じゃなくて、なんだかな〜という感じの印象だったけど、会社としての人に対する姿勢を露にしている部分だと思うんです。そんなトヨタ学校の教育現場の映像を流しているのは、会社のアピールとしてはマイナスな感じだったな。

 

ガズーレーシングの御曹司が関わる耐久レース活動は、どこの広告代理店がからんで、番組との取材費のバーターになっているのかな。もう少し放送内容を考えた方がいいのではと思いました。こういうふうに、「現場での修業だ」的な露出にはしないほうがいいのに。海外の現場に来ている社員メカニックくんにスポットを当てて、できれば女性メカニックに、「うちはクルマを創造する会社だから、海外レースの旅行へただで行けて、メカニックとしてパドックにもスタッフとして入れて、ワクワクドキドキの体験ができるんですよ、しかもレーシングドライバーが社長ですからね」、的な扱いにしたらどうかな。

 

日常的なトヨタ車内での業務の積み上げだって、十分にダイナミックなことの積み重ねだろうし、クリエイティブな職場で、開発とか生産が行われているはずだし。まじめで器用な日本人従業員ならではの、緻密でスピーディな仕事が、世界で信頼されるクオリティの割に、価格が抑えられたクルマを作っている分けだから。突然ピックアップされて放り込まれた、海外のレース活動なんて、日常でない、その場だけのカタルシスを修業だなんて思ってほしくない。修業ってもっと地道な積み重ねだと思うな。

 

第一、周りの修業を積んで必死にやっているメカニックやマネージメントのプロ達に失礼でしょ。1秒削るのに必死で頑張っているプロドライバーにも失礼ですよ。まあ、こういうコンセプトだから頼むよとは言われてガズーレーシングとは契約しているだろうから、それはそれで問題はないんだろうけれどね。でも、いまある力で精一杯頑張って、結果はともかく、そのプロセスが大切だなんていうのはアマチュアのやることで、勝つために才能のある人が腕を磨いて、それで必死の姿勢で臨む、そてが本物のプロの現場だと思うけど。

 

トヨタユーザーに夢を与えたいとか、若者にクルマの魅力やトヨタの魅力を語りかけるつもりとすれば、ベクトルが違っていると思います。「ザ修業!」、確かに現場での苦労は値千金な事は、お金や時間を自己投資して体験しているので意味は分かります。だけど、WBS の特集は、投資家や一般視聴者やユーザーへのアピールが目的のはずなのに、放送内容を再検討しようと言う、アドバイスできるような首脳陣の空気じゃないのかも。業績は良くても、未来を切り開くはずの御曹司は、今、裸の王様になっていないか?。

 

社員がチャレンジする場が、会社によって海外に用意されていて、レースの現場で瞬間だけど厳しい体験を、社員という身分保証があって体験させてもらえる分けです。シビアな競争という世界で勝ちたいとか、完走したいとかの1つの目標に向かって、同じ方向を向いて、社員メカニックが体力や能力や経験値を振り絞って頑張るわけです。原因不明の駆動の伝達不良でクルマはパドックで停止、走れないという窮地に追い込まれて、エンジンとギヤの交換という大工事を決断。

 

低予算のはずのチームが、エンジンとギヤボックスの予備ユニットを海外レースの現場へ持ち込んでいるとこが、どうにも設定が凄過ぎるね。悲壮感を漂わせて徹夜の交換作業が始まり、美しいチームワークを醸し出して、クルマは異例の早さで組み戻されて、スタッフ一同涙ぐみながら感動の再スタートをするも、再び原因不明の駆動力が伝わらなくなるトラブルが発生して、24時間耐久レースはリタイヤになり、チャレンジは幕を閉じました。

 

凄いと感動する人もいるかもね。だけど、今時、みんなが同じ方向を向いていていいのだろうか?。この多様で価値観が激変する時代にです。耐久のチャレンジもそうだけど、金銭的に条件のいい学校は、まだ、画一的な人間形成、工場で文句も言わずに働く、都合のいい人間を作ることが教育だと思っているみたいです。トヨタの首脳陣の古い価値観の期待に答えているのでしょう。まさに個性的なクルマ、未来を指し示すビークルが生まれて来る土壌が作られているとは思えません。組み立て要員の確保としか思えませんでした。

 

社員教育用にしつらえられた、チャレンジングなガズーレーシングがあっていいとは思います。でも、その一方で、レースの世界、競争の世界は、熟練の技とか経験、他に類を見ない発想や、冷静に現状を把握できて、先を見通せる明晰な頭脳を持った人、そういうプロフェショナルの集団が戦ってほしいのです。だって、自分が乗っているクルマが世界一になれる可能性がある技術力で支えられているのを、毎年証明されるのは嬉しいことですよ。

 

ボク個人としては、燃料電池搭載のeカーの開発もトヨタを存続させるために、未来へつながると思うけど、スポーツカーや高性能ラグジュアリーカーのパワーユニットの開発を支えている、ヤマハのエンジニアリングの化石燃料エンジン作りのノウハウを前面に押し出した、電池の重さを気にしない、軽快な走りのスポーツカープロジェクトがもう少しの間あっても、遊び心の面としては、いいのではと思っています。少なくとも傘下の4輪駆動がお得意のメーカーと共通機材のスポーツカーというのは、トップメーカーとしてどうかなー、という感じです。

 

ところで、ハイエンドブランドのレクサス自転車の第2弾は発表されないのかな。トヨタのカローラやマークⅡのような、スポーツバイクとしては平凡な、セミモノコックのカーボンフレームに、デュラエースのメカニカルのアッセンブルだったから。次回はシマノの電動メカを搭載ですか。できれば超高性能のスポーツeバイクもラインアップに加えてほしいです。あなた達の身近にいるヤマハさんが、そのノウハウを蓄積していますよ、ハイブリッドやe パワーのレクサスに載せておかしくないヤツをお願いしたいな。レクサスの商品企画・開発のみなさん頑張って!。ではでは。