職人マツナガ通信

11月20日 Tさんのオーダーフロントフォーク設計!

Tさんのオーダーフロントフォークつくり、
まずは寸法設定ですね。
とりあえず、現在のジオメトリーをカタログで確認します。
ヘッドアングル71度45分、オフセット50mm、フロントセンター570mm。
いつも使っている設計用のソフトで計算をすると、トレール値が58.8mmということ。
このトレール値がハンドリングの特性を表すといわれています。
ボクが勉強してきた中で、この58.8mmという数字は、
レース用ロードレーサーの持っている数字ですね。
大分昔に、このトレール値が業界で話題になり。
ある雑誌社がいろいろなロードレーサーを計測して、
出てきた値が58mm前後だったと思います。
アンカーRS6は、レース向けに設計をされているんでしょうね。
Tさん、このバイクはプロジェクトMに比べて、ハンドルが敏感すぎるとおっしゃる。
プロジェクトMのトレール値は62mmなので、
仰っていることは、理に適う。
では、このRS6をトレール値62mm近辺にするにはどするか。
ソフトで計算をすると、オフセットを縮めないと62mm近辺にはいかない。
この辺りが設計の妙で、通常はオフセットをのばせば直進性が安定するように思えるのですが。
このRS6をベースに、トレール値を62mmにしようとするとオフセットが46mmにくらいになってしまう。
ただでさえ短い570mmというフロントセンターがさらに短くなってしまう。
これだともう完全にシューズの先がホィールにあたってしまいのっていられないでしょう。
さあ~てどうするか。
ボクがプロジェクトMの設計をするときは、
トレール値は、ヘッドアングル、オフセット、フロントセンターそれぞれを、
加味しながらよさそうな値をだします。
今回のようにすでにヘッドアングルがすでにきまってしまっているものの数字をかえるのは、やっかいです。
ただ、ボクの経験だとハンドリングを決めるのは、トレール値だけではなく、
フロントセンター値も重要だと感じていますし、タイヤの太さや空気圧などによっても変わってくると思います。
まあ、どうするかちょっと考えましょう。
このトレール値は、車輪半径が違うと、かわってしまう数字なので、
この58㎜が絶対という数字はないんですね。
なので、ぼくはいつもトレール値を計算するときの車輪半径の数字を決めてやっています。
なので、トレールが増えるとこういう傾向、少ないとこういう傾向というくらにみています。