職人マツナガ通信

9月3日

オーバーロックナット寸法。
リアハブのロックナット端面からフリーホィールを取り付ける縁までの寸法をいいます。
普段履きと決戦用ホィールを履き替えるとき、この寸法が違っていると、
いちいちリア変速機の調整が必要になります。
同メーカーではあれば、ほぼ同一でつくられていますが、
ブランドが違ってくると結構違う場合があります。
今回はこういうお悩みのご相談。
かたやS社、かたやA社のホィールを履き替えているIさん、
替えるたびに返送調整をしているので何とかならないかというお話。
ホィールをお預かりして、オーバーロックナット寸法を測ってみると、
1.2mmの違いがありました。
確かにこれだけあればスムーズには変速しない可能性があります。
S社のほうが現在ではメジャーなホィールなので、
今後のことを考えてこちらにあわせることに。
A社のホィールハブ軸をばらし、フリー側の玉押しを1mm旋盤で削り込み、
逆側に1mmのワッシャーを入れました。

このオーバーロックナット寸法あわせ、大変苦労した思い出があります。
エキップアサダの浅田顕監督と若手選手育成チームをやっているとき、
浅田監督がやっととってきたスポンサーのハブを使って選手たちのホィールを組みました。
しかし、このハブ、メジャーブランドでない事もあり、
このオーバーロックナット寸法が同じ商品でありながら、まちまちだったのです。
チームですから当然ホィール入れ替えをしょっちゅうします。
そのたび、リア変速機がガチャ、ガチャ。
しかたがないので、たしか何十本というホィールのオーバーロックナット寸法あわせ作業をした事がありました。
さすがに、作業後浅田監督に来期はこのハブだけはやめて、と泣きをいれた記憶があります。