職人マツナガ通信

1月18日

また、また、珍妙な修理依頼。
KCNCの軽量ブレーキアーチを使っている、オレンジ号を駆るNさん。
ブレーキアーチ交換のため、ブレーキワイヤー止めつけ部を緩めようとしたとき、止めつけネジが途中で折れたという連絡がはいりました。
ん? ネジが折れた? 
たしか、軽量ブレーキアーチのため、インナーケーブル止めつけネジは、細いアーレーキーで止めつけるイモネジ形式のものだったはず。
イモネジがなめたというのなら、わかるが、ネジが折れた?
とりあえずお持ち頂くことに。
現物を見ると納得。
KCNCのブレーキアーチは、結構高級な作りをしてあり。
インナーケーブルを止めるイモネジは、アルミでできているので、
ケーブルを止めるネジの先ところはアルミでは柔らかすぎるので、別の素材で補強してあった。
イモネジの先にケーブルを止めるための皿が、多分厚入接着されていたのでした。
でもって、Nさんが、ネジを緩めるときに、ネジはまわったが、その先の皿の部分だけが、おそらく腐食接着してしまい、
ブレーキ-アーチの中に残ってしまっていました。
なので、インナーケーブルはついたまま、その部分だけ切られて持ち込まれてました。はて、さて、どうやってとるか。
とりあえず、固着した部分にワコーズラスペネオイルをふきつけて、ケーブルを引っ張る。
ビクともせず・・・・。
考えられる方法は、二つ。
腐食接着しているので、まず希硫酸槽につけて、固着部分を溶かす。
もう一つは、のってしまっている皿を、ドリルをして、取り除くという荒技。
できたら荒技は使いたくないので、まずは希硫酸槽でせめる。
希硫酸槽につけてから、よく水洗いをして、ラスペネをふきかけてケーブルを引っ張ってみる。
やはりビクともしない。
ダメもとと思い、ケーブルを万力にくわえて、ブレーキアーチを真鍮ハンマーで叩いて、ケーブルを抜いてみる。
っと、ケーブルがちょっと動いた!
ケーブルの端を加え直して、今度は逆方から叩いてみる。
すると、なんとかケーブルは抜くことができた。
後は、中に残った皿だ。
もう一度ラスペネを吹き付けて、ケーブルと同じ径の針金を、
ブレーキのケーブル通しの穴にいれて、打ち込んでいく。
最初は、止めネジの皿が邪魔をして、針金は途中で止まっていましたが、そのうちにどんどん中へ入っていく。
ついに針金貫通!
っということは、固着した皿が動いていると言うことに。
ネジ穴から、皿を針金つついてみると、お~、動いている、動いている。
何カ所か、押している間に、すっかる動くようになり、
なんとか、とることができました!
ふ~。
こういうイレギュラーの作業は、なんと言っても、今までの経験がものをいう作業ですね。
今までの幾多の失敗が、今の作業の成功に通じていると思います。