職人マツナガ通信

10月14日

三十年前。
三浦選手との出会いは三十年前くらいになります。
当時ボクが所属していた実業団のチームに、
三浦選手が関西の実業団チームから移籍して入ってきました。
まだ選手として頭角を現す前で、よりより環境をもとめてやってきました。
パンチパーマにシャコタンの箱スカ、関西からやってきた最初の日のいでたちでした。


最終的には、全日本チャンピオン、オリンピック選手と上り詰めた、
破天荒な行動力からいろいろなこと学ばせて頂きました。

そんな話はさておき、
ボクがアマンダスポーツで仕事をさせてもらっていたとき、
三浦選手のフレームをつくる機会に恵まれました。
三浦さんは当時すでに日本のトップレーサーになっていました。
そのアグレッシブな走り方から、かなりの高剛性のフレームが必要と考えて、
そのように製作をしました。
インプレを楽しみに待っていたのですが、
どうもいまいちだという返答がかえってきました。
いろいろ話していくと、どうも剛性がありすぎるのが気に入らない原因だとわかってきました。
あれだけのパワーの持ち主になぜいけいないのか。
なかなか理解に苦しみました。
やり取りしているうちに、どうも三浦選手のペダルピッチとフレームBB部のウィップが同調しないのが気に入らないようでした。
今回のSさんがおっしゃている事と同類の事だったと思います。
その後、三浦選手が気に入ってのっているバイクと同じものを静加重試験しましたが、


果たしてそれもそれほど剛性のあるものではありませんでした。
フレームはつよけりゃいい、ということだけではないということを学びました。
でも、僕がお付き合いさせていただいたトップ選手のなかでも稀な例ではあります。
Sさんのフレームもこれからもっと煮詰めていきますが、どういう風にできるか楽しみです。