職人マツナガ通信

12月2日

フレーム製作の基礎技術及び実技 二回目。

1983年9月25日日曜日
東京荒川 オリエント工業I(当時)

一週あけて四回目最後の講習です。
この日は、梶原氏が実際にフレームを作り上げていく過程をみながらのレクチャーでした。
専用の治具を使わずに、作っていく方法をみせてくれました。
当時すでにアマンダスポーツで仕事を始めていた自分には、
治具を使わずにフレームを作れることがとても新鮮で、
目から鱗が落ちる思いをした記憶があります。

①ヘッド上とトップチューブ本付け
②トップチューブとシートチューブの繋ぎ手シートラグを仮付け
③ヘッド下とダウンチューブを仮付けして、角度を確認したら本付け
④シートラグ本付け
⑤ハンガーラグとダウンチューブを仮付け
⑥ハンガーラグとシートチューブを仮付け
⑦ハンガーラグを中心に芯だし
⑧ハンガーを中心に芯だしした状態で位置がづれないよう仮付け
⑨しばらく放置しておく
⑩もう一度芯だし
⑪ハンガー分本付け

防犯材が溶ける限界の確認
オーバーヒート 距離が問題 (母材との距離をはなせばオーバーヒートしない)
火口 フレンチ75番→1hに75lガス消費
ロー付け
パイプの曲がり上下にあわせる。

ラグにパイプを差し込み接合部をけがく。
  ↓
金霧ばさみでカット
  ↓
ヤスリ仕上げ

リアエンドの突き合わせ 板をかませる

ということがノートに書いてあります。
現場での作業をみながらのメモだと思います。
自分でもどういうことをいっているのかちょっとわからない部分もあります。
①から⑪までは、メインの三角をロー付けしていく順番です。

あとノートの最後に、
10/2  +10  フラットバー
板金

というメモが残っており、最後の25日でやりきれなくて、予定外の一週を追加されてやったのかもしれません。
これだけフレーム製作について、体系立てて教えてくれる事は、
ボクの記憶では、これだけです。
梶原氏のものつくりの深さからきていると思うのですが、本当に勉強になりました。
梶原氏とは、講習以外でもお会いするときがあったのですが、
それは、それは、職人中の職人という感じできびしい方です。
アマンダにこられると、いつも至らないところをビシバシと指摘されました。
でも、それは自分ができていない、もっともなことなので、
きつい言葉でいわれるのはへこみますが、
自分を向上させてくれる思いでいってくれているので、とてもありがたくきいていました。
どれくらい厳しいかというと、
梶原氏のもとに修行に入った人が一月たたない内に、登校拒否になってしまったというお話が有るくらいです。
再来年から開校する、自転車学校、どんな事を教えてくれるのですかね。
なにはともあれ、自転車界にとっては一歩前進で、社会的認知度アップにつながるいいことと思います。