職人マツナガ通信

2月18日

図面。
ボクがフレームビルダーを志した頃は、
コンピューターもない時代でしたので、
自転車を作るときは設計図を引いていました。
ボクも製図を習ったりしていました。
ただ、ボクが修行させて頂いたアマンダスポーツでは、
自在フレームというものを千葉さんがつくっていて、
それを使ってチューブの実寸をだしていたので、図面を引いたことはありません。
自在フレームとは、ヘッドチューブ、トップチューブ、ダウンチューブ、シートチューブ、
それぞれが可変できるしくみなっていて、
治具を図面にあわせてセットして、この自在フレームを治具にセットして寸法をだします。
アマンダスポーツで仕事を始めて程なくして、世の中にポケットコンピューターなるものがではじめました。
数式記憶電卓ですね。
まずは、スポーク長さ計算公式を記憶させたりして使っていました。
何がきっかけだったのかは、思い出せないのですが、
フレームの設計ができそうだと思い、数式作りをはじめました。
フレームの絵を元にして、これを三角形に分けていき、
三角関数を駆使してつくりました。
一応基本設計ができるようになりましたが、実際のパイプカット寸法までは、わかりませんでした。
で、次にこの実寸を出せるように、さらに公式を拡大させていきました。
その後、スローピングがはやり、それに対応する式もプラスして、
何世代かを経て、現在のプログラムになっています。
途中、コンピューターのCADもでたりしたのですが、
自分の作ったもので事足りていたので、少し勉強しただけでやめてしまいました。
二十五年前、ボクがイタリアへ就職に行ったとき、
イタリアの工房で、このポケコンで設計したものをみせても、
イタリア人はその数字を信じませんでした。
この工房は、当時ツールに出るような選手のバイクを作っていたところです。
イタリアではその時は、まだ新たなものは図面を引き、
スタンダードなものは、一本サンプルマスターフレームを作っておいて、
そのサンプルマスターフレームを元に治具をあわせていました。
日本では既にCADをつかったフレーム設計をしていましたので、
やっぱりイタリアより日本の方がすすうでいるなぁ、と改めて感じたものです。
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