職人マツナガ通信

12月6日

材料だしです。
愛知で首をなが~くしてお待ちのOさん、なかなかすすめず済みません。
設計ができたので、実作業にはいります。
まずは、治具を前に深呼吸、気持ちをおちつかせて、作った図面をじっくりながめて、

アタマの中を製作モードへ切り替えていきます。
おそらく毎日フレーム製作をしていれば、こんな事は必要ないかとおもいますが。
今の自分の仕事は多岐にわたっているので、
こういう気持ちの切り替えが必要のようです。
こうして手を動かし始めると、
自分が選んだ仕事ができるんだ、という喜びがジワジワと起こってきます。
この気持ちが起きれば切り替え終了でOKです。
気分がのってきます。
よっしゃ、スタートです。

ラグパートになるクロモリ部分は、
迷い無く設計図どおりにひろっていけました。
設計段階ではみえなかった部分で引っかかるものが有るときは、
材料を手にしたときに、なにか違和感を感じます。
そうすると、図面の見直し、オーナーの要望書見直しをします。
カーボンチューブを出したときに迷いがでました。
体重52kgの軽量級の0さん。
用途はヒルクライムとロングライド。
だけど、ただ、レースのように駆け引きがあり、ダッシュを繰り返すような走りはしない。
設計段階では、高弾性カーボンチューブだけで十分と考えていたのですが。
実際に材料を手にとってみると・・・・・。
必要十分ではあるが、超高弾性カーボンチューブをどこかに使うことはできなか、という思いが浮かんできました。
超高弾性チューブは、剛性をあげるという特性と、振動減衰率が高いというデータがあるのです。
Oさんの場合、剛性はあげたくないけど、ロングライドということで少しでも振動減衰率をあげてあげたい。
そこで、今まで自分でとってきた、使用するカーボンチューブの曲げ、ねじれデーターを見直しとなりました。
基本的に、超高弾性カーボンチューブは、
フレームの剛性を一番左右するダウンチューブから使っていくのが原則です。
超高弾性のスタンダード肉厚のものを、ダウンチューブにいれるとどうしても剛性があがりすぎる。
では、超高弾性の薄肉チューブをダウンチューブに使用したらどうか。
データーを見る限りこれでは、ちょっと剛性がたりない。
どうしようと、データー表としばしにらめっこ。
数字をにらんでいて、知恵のわが解けたときのように、ハッと思いつきました。
ダウンチューブは高弾性チューブでいき、
シートチューブに超高弾性カーボン薄肉チューブをいれると、各チューブのバランスがとれる。
ダウンチューブにこだわっていたから、みえなかったんですね。
実際にカーボンチューブを手に取ってみてOKです。
迷い無しです。
オールキャスト勢揃いです。