職人マツナガ通信

9月10日

ミーリング。
肉厚が加工できたら、
お次はフライス盤をつかってミーリング加工です。
チューブとチューブの突き合わせがスムーズになるように、
ヘッドアングルにあわせてチューブ外径に合わせた刃物でザグリ(ミーリング)ます。
スローピングの度合いによりまちまちな角度になりますが、
これはパソコンのいれてある数式で簡単に出せるようにしてありますので、
急な変更にも即対応できます。
(この後この手の作業がでてきます)

チェーンステーもボトムブラケットにとりつく部分を、
40mm直径の刃物でザグリます。


藤下さんの”クマさんののバイク専科”の質問に答えて
「オーナーへ手渡すときってどんな気持ちなんでしょう。」
このような文章を投げかけてもらいました。
丹誠込めた作品を手渡すのがおしい、というようなことは全くありません。
ぼく自身自分が作るものは、作品ではなく道具と考えています。
手渡すとき、
まず、自身が感じることは、無から形にできた事へのよろこびです。
できた物に対しては、どうかオーナーの役に立って欲しいという思いでいっぱいです。
レースでの成績があがる、ツーリングでの疲労感が違う、登りでの使用ギャが一枚おもくできた、イメージ通りのカラーにできたなどなど。
とにかく自分の作ったもので、喜びや楽しさや生活の張りなど、少しでも幸せ感を増してもらえたいという思いでお渡ししています。
ですので、お渡しした物がオーナーの目的通りに使用できれば、ボロボロになろうともとても嬉しいです。
このあたりは、自分のムスメを嫁にだす思いと違う様な気がします。

どんなうれしさか考えてみたら、料理をつくる時と同じように思えます。
たとえばケーを作るとき、
最初は粉の状態ですよね、完成は想像できません。
作業(?)をすすめていくうち、だんだん形になってきて、ついに完成。
作った人は、おそらく私と同じ無から形にできたという喜びを感じると思うんです。

で、できたものを食べてもらう。
おいしい、おしいいと、少しずつ味わって食べてくれる人、
ガツガツ、ガツガツ、と味わっているのかわかないけど、おいしいといって食べてくれる人。
どのような食べ方でも、全部食べてもらえたときのうれしさは、
ぼくがオーナーから、とてもいい乗り味だったというお褒めの言葉を頂くときと同じと思うんです。

多分、ぼくが感じる喜びは、多くの人の身近にあるものと同じなのではないでしょうか。
ぼくの場合は、それがたまたま自転車であるということで。