職人マツナガ通信

イタリア就職記 (23)

ラグ用のチューブは使えそうな物が、コロンブス社で見つかりました。
P氏と一緒に何回かコロンブス社へいきましたが、日本で想像していたような大きな会社ではなかったです。
オリジナルのチューブもつくるような小回りの利く規模でした。

あとは、ロー付け用のロー材の調達。
ボクのフレームのラグパートは、ラグレスフレート同じ工法なので、イタリアンラグ用の高温で広範囲にまわすようなロー材では、強度が弱すぎるのです。

当時P工房では、TIG溶接フレームが主流で、酸素・アセチレン溶接はあまりやられていませんでしたので、ボクの希望するロー材は工房にありませんでした。
P氏に、1mmスクエアー当たりに必要な強度をいって探してもらいました。
何日かして、業者の人がロー材を何種類かもってきて工房へやってきました。
実際に使ってみて選べということでした。

バーナーもイタリアでは日本で使っていたような小さな火口のものがなく、ちょっと勝手はちがいましたが、それしかないのですから、それでやれるようにやりました。
P氏とロー材やさんの前で、何種類かのロー材を実際につけてみました。
一番感じのいいものを選んで、これがいいと、いうと、なんやら、P氏とロー材やさんがひそひそ話している。
どうやら、ボクのやったロー付けをみて批評していたらしい。
そしてP氏が、
”多分オレが今まで見た中では、おまえのロー付けが一番きれいだよ”
といってくれました。
ロー材やさんも似たようなことをいっていたらしい。

ボクの腕がよかったのか、イタリアのレベルがたいしたことなかったのかはわかりませんが、最初はこんな感じで、ことある事にP氏に自分の能力をみせては、P氏の信用をとりつけていくということの連続でした。