職人マツナガ通信

6月15日

スポーク切れ。
針金張りの自転車用ホィールにはつきもののトラブルですね。
原因は、金属疲労や無理な負荷がかかってしまった時など、その他いろいろな要因が
考えられます。
道具として使用していうるので必然の理由があれば折れてしまうのは仕方がないにし
ても、これがツーリ
ング途中だと帰らなければならないので結構深刻な問題になってしまうこともありま
す。
昔は、まずフレームそのものに折れることを予想してリアエンドにリアハブの車軸の
移動隙間がありました。
いわゆるロードエンド(画像参照)というものです。車軸のスライドしろがあり細い
ネジで車軸位置を決められるものです。
通常はエンドの一番浅いとこに車軸をセットして使用し、スポークが切れて車輪の振
れがでたときは、車軸をエンドの一番奥までひいてタイヤがフレームに接触しないよ
うにするということができました。
また、ホィールもニップルがリムの外に出ていれば1本くらい折れても、ニップルま
わしで調整すればなんとか帰れるくらいにはなりました。
(ボクは昔ニップルまわしは持参でサイクリングしてました)
今は、このどちらも出来ない状況になりつつあります。
フレームはほとんど、ストレートドロップアウトエンドとよばれる調整しろゼロのも
のが主流となってしまいましたし。
ホィールも完組ホィールの中には、剛性を上げるためや軽量化のためにニップルがリ
ムの中にあるものや、ニップルが外にでていてもスポーク本数が少ないので1本折れ
るとちょっとした調整では使用出来るくらいまでなおせないものが多く出回ってきて
います。
フレームの方は、レースでは何かあればホィールごと交換するのが当たり前になって
しまったので、こういう形状のものは必要なく、より軽量化をするために無くなって
しまったんだと思います。
ホィールの方も、より軽く、より強くということの進化の結果なのでしょう。
でも、これ、すべてがレースということを主軸に変わってきているので、ツーリング
ということを考えた場合はちょっとあてはまらない部分が出てきてしまうとおもいま
す。
F1で使用するようなレベルの機材を、車と違って自分のような一般人が使えるとい
う自転車遊びの楽しみはすごくあるとおもいますが、その反面レーシング機材はリス
クも大きいと思います。
悲しいかな、ツーリングを前提にした機材ってとても少ないのでレーシング機材のな
かからあったものを選ばざる得ないのが実情ですね。
スポーツバイクが、ファッションからより乗って楽しい、乗ってなんぼというサイク
リストが増えていくとこのレース主体のパーツ製作がツーリストへの重きを多くする
という風にメーカーの姿勢もかわってくるのではないでしょうか。
コンパクトクランクなんかはその現れだとおもいます。
ロードブームといわれる昨今ですが、自転車って、乗ってなんぼ、という実走派の人
が増えてきている気配がします。
自分も専門店として、いろいろな用途にそった、バイク選び用品選びの知識をより深
めていかなければいけませんね。

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