職人マツナガ通信

2002年 3月21日

昨日は、たまった疲れをとるため、放電しないよう心がけ、たっぷり充電して、今日は、スッキリ、ハッキリとするはずなんですが、集中の糸がきれたようで、ちょっとピリッとしませんでした。
こういうときは、結構要注意なんですよね。
気が抜けて風邪ひいたりとか。
でも、まあ、今日も始まってみると、そんな事もいっていられないような、ドタバタの日々がはじまりましたが。
 
昨日、ようやく読みたかった、スポーツシューズつくり職人の本を読めました。
高橋尚子選手を始め、主立った選手の靴を、かなりつくっていらっしゃる職人さんが書かれた本です。
陸上の世界では、超有名な方だそうです。
ものつくりということでは、共通する点があり、とても勉強になり、またおもしろかったです。
 
どんなに、科学発達して、精密な測定器具ができても、最終的な判断は、職人さんの体感による判断なんですね。
そこには、選手の癖や、走り方の癖、選手の正確など、いろんな要素が入ってくるそうです。
 
この職人さん曰く、シューズ作りで一番大事なのは、選手とのコミニュケーションだということでした。
ヒトが使うモノって、ただ理屈通りに正確に図面通りに、できればいいというものじゃないんですね。
ボクもそうなんですが、足の長さって左右まず違うんですよね。
陸上では、特にマラソンのように、レースはもちろん、練習から長時間走り続ける選手には、かなり重要問題だそうで、ソールの厚さを変えてつくるそうです。
でも、選手によっては、厚さを変えてつくったと聞いただけで、今まで使ったことがないという先入観から、ちょっと使っただけで、自分には合わないから、同じ厚さのをつくってほしいと、リクエストさえるときもあるそうです。
しかし、その職人さんの判断で、どう考えても、そのソールの厚みが違っているほうが、絶対にいいと考えたときは、退職覚悟で選手に厚みをかえたといって、やはり厚みの違うモノを渡したそうです。
果たして、結果は、ものすごくいい結果がでたそうです。
また、ある選手のために、最先端の素材で、これ以上ないという、シューズをつくったのですが、選手がレース直前、プレッシャーに負けて、縁起を担いで、以前につかって、成績がよかったシューズをどうしても使いたいといいだして、ついにその最先端のシューズは使われずじまいということもあったそうです。
 
あとおもしろかったのは、足にマメができるのって、どうしてできるかは、ハッキリと原因はわかっていないそうです。
マメを人工的につくろうとしても、つくれないんだそうです。
また、選手の足を測定するのに、どうしても素手で接しなければならず、手に水虫をうつされたのは数え切れないそうです。
(水虫って手にうつるんですね、知ってました?)
いやはや、どんなシゴトにも見えない地味な部分ってあるんですね。
 
そういえば、アサダ監督(ブリヂストンアンカー)も現役時代、足の長さが違うからと、左右どちらかのクリートの下に、下駄はかせて、つかっていたな。