職人マツナガ通信

7月11日

トーキョーのTさんのプロジェクトM、
フォーク作り山場のベンディング作業です。
コラム、クラウン、真っすぐなブレードがついた状態のフォークに、
ベンド(曲がり)をつけていきます。
フォーク作りで最も気を遣う作業です。
この曲げ方ひとつで、乗り味が変わってきます。
できるだけショック吸収性をよくしたい場合は、ブレードの先で曲げを深くつけます。
昔のランドナーなんかによく使われていました。
今回のようにロードで、しかもクリテリウムメインの用途ということで、
できるだけ曲げを浅く、よって大きな曲面でまげて剛性感を高めます。
そのため、ベンダー(曲げ器)も二種類用意しています。
ボクの作り方は、左右ブレードを一本、一本別々に曲げていきます。
曲げるときは、ブレードが伸びる側をバーナーで真っ赤に温めます。
金属は熱すると分子間の結びつきが弱くなるということです。
熱しないで冷間で曲げられるのですが、かなり無理があります。
最近のクロモリは、ある程度の熱なら何回熱をいれても熱劣化しません。
まずは片側を曲げて、治具にセットして寸法関係を確認します。
何本もつくっていると、曲げた感触でどれくらいのオフセット量になったかがわかります。
今回は久々ということもあり、何回か曲げ直しをして設計値にしました。
片側ができたら逆側です。
ことらも、一方の曲げ量を覚えておいて、それに近い量を曲げていきます。
ふ~、何とか曲げられました。
この作業は何回やっても緊張します。
今回Tさんのフロントフォークのオフセット量は、50㎜ということで、
通常のロードでいくと43㎜が多いので少し長めです。
この長めな部分をできるだけ曲げが深くならないように作りました。
こんな感じですTさん!
Tさんから頂いたメールに、

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「25年恋号」はやくも夢に出てきました! すんごい楽しみ!!

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とありました。
「マイバイクが今作られている、 それを考えてると一晩中寝られないの。」
寝不足にならないようにお気を付けください!