職人マツナガ通信

9月5日

滋賀県でプロジェクトMを駆るNさんからメールをいただきました。

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マツナガ様

走りました。
夏前に組み上げのですが、暑くて…。
ようやく500km程走りました。
自分で組んだオープンプロ32hイタリアンでは、「うーむ」でした。
私のベンチマーク、ニュートロンで走ってみたら全然ちがいました。
反応、速度維持、安定性、too machです。
何なんでしょうね。
BB付近の塩梅?
グラファイトのフォーク?
…⁈
ケイデンス100位から呼応してくれるんです。おかげで維持が楽です。
自転車の性能はホイルとタイヤがほとんど占めると思っておりましたが、
このフレームで初めて、フレームが仕事してくれてると感じられました。

これからが楽しみです。
またレポートします。
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Nさんに納車したのは、2021年の7月。
Nさんレーシングボートを作られるお仕事をされていて、
ちょうどそのころ、東京オリンピックが開催中で、
オリンピック関連のお仕事で忙しいとおしゃっていました。
Nさん、お仕事柄(カーボンのボートなども製作されているよう)、
こういうバイクがいいと、はっきりとお好みを指定されてきました。
今まで乗ってきたクロモリ、カーボン、それぞれのインプレッションを聞き、
どういう剛性仕様にするか、大いに悩みました。
Nさん、ただ剛性があればいいというフレームではなく、
踏んだ時にしなって、それの戻りを利用してペダリングをしておられるよう。
そうして、悩みに悩んだなかでの仕様決定となりました。
ボクの持っている材料の中では、これい以上ないという仕様なのですが、
はたしてNさんのお好みにあっているか、ほんの少し一抹の不安がありました。
納車後、2021年11月に組み始まるというメールをいただき、
その後どうなっているのかが、ずっと気がかりでした。
メールを読む限り、ボクのよみは正しかったようで、ホっとしました。
ペダリングピッチと剛性の相性、
ボクはこれ、キング三浦こと、三浦恭資さんから学びました。
アマンダスポーツで仕事をしていたころ、
三浦さんからオーダーが入ってフレームを作ったんです。
かなり筋肉質でギンギンに踏んでいくタイプの選手なので、
ギンギンにかたいフレームをつくりました。
むっふっふ、どうだ、っというくらいのものです。
しかし、乗った後のインプレッションは、いまいちでした。
いろいろ話を聞いていくと、どうも剛性が高すぎたようです。
もともと三浦さん、高校生のころから、軽量なクロモリの薄肉チューブのバイクに乗ってこられたようで。
どうもたわむフレームのペダリングを身に着けてこれらたようでした。
三浦さんがいいというバイクは、さほど剛性の高くないマスプロのカーボンなどがいいようでした。
こういう経験から、フレームはただかたければいいということはない、っということを学びました。

Nさん、これからもガンガン乗ってください!