職人マツナガ通信

8月2日

なぜ27インチ?。
昨日自転車のホィールには工学系の基礎知識がいろいろ詰まっているというお話をかきました。
いまロードレーサーの主流は27インチ(700c ヨーロッパでは28インチと表記されているチューブラーがあります)なのですが、
なぜこのサイズなのでしょうかね。
欧米にくらべて小柄な人の比率が多い日本でも主流は27インチです。

以下は、ちゃんと調べたわけではなく、ぼくの類推と経験のお話です。
自転車の発生はヨーロッパです。
当然当時の人たちの体型にあわせて作られはじめたと思います。
最初はダルマ自転車のような人の背丈も有るくらいのホィールがありました。
そう、こう、しているうちに、チェーンドライブが発明され、空気いりのタイヤが発明され、どんどん実用性があがってきました。
そういうものの発明にあわせて、車輪もつくっていったら、一番乗りやすいサイズがなんとなく27インチ近辺におちついた。
工業化がはじまり、量産システムができあがってくると、規格が必要なってくる。
そこで、その時点で一番普及しているサイズをスタンダードにしましょう。
てな具合かなと考えます。

実際にぼくは、前後24インチ、前後26インチのロードレーサーを自分用に作って乗ってきました。
24インチは、車輪の慣性が小さいので非常に加速性がよい(踏みだしが軽い)のですが、その分惰性がないのですぐに減速してしまい、常に踏んでいなければならない、というものでした。
だけど後輪にディスクホイールを使うとそのデメリットが打ち消されて、運動性能としては、加速よく、持続性もありというすごくいいものになりました。
運動性能としては、とても有利性を発揮するのですが、メリットである慣性の小ささが操縦性(ハンドリング)がとても不安定にしてしまいます。
あと車輪の剛性があがってしまい、路面からのショックを拾いやすいという事もありました。
その運動性能の良さを生かした使用目的(ヒルクライムやクリテリウムレース)を決めてつかうのであれば非常に経済性がありましたが、オールラウンドに使用するという点では27インチに軍配が上がってしまいました。
ぼくが乗っていた頃、一般のお客さまにもつくりましたし、ヨーロッパで走っていた日本選手がヒルクライムのタイムトライアルで使用したという実績もあります。

長くなるので26インチの乗り心地はまた別途に。
車輪経はなぜ27インチか、工学系の知識で物理的な理由がわかるとおもしろいですね。