職人マツナガ通信

イタリア就職記 (8)

とても良さそうな工房が見つかり、紹介までしてくれるという人があらわれ、その人に自分のセールスレターを渡して、とここまではトントン拍子。
ウン、今回はご縁があるかなと思いきや、年が明けて91年、待てど暮らせど何の音沙汰もない。
紹介者のK氏に連絡しても、長期海外出張とやらでつかまらず。
いやはやどうしたものか、別なところを自分で探さなければいけないかな、と思い始めた矢先の4月にK氏から、出張の途中でイタリアへ寄るから、直接紹介するので、一週間後にイタリアへ来いという連絡がはいった。

なんと、一週間後である、一週間、メチャクチャですね。

さあ、それからが大変、チケットを探し、工房までの行き方を調べて。
その工房はミラノから60kmくらい離れたところにあり、空港についてからローカル線に乗らなければならないことがわかり、さらに、このローカル線が日に1本くらしかでていないものなので、乗り遅れたらまた次の日までまたなければならない。
まだ、イタリア語も大して勉強していなかったので、はたして行けるのかどうか少し不安はありました。

とにかく準備期間が一週間しかないので、なんのかんのいっているヒマはなく、とにかく一番重要なことだけを優先に準備して、サンプルにつくったフレーム一本と、日本製の優秀な高弾性のカーボンチューブをもって、イタリアへ面接に成田を飛び立ちました。