職人マツナガ通信

7月11日

症例。
自転車業界に入って、三十六年。
自分でも経験したり、人様のものをみたりと、
いろいろなバイクの壊れ方を見てきました。
クロモリ、アルミ、カーボン。
それぞれ、素材的な特徴があり、それぞれの壊れ方をします。
壊れ方をみると、ある程度原因も予測できます。
それでも、未だに、はじめてという症例にでくわします。
先日も、カーボンバイクのるお客様が下り坂で自爆落車してしまい、
フレームがおかしいとお持ち込みがありました。
乗っていると、右側のタイヤのラベルがやたらと見えてしまう。
何かフレームに異変があるのでは、ということです。
クラッシュの内容をよく聞き、バイクのダメージがありそうなところを精査していきます。
カーボンは曲がるということはないので、
あるとすれば、層間剥離です。
層間剥離していれば、応力がかかったときに何かしらの音がするはず。
調べると、それもない。
でもって、調べていくと、
落車のダメージで右腕がまだ完全に伸びないということ。
どうも原因はバイクの方ではなく、身体のほうにあったようです。
バイクへのダメージはほとんどなく、このまま乗れることが判明。
オーナーもホッと一安心。
まあ、こうやって不安の取り除いてあげるのもお仕事の一つ。
確かに、素材感がなければ、何がどのようになっているかもわかりませんもんね。